愛犬も飼い主さんもリラックス!犬のマッサージ方法
愛犬のマッサージ。やってみたいけど難しそう…というみなさん。実は思ったよりもずっと簡単です。慣れてくると愛犬も気持ちよさそうにうっとりとした顔をします。
愛犬をマッサージする時間は、私たちにとっても至福のとき。可愛いパートナーの安心しきった顔を見ることは、飼い主さんにとっても幸せな癒しの時間になるはず。
では実際にどんな風にマッサージすればいいのでしょうか、今回は、GREEN DOGのアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーの山本が写真付きで説明します。
マッサージを始める前に
マッサージの手順
まずは「マッサージを始めるよ」の声かけから
姿勢の準備
パートナーの体に手をあてて、大きく深呼吸
最初は軽いタッチから
流れるように撫でる
鼻
耳
首
お腹:うんちがでない愛犬にも
背骨
尾
肉球
快・不快を見極めるポイント
リラックスして気持ちいいとき
不快。緊張しているとき
あくびが出るとき
おわりに
マッサージを始める前に
まず大切なのは、ヒトも犬も穏やかな気持ちのときに行うこと。犬は群れの動物なので、群れの気持ちを観察する天才ですから、飼い主さんが心配事で頭がいっぱいだったり、イライラしていたりすると、その精神状態を察して犬もその気持ちに同調し、不安になったり、興奮したりします。お互いがリラックスできる場所や時間に始めましょう。
実際にマッサージする時間は、5~15分程度でじゅうぶんです。忙しくて時間がない日なら、1~2分間、手を当てるだけの日があってもいいかもしれません。むしろ大事なのは毎日ちょっとずつ継続することなのです。
マッサージのために準備するものはありません。飼い主さんの温かい手と心があれば大丈夫。犬を寝かせるときに犬用クッションがあったら便利かもしれませんが、もちろん人用で代用もできます。マッサージは、誰でも気軽に始めることができるのです。
マッサージ基礎編はコチラを読む→愛犬を癒す!シニア・老犬のマッサージ方法~基礎編
マッサージの手順
まずは「マッサージを始めるよ」の声かけから
いきなり体に触られると、犬はびっくりします。とくに老犬の場合や持病のせいで、視覚や聴覚が弱っている犬や、神経質や臆病な犬の場合は驚いてしまうことが多々あります。犬にも心の準備が必要です。始める前には優しい声で、「マッサージを始めようね」という声かけをしてあげましょう。
姿勢の準備
まず、「絶対にこの姿勢が正しい」ということはないので安心してくださいね。飼い主さんとパートナーがやりやすい体勢、リラックスしやすい姿勢で行いましょう。マッサージがしやすい姿勢として、小型犬の場合、犬にフセをさせた状態にし、飼い主さんが犬のおしり側に座って行います。犬は前を見て、飼い主さんと同方向を見ている体勢です。パートナーが飼い主さんと向かい合わせになりたいなどの場合は、そのようにしてももちろんかまいません。中型犬・大型犬の場合は、真横に並んで行います。飼い主さんの横で、前を向いてフセをさせます。
パートナーの体に手をあてて、大きく深呼吸
次は、パートナーの体に手を当てて、大きく深呼吸。お互いが落ち着く効果があります。犬が「いつものマッサージだな」とわかる合図になります。気をつけたいのは、手の温かさ。冷たい手で触るのはやはり気持ちのいいものではありません。冷え症で手が冷たい人は、マッサージする前に手を温めてから始めましょう。
最初は軽いタッチから
軽いタッチから始めます。両手のひらを使って体全体の状態をチェックします。触ると痛がったり、足を引っ込めたり、あるいは唸ったり、そんな部位はありませんか?イボや腫瘤、キズ、外部寄生虫などの異変や、いつもよりフケが多い、抜け毛が尋常ではない、などの気になることがあったら、マッサージは中止し獣医さんに一度相談しましょう。全身チェックで問題がなければ、マッサージを開始します。
片手で、前胸から背中へ手を当ててみます。それから、肩やお尻、両脇、お腹と背中をやさしくゆっくり順に触れていき、そして最初のスタートポイントであった前胸と背中に戻ります。
流れるように撫でる
鼻
鼻先から、鼻筋あるいはマズルの横を通って、眼のまわりからこめかみ、耳の後ろまで、2本の指でスーッと滑らせるように撫でていきます。
耳
首
犬(とくに小型犬)は体高が低いので、いつも大好きな飼い主さんを見上げる姿勢をしており、よけいに首が凝りやすいといえます。しっかりほぐしてあげましょう。両手の手のひらで、首をはさんで揺らします。または首の筋肉に円を描くように手のひらや指で撫でていきます。首から背中を通っておしりへ
お腹:うんちがでない愛犬にも
背骨
4本の指をクシ状に立て、首(後頭部)からおしりに向かって、毛並みに沿って、前からうしろに撫でていきます。基本は毛並みに沿って撫でますが、おしりから首へと逆撫でしてもよいでしょう。ただし、犬によっては逆撫でを嫌がる子もいますので嫌がることはしなくて大丈夫です。犬も飼い主さんも気持ちよく、穏やかな心で行える動きでマッサージすることが大切です。
3本の指で、背骨をつまむようにして、ちょこちょこと細かくつまみながら、脊椎にそって首からおしりへと進むやり方もあります。つまんだ指先の感触で、他よりもつまみにくい(固い)感じがしたら、そこは筋肉が硬直しているところ、つまり、負担がかかっている場所です。また腰が悪ければ腰の辺りが固めになっていることが多いです。そのコリをほぐすように、少し多めに手をかけましょう。
また、ツボを指圧する要領で、背骨の両サイドを、首から尻にかけて押すのもよいです。
背骨(脊椎)は、大事な中枢神経が入っている重要な部位です。撫でる、つまむ、押す(指圧)など、いろいろな手技でほぐしてあげましょう。ただし、愛が強すぎて、指の力も強すぎないように。やさしいソフトな力加減でマッサージしてあげましょう。
尾
絞るようにして、付け根から尾の先へ指を移動していきます。怖がりの子はしっぽを股の間に入れることが多いので、外側へ、上側へとしっぽが上がるように意識して行いましょう。しっぽをやさしく右左に回してみても。
フレンチ・ブルドッグのように尾が短い犬や、ボクサーなど断尾している犬種は、手のひらをお椀のような形にしてしっぽの付け根に当てて、根元全体を回すような感じでほぐします。
肉球
一番大きな肉球は、下(かかと側)から上に向けて押し上げるように、小さな肉球は指先でつまむようにやさしく圧します。マッサージすることで、肉球にある免疫力アップのツボを刺激し、足先がポカポカ温まります。
快・不快を見極めるポイント
どこをマッサージすると気持ちよさそうか、パートナーをよく観察することは大切です。気持ちのいいポイントやリラックスしやすいかどうかは個体差が大きく、また今までの経験値(社会化)の有無でも変わります。とにかく体を触られることに慣れさせてあげること。とくに顔まわりや足の先、しっぽなどは敏感な部分なので、犬としても信用をしていない人には触ってほしくない部分といえます。
けれど、トリミングサロンでのグルーミング時や動物病院の診察時に、体を触らせてくれる犬に育てておくことは必要なことです。日々マッサージ・タイムをもうけて体に触られることに慣れさせるのは、社会化トレーニングのひとつにもなります。愛犬が「気持ちいいな」と思っているかどうか、飼い主さんが見極める目を持ちましょう。
リラックスして気持ちいいとき
体の緊張がなく、筋肉もやわらかく緩んでいる状態になる。
ごろんと自ら横になる。おなかをだす。
目が薄く開いており、うっとりとしている表情になる。
うとうと眠そうな感じ。
おならをする。(おならはリラックスしている証拠なんです)
不快。緊張しているとき。
体が固く、緊張したまま。
体を背けるなど、体を触らせてくれない。
マッサージしているさいちゅうに、急にパッと振り向く(痛みがあるの可能性)
あくびが出るとき
気持ちよさそうに目がトロンとして、眠そうにしているときにもあくびは出ますが、「もう止めて」という不快な気持ちのときにも犬はあくびをしてサインを出します。見極めは難しいですが、連続であくびをしたり、あくびをした後ブルブルと身震いをしたりするときは、「もう止めてほしいな」のサイン。愛犬をよく観察するとわかってきます。
おわりに
マッサージで大切なことは、嫌がるところは無理に触らないこと。嫌がる=痛みや違和感がある可能性が高いので、獣医師にチェックをしてもらいましょう。毎日のマッサージ・タイムは、病気の早期発見にも有効です。
手で撫でるのが、いまひとつ感覚がつかめない場合には、ブラシを使っても大丈夫。小型犬の顔まわりなどは面積が小さいので、柔らかい歯ブラシでやさしくなぞってみてもいいでしょう。またスムースヘアの犬なら、背中や腰部などを指の代わりにラバーブラシ で撫でても喜びます。血行促進などの効果が期待できるんですよ。
パートナーがマッサージは気持ちのいいものだと学習してくれると、犬にとっても、飼い主さんにとっても楽しい幸せな時間になります。パートナーがうっとりとした顔をして、薄目でうとうとして身を任せてくれるのは、信頼関係ができているからこそ。マッサージは、お互いの絆を強くする素敵なコミュニケーションの時間なんですね。
「嫌がることは無理強いしない」というポイントを押さえつつ、パートナーが心地いいと思うマッサージを自由に考案してもいいですね。難しいルールや決まった法則はありません。愛犬のうっとりした可愛い顔が見られますのでぜひ気軽に挑戦してみてくださいね。
取材・ライティング:白石 花絵(しらいし かえ)/ドッグジャーナリスト
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Follow @greendog_com監修:山本 由能(やまもと ゆの) ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法インストラクター上級師範
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