2021.05.28子犬のケア

獣医師が解説!家の中での子犬の骨折事故と予防策

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獣医師が解説!家の中での子犬の骨折事故と予防策

コロナ禍で人々の生活様式が変わる中、ペットを迎える方が増えているというニュースがありました。一般社団法人「ペットフード協会」によると、2020年に新たに家庭に迎えられた犬の頭数は、2019年と比べて6万頭も多かったそうです。
コロナ禍の不安を癒してくれる愛犬達が家族の一員として幸せに暮らせるよう、実は多い子犬の骨折について代官山動物病院院長の角谷が解説いたします。

骨折が起きやすい状況とは?

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骨折しやすい年齢

ペット保険の会社である「アニコム損保」の情報※1によると、犬の骨折は0歳、1歳に圧倒的に多いそうです。アニコムさんの保険に加入している犬のうち、2歳以上が骨折で保険を利用する割合は、0.3%以下です。それに対して、0歳では1.5%以上、1歳でも0.5%以上と多くなります。なんと0歳では“成犬の約5倍も”骨折を起こしやすいということが分かります。

骨折しやすい犬種

犬種ではイタリアン・グレーハウンドがダントツの1位で、次いでポメラニアン、トイ・プードルとなります。小型犬、特に足が細いタイプは骨折を起こしやすいことが分かりますね。
私自身、病院で骨折を診ることがありますが、やはり現場でもその傾向を感じます。

屋内で起きる犬の骨折事故例

犬の骨折は、車にひかれるなど屋外でも当然ありますが、実際の症例では、お家の中での事故がとても多いのです。

 ・飼い主に抱っこされている状態から飛び降りや落下
 ・高いところからの飛び降り(ソファやベッドなど)
 ・飼い主に踏まれた
 ・ドアに挟まれた

家庭内には、皆様が想像しているよりたくさんの危険が潜んでいることがわかると思います。

大人が抱っこしているときの高さは地面から1メートル以上離れています。これは子犬の体長の4倍近い高さです。人間でいえば、6メートル(2階建てのビルくらいの高さ)から落ちることに相当します。当然その時に着地に失敗すれば骨折につながることは容易に想像できますね。

※1【参考資料】アニコムどうぶつ動物白書2018年

骨折をしたらどうなるのか?

骨折をした場合には、どうにかして元の骨の状態に近づけるような手術、処置をしなければいけません。ギブスで固定したり、プレートやピンで骨を固定したりするということは、人間の場合と同様です。人間の場合には、そのような治療をした後は、松葉づえをついたり、首に包帯をかけて固定したりと動かさない工夫をし、その後リハビリをして徐々に治していきます。

愛犬の場合も同様に、初期には安静を保つために狭いケージで過ごしてもらうこと(ケージレスト)が必要です。その後、徐々に骨に負担のかからない程度の運動をしてもらう必要があります。しかし、愛犬たちはそれが大事だとは知りません。手術の痛みが引いてすぐに走り回ったり、逆にギブスを気にしすぎて骨折した肢を一切使わずに歩いてしまったりすることもあります。

そのため、せっかく手術をしたのに再骨折をしてしまったり、いつまでも治りが悪かったり、筋肉がやせ細ってしまったりと、思うように治療が進まないのです。

この期間は愛犬にとっても不幸な時間です。そのため、そもそも骨折をさせないような環境づくりが彼らの不幸を減らすことにつながるのです。

家庭内の事故を防ぐために

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家庭内で事故につながりそうな状況をなるべく減らすようにしましょう。

     抱っこ時の注意

  • 落下事故は子供が抱っこしている場合に起きやすいです。大人がしっかりと正しい抱き方を教えましょう。お子さんが抱っこしている時は常に気をつけて見ておく必要もあります。また、大人が抱っこしている時にも事故は起きます。たとえば、愛犬が何かに驚いて腕の中から飛び降りてしまうことだってあるからです。愛犬を高い位置で抱えている時は常に安全の確認を忘れないでください。
     高いところには登らせない

  • 家の中で飛び降りて危ないところありませんか。愛犬が勝手に高いところに登れない様に工夫しましょう。飛び降りたときの怪我以外に、食卓から誤食(食べてはいけないものを食べる)など他の事故にもつながります。
     床を滑りにくくする

  • ソファなど普段は大丈夫な高さであっても、着地した床が滑りやすいと事故につながることがあります。飛び降りないように階段やスロープをつけて楽に登り降りできるようにしたり、マット(参考商品はコチラ) などでフローリングをカバーしたりする方法もあります。最近では、フローリングを滑りにくくするためのペット用コーティング剤(参考商品はコチラ) もよく見かけるようになりました。

今回この記事を読んでいただいた方は、是非ご家庭の環境を見まわして、危ないところがないか、チェックしてみてください。その際には是非愛犬達の目線まで落として周りを見てみましょう。私たちが上から見ているときには気づかない、危ない場所が潜んでいるかもしれません。

最後に

特に若くて元気なときの愛犬たちには、怪我をしないように気をつけて行動するなんて意識はありません。大切な愛犬を事故から守るのは、他ならない飼い主の皆様しかいないのです。
今回の記事が、今一度ご家庭の環境を見直すきっかけになり、愛犬たちの骨折事故が減ることを願っています。

【参考ページ】ペット専用フロアコーティング

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監修: 角谷 悠介(かくたに ゆうすけ)  Ve.C. 動物病院グループ 代官山動物病院院長 総合診療科/眼科 獣医師

Ve.C. 動物病院グループ 代官山動物病院院長 総合診療科/眼科 獣医師
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