2021.06.15一緒に。もっと、

ペットロスと向き合う~仲間を喪った時、残された犬は何を感じる?~ペットロスシリーズその5(最終回)

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仲間を喪った時、残された犬は何を感じる?

家族のメンバーである愛犬がこの世を去った時、家庭に他の犬がいる場合には残された犬もまた影響を受けています。仲間を喪ったことで落ち込んでいるように見えたり、行動に明らかな変化を示す犬もいます。そんな時、私たちは残された犬のことをどのように考えて、何をしてあげればいいのでしょうか。 

ガニング亜紀さんのペットロスシリーズはこちら→〈ペットロスと向き合う〉記事一覧

犬にも家族や仲間を悼む気持ちはあるのだろうか?

共に暮らす犬イメージ

家族や友達が亡くなった時に犬も人間のように悲しむのだろうか?と問われたら、犬と暮らしている人のほとんどは「もちろん悲しむ」と答えるでしょう。
犬は家族のメンバーが旅行や入院などで長期に家を空けただけでも、いつもと違う様子を見せるのですから、当然とも言えます。

多くの心理学者、人類学者、動物行動学者などが、共に暮らしていた犬が亡くなった時に、残された犬は仲間を悼むような行動を見せると指摘しています。犬が「死」という概念を理解しているかどうかは分かりませんが、今まで一緒にいた誰かがもう二度と帰って来ないということは理解しているようです。

我が家の場合、もう10年以上前ですが同居していた義母を自宅で看取った時、犬たちも呼んで最後のお別れをしました。ベッドの脇でおばあちゃんを見送った犬たちは明らかに何かを悟ったような様子だったのをよく覚えています。

昨年長女犬のニコを見送った時も、もう1匹のニヤを呼んで「お別れだよ」と声をかけました。その時のニヤは悟ったと言うよりも動揺しているという印象でしたが、翌日以降ニコを探して家の中をウロウロすることはありませんでした。

ニコとニヤは仲良し姉妹という感じではなくて、いつも競い合っているライバルみたいな関係でしたが、それだけにニコがいなくなった後のニヤはちょっと気が抜けてしまったような感じになり私を心配させました。それは同時に「ニヤもニコがいなくて張り合いがなくなったんだ」と私の心を温めてもくれました。ニヤは確かにニコの不在を受けとめ悼んでいたと思います。

犬が喪失によるストレスを感じている兆候

元気がない犬
家族である犬を見送った後に、残された方の犬が寂しさや喪失感からストレスを感じている時の行動とは具体的にどのようなものでしょうか。

この件について1996年にアメリカ動物虐待防止協会が行った調査と、2016年にニュージーランドの動物虐待防止協会が行った調査があります。どちらもペットを見送った飼い主へのアンケートによって残された動物の行動を調べたものですが、20年の歳月と場所の違いを超えて、次のような行動がほぼ同じ割合で報告されていました。

●食欲減退、またはしばらくの間まったく食べなくなった  
●遊びの時間が減り、寝ている時間が増加した
●熟睡しなくなった
●吠えたり、遠吠えすることが増えた
●飼い主に寄り添ったり、付いて回る時間が増えた
●反対に飼い主や他の犬から離れている時間が増えた
●亡くなった犬がいつも居た場所を探した

7割以上の犬が上記の行動を同時にいくつか示していました。また多くの犬が2〜6ヶ月くらいで回復していました。

これらの行動について動物行動学者は「正常な感情の表現」だとしています。けれど人間の場合と同じく、感情の表し方や、その強弱は犬それぞれに違うことも心に留めておく必要があります。

残された犬のためにしてあげられること

紐を引っ張り遊ぶ犬

残された方の犬が上記のような行動を示している時、私たちはどうしてあげれば良いのでしょうか。

原則は「犬に任せる」ことです。ベッドで寝ていたい、狭いところに隠れていたい、あまり食べたくないという様子が見られたら、しばらくはしたいようにさせてあげましょう。ただ、このような時には折を見て病院で診察してもらって病気のせいではないか確認しておくことも大切です。

犬が嫌がらなければ、違う散歩コースを歩いてみる、遠出をしてみる、仲良くしている犬と遊ぶ、お気に入りの遊びをする、なども良い案です。犬は飼い主のストレスを察知して自分もストレスを感じるという研究結果もあります。ペットロスを感じている時に残された方の犬といっしょに何か楽しいことをするのは、人と犬両方の回復を助けると言えます。

「寂しいだろうから」と、新しい犬を家族に迎えることは慎重になる必要があります。やって来た犬との相性がたとえ良いとしても、環境の大きな変化はストレスになります。いっしょに暮らして来た仲間を喪うという大きなストレスに対応している最中に別のストレスが追加されるのは負荷が大き過ぎます。

また決してやってはいけないのは、以前と違う行動をする犬を叱ったり、無理強いしたりすることです。自分自身のペットロスの悲しみを、残された犬に負わせ過ぎない注意も必要です。

犬も私たちと同じように犬自身のペースで喪失から回復していくので、犬の方から求められることには応えるが、過剰な対応をしないようにします。犬にとっては変わらぬ日常のルーティンが一番の心の安らぎになるからです。

おわりに

元気に走る犬

計5回のペットロスシリーズは今回が最後となります。昨年12月に最愛のニコを見送ったことをきっかけに、ペットロスについて書く機会をいただきました。

私ごとですが2018年の定期検診で腎臓の機能が低下していると言われた頃から、ニコといっしょに居られる残り時間を強く意識するようになっていました。そのせいでペットロスについて書かれたものが以前よりも目に入ってくるようになりました。ブックマークしておいたそれらは、ニコを失った後にほんの少し心を軽くしてくれました。

今でも毎日ニコのことを考えない日はないし、時々「どうしてニコがここにいないんだろう?」とボンヤリ思ったり、ニコを思って笑ったり泣いたり悔やんだりしています。幸い日常生活に支障はありませんが、多分私のペットロスはずっとこのままのような気がしています。

ニコのことをSNSで報告した時に友人の一人が「ペットロスは犬人生の財産」という言葉をくれました。大好きで大切に想う気持ちはもちろん、寂しさも悲しさも後悔も全部があの子と暮らしたからこその財産。日を重ねるごとに、その実感がますます強くなっています。

《参考URL》
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5126770/
《参考書籍》
“CANINE CONFIDENTIAL: Why Dogs Do What They Do” by Marc Bekoff

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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

ガニング 亜紀(ガニング アキ)

南カリフォルニアにて、12歳のドーベルマンミックスと11歳のミニピンと暮らしています。2011年から6年間ブログメディアdog actuallyに執筆しておりました。 アメリカのユニークなペットフード事情や、犬の心と体のケアに関する情報の中から日本の犬たちにも役に立つものをお伝えしていきたいと思います。