子犬の歯が重なって生える?チワワなどの小型犬の歯に起こる乳歯遺残とは?
小型犬を飼っている方が注意すべき症状の1つに乳歯遺残(にゅうしいざん)があります。子犬の乳歯が永久歯へと変わるときに起こる乳歯遺残は、本来抜けるべき歯がそのままの状態で口内に残ってしまう状態のこと。
今回は、乳歯遺残が愛犬に与える影響、なりやすい犬種、ケアや治療法についてご紹介します。
乳歯遺残ってなに?
犬も人間と同様に子犬の頃に乳歯が生え、永久歯へと生え変わります。犬種などによって差はありますが、通常、生後5ヶ月から10ヶ月のあいだでその生え変わりは完了するといわれています。
しかし、中には抜けるはずの乳歯が口内にとどまり続け、そこに永久歯が重なって生えることがあります。この状態を乳歯遺残といいます。はっきりとした原因は解明されていませんが、大型犬よりも小型犬に多く見られる症状であることから、遺伝が関係しているのでは、といわれています。
乳歯遺残になりやすい犬種
乳歯遺残は、チワワやマルチーズ、トイプードルやポメラニアンなどの小型犬種に発生しやすいといわれています。
特に犬歯は歯の根本が深いため抜けにくく、乳歯遺残になりやすいという特徴があります。
そのため小型犬のパートナーは、永久歯に変わる時期に歯のチェックを細かく行う必要があります。
乳歯遺残が愛犬に与える影響
乳歯遺残は、本来抜けるべき乳歯が残り続ける状態のため、犬の健康にさまざまな影響を与えます。
まず、歯が不自然に重なってしまうことで歯石がたまりやすくなるため、歯周病や歯の病気を起こしやすくなります。これは永久歯と乳歯が重なって生えているため、犬が食べ物を噛むと不揃いの歯間部分に食べ残しが挟まってしまうからです。
飼い主が歯のケアをしてあげても、乳歯遺残によって複雑なすき間ができてしまった犬の口内には、自宅でのデンタルケアでは取り除けない汚れがたまってしまいます。
また乳歯遺残によって歯並びが悪くなることにより、歯と歯がぶつかり痛みを生じたり、歯が口腔の粘膜を傷つけたりすることもあります。
乳歯遺残の歯のケアと治療法
命に関わる症状ではありませんが、乳歯遺残をそのままにしておくことは、パートナーの健康にとっては、好ましくありません。なにかしらのケアが必要になってきます。
一般的に、1歳を過ぎても乳歯が残り続ける場合は、医療機関で歯茎から下の根元部分も含めて取り除くのがおすすめです。
7カ月齢以降になると、飼い主の方針によっては、避妊や去勢手術を考える時期となるため、これらの手術で麻酔を受ける際に獣医師から一緒に抜歯をすすめられることもあります。
乳歯を抜くことによって歯並びを矯正できる可能性はありますが、成犬になってからだと矯正が難しくなりますので、タイミングが重要です。
また、永久歯が生えてくる前にできる乳歯遺残の予防法として、おもちゃやタオルを使ったデンタルケア方法があります。歯がぐらついて乳歯が既に抜けかけているような場合、おもちゃで遊ばせることで抜けかけた歯の抜歯を促し、正常に乳歯が抜けて永久歯の成長を邪魔しないような口内環境を作ることができます。
ただし、くわえたおもちゃを強く引っ張って遊ぶと、生えかけの永久歯を欠けさせたり、乳歯を無理に抜歯することになったりします。力加減を調節して気をつけてあげましょう。
もっと読む→子犬が夢中!?おもちゃの選び方と遊び方のポイント
おわりに
小型犬に発生しやすい乳歯遺残は、愛犬の健康にとってはあまり好ましくありません。永久歯が生え始める段階にできるだけ予防して、症状に気づいたら適切なケアや治療をしてあげましょう。
乳歯の生え変わり時に歯の違和感に気づいたときには、まず獣医師に愛犬の歯のチェックをお願いし、乳歯遺残がないか検査してもらうと良いでしょう。乳歯遺残がある場合は、その状態を確認しながらどのようにケアするのかを獣医師とよく相談しましょう。
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Follow @greendog_com監修:伊東 希(いとう のぞみ) 獣医師、ホリスティックケア・カウンセラー
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