愛犬の腎臓が気になる!慢性腎臓病(慢性腎不全)対策の食事

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愛犬の腎臓が気になる!慢性腎臓病(慢性腎不全)対策の食事

スタッフコラム23話目

ドッグフードを食べない犬.jpg

シニア期のご相談に「腎臓」に関するお悩みが多く寄せられます。腎臓の機能を徐々に失っていく慢性腎臓病(慢性腎不全)です。 アニコム(アニコム損保株式会社 ペットの保険)のデータによると腎不全の請求が10歳以上から急激に増加しており、加齢によりリスクが高まることがわかります。

慢性腎臓病は進行性の病気のため治すことはできませんが、食事に気をつけることで進行を遅らせることは期待できます。 ですが、愛犬が食べられるフードが見つからない、何を与えれば良いのかわからない、といった悩みを抱えている飼い主さんはとても多いです。

そこで今回は慢性腎臓病の食事管理のポイントや工夫について犬の食事の専門家ペットフーディストの山本が説明します。

腎臓イラスト

腎臓は生命活動を維持するために大事な臓器。主となるのがおしっこ(尿)を作ること。血液をろ過して老廃物や有害物質を体の外に捨てたり、必要な水分・電解質を再吸収したり、ザルの目のような働きを持っています。この仕事を担っているのがネフロン(糸球体が包まれている腎小体と尿細管で成り立つ)で犬には80万個ほどあります(ヒトは200万個、猫は40万個)

このネフロンが壊れて機能しなくなると体にとって悪いものが体内に留まり、結果、吐き気や皮膚の痒みをはじめとした症状が出たり、水分を体に溜められず多尿になります。

腎臓はこれ以外にも働きがあり、病気になると貧血、骨が弱くなる、といったことにもつながります。腎臓は体にとってなくてはならない臓器。腎臓が機能を失ってしまうと生命の維持もできなくなります。

糸球体腎炎、腎性糖尿、腎盂腎炎ほか腎臓病にはいくつかの種類があり、なかには先天異常で腎臓そのものが小さい、発育が悪くて機能しないというケースも含まれます。

症状が急速に進行する病気とゆっくり進行する病気があります。

急性腎臓病と慢性腎臓病の違い

「急性腎不全」とは、数時間~数日の短期間に腎臓の機能が低下し症状が出た状態のこと。
犬にとって毒性のある食べ物を食べてしまった、事故で腎臓を損傷した、腎臓では正常におしっこを作れているが尿石症により排泄できなかった、大量出血により腎臓機能が失われた、など、腎臓の機能を急激に失わせる何かが起きたときです。
腎臓そのものにダメージがなければ機能を回復することができます。

「慢性腎不全」とは、数年かけて少しずつ進行する腎臓病すべてをいいます。
腎臓の機能には余裕があり、ジワジワと進行していく間はほとんど症状が表に出てきません。
できるだけ早く気づけるよう定期健診を年に1回、シニア期になったら半年に1回は受けることが大事です。機能低下が限度を超えると進行が早くなりQOL(生活の質)をかなり低下させますし、ダメージを受けた腎臓は回復しません。

慢性腎臓病は私たち飼い主も国民病とも言われるくらい多いそうなので気をつけたいものです。

腎臓病と腎不全の違い

腎臓病は腎不全を招く腎臓疾患すべてのことを呼びます。腎不全は腎臓が機能を失った状態のこと。
病が進行した状態です。腎不全と呼ぶのか、腎臓病と呼ぶのかについてわかりづらいところですが、慢性のものに対しては、2002年に米国腎臓財団が「慢性腎臓病」と呼ぶと定義しました。

  • 多飲多尿(水をたくさん飲み、おしっこをたくさん出す)

  • 尿の色が薄い

  • 元気がない

  • 震え

  • 毛ヅヤが悪い(皮膚被毛の健康状態が低下)

  • 食欲不振

  • 体重減少

  • 下痢・嘔吐

  • 体温低下

  • 貧血

ほか

体調の急激な変化の場合はできるだけ早く動物病院に連れて行く必要があります。 シニア期はちょっとした変化でも念のために診てもらうようにしましょう。

主に血液検査や尿検査です。尿中に排出されるべき物質が腎臓でろ過されず血液の中に残っている量や腎機能としての尿濃縮力を確認できます。飼い主同士で話題によくあがる血液検査項目はクレアチニンとビーユーエヌ(BUN)ですね。最近ではエスディエムエー(SDMA)も聞くようになりました。

実際に腎臓病が疑わしい場合はそれ以外にもカルシウムやリン、電解質の数値やエコーで状態を確認するなどいろんな角度から診断されます。 そのため通常の血液検査の数値だけで一喜一憂できませんが、指標の役割としては大きいです。

①CREA(血清クレアチニン)、BUN(血清尿素窒素):上昇は要チェック
従来から行われている検査項目ですがCREAは筋肉量、BUNは食事内容の影響を受けます。

②SDMA(対称性ジメチルアルギニン):上昇は要チェック
5年ほど前に日本にも導入された新しい検査項目で筋肉量の影響を受けず、さらに早期に腎機能の低下に気づくことができるものです。
従来の検査では腎機能が75%低下してからでないと評価が出来ないところ、②では40%低下から評価が可能です。
ですが、必ず①と合わせて評価するように決められていますので、これだけでは診断できないということですね。

尿比重:低下は要チェック
尿タンパク:増加は要チェック

愛犬にとって良質な食事、とは決して高価なフードを与えるという意味ではありません。
栄養素は不足してもいけませんが、それよりも過剰摂取が身体に一番悪いのです。

腎臓に負担をかける大きなもののひとつが過剰な栄養素。特にタンパク質とリンです。
たとえば、あまり活動的ではないのに、タンパク質たっぷりのグレインフリーフードを食べている、またはおやつに毎日小魚やチーズのようなリンが豊富なものをたっぷり食べている場合はいますぐ見直しましょう。

過剰にならないようにするにはどういうフードを選べばよいのか。ひとつの方法としては、高タンパク(主にグレインフリーフード)と謳っていないフードを選ぶこと。高タンパクというととても良いフードのように思いますが、それは活動的な愛犬の場合です。たくさんのタンパク質を摂っても運動して筋肉やエネルギーとして使ってしまう場合は良いのです。
愛犬はぽっちゃりしている、動物病院で肥満気味といわれているならフードを変えた方が良いでしょう。

腎臓の健康に配慮しておきたい愛犬が活動的ではない場合、タンパク質は中程度のフードを選びましょう。 国産フード、素材はできるだけ肉や魚の原材料は生肉や鮮魚を使用しているフード、 ミネラル量に配慮しているフード、などがおすすめです。
これらは腎臓の働きであるろ過機能(ネフロン:上の腎臓のイラスト参照)の負担を軽減できるからです。

おやつが必要な愛犬にはクッキーやボーロ、または野菜をおやつにすることがおすすめです。
これらもたくさん与えるのは避けましょう。とにかく肥満になるほど食べていれば腎臓への負担も大きくなるからです。

愛犬の要求に応じてごはんやおやつを過剰に与えず、体質にあった適正な食事を与えること、できれば健康維持に役立つ栄養素を意識すること、これらは腎臓の負担を軽減し、できるだけイキイキした状態をキープすることに役立ちます。つまり腎臓の健康寿命を延ばせるということです。

慢性腎臓病は残念ながら治すことはできませんが、食事を変えることで進行を遅らせることやQOL(生活の質)を維持することが出来るのです。

腎臓病は先天的に問題や突発的なトラブル(有害物質を食べる、事故で臓器を傷めるなど)以外では老化に伴う病気。ですが腎臓の仕事を多い食事を続けると腎臓の機能損失が早まります。腎臓に負担をかけない食事を心がけることは腎臓病の予防が出来る、と言えるでしょう。

できるだけ健康維持のためには栄養素の過不足が生じない食事が良いですが、慢性腎臓病用 食事療法食が必要なステージでは療法食を優先して与えます。慢性腎臓病用 食事療法食を与えることで寿命が延ばせることがわかっているからです。

ただし、早すぎるタンパク質やリンの制限は逆効果にもなるので慢性腎臓病用 食事療法食を始めるタイミングは獣医師の指導を守りましょう。

慢性腎臓病の食事管理で大事なのは次の三つです。

  • 腎臓に負担をかける栄養素を制限する
  • しっかりエネルギー補給する
  • 水分を十分に摂る
  • タンパク質が体内で使われた後に出来る物質や体に使いきれずに余った物質が腎臓に負担をかけるだけでなく、おしっことして外に出せなくなると尿毒症の症状(吐き気や食欲不振など)を招きます。動物病院にてリン吸着剤が処方される場合があります。

    ただし、タンパク質は体に必要不可欠な栄養素ですので、制限しすぎてもいけません。初期段階でも基準※1の最低必要量に対応した食事を選ぶことが健康維持には大切。  愛犬用の食材では鳥類・魚類を含む動物の肉や卵、植物では豆類に豊富に含まれます。

    基準※1:AAFCO(アフコまたはアアフコと読みます)=米国飼料検査官協会というペットフードの栄養基準やラベル表示に関する基準を制定している団体によるもので多くのペットフードメーカーがこれに準じてレシピを作成しています。

  • 腎機能が低下すると腎臓からリンが排泄できず血液中に増えてしまい血管や骨、腱へのダメージにつながります。慢性腎臓病ではリンの制限により生存期間が延びることが証明されています。特にレバー、卵黄、魚介類(小魚、エビ)、乳製品に多いですが、すべての食品に含まれています。含有量はタンパク質と相関しているのでタンパク質を制限すればリンを減らすことができます。ただタンパク質よりも早い段階から制限することが腎臓の機能維持に良いとされており、初期段階用の慢性腎臓病用 食事療法食でもAFCO基準より低めに制限している傾向があります。

  • 主に腎臓でろ過される電解質のため、腎機能が低下するとむくみ、高血圧や、心臓への影響など危険な症状が出る心配があります。愛犬の一般的なドッグフードではこれらの過剰摂取の心配はありませんが、制限が必要な場合はタンパク質やリンよりも進行したステージからになります(獣医師の診断による)
    (注意)結石ケア用フードはナトリウムが多めに含まれていることがあるので注意してください。
    また腎機能低下時は血中のpHバランスの維持が難しいため特にストルバイト溶解用療法食は与えられない場合があります。

充分な血流量があることが腎臓の健康維持には大事です。水分不足にならないことはもちろん、血行に役立つ栄養素を取り入れましょう。またタンパク質を制限する代わりにエネルギーを補えるものが必要です。

  • オメガ3脂肪酸は体の中では作れないため食べ物から摂るべき栄養素です。血流の維持に役立つため、動物性脂肪よりもオメガ3脂肪酸が豊富なオイルを意識しましょう。オイルなのでカロリーが高くエネルギー補給にも役立ちます。

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  • 慢性腎臓病のケアとして食事内容の変更、症状の原因となるほかの病気の影響などにより、便通や腸内環境の改善が必要な場合があります。その際には食物繊維を意識します。

    食物繊維にも不溶性、水溶性と種類がありますが、性質が異なりますがどちらも便通のために役立ち、どちらが多い方が良いのかというのは個体の状態にもよります。 野菜や果物にはどちらも含まれているので、少しずつ与えて観察してみましょう。

    比較的カリウムが少なくて繊維質が豊富な食材として、糸コンニャク(しらたき)、ブロッコリー、オクラなどが犬には与えやすいでしょう。茹でたものを細かく刻んで混ぜましょう。食欲低下している際はさらに悪化させる場合があるので、好まない場合は無理に与えないようにしてください。

  • 私たちも含め動物の栄養素の中で元も大切といっても過言ではありません。腎機能が低下してくると体から水分をおしっことしてどんどん出す症状が出てきます。そして水分を補うためにたくさん水を飲みたがるようになります。これが多飲多尿と呼ばれる症状です。 水分の補給が出来る環境にしてあげましょう。できるだけ食事でも水分が摂れると良いでしょう。

    点滴を打つと食欲が向上することがありますが、体内に水分がいきわたる(水和状態が良い)ことが内臓の機能維持にもつながっているからです。 鶏肉を茹でたときの煮汁は嗜好性が高いですし、手間を省くためには愛犬用スープを利用するのも良いでしょう。味を気に入るようであれば薄めてこまめに与えるといいですよ。

◆慢性腎臓病の初期段階から与えられるドライフード

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小型犬向けにおいしさや食べやすさにも配慮しています。初期の慢性腎臓病のパートナー(愛 犬)のための食事療法食*です。
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◆慢性腎臓病のためにタンパク質やリンなどをしっかり制限したドライフード(腎臓ケア用療法食)

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主食を変えたくない場合は、味に変化をつけられるトッピングで食いつきが良くなる場合があります。 ミックスフィーディングはドライフードとウェットフードを一緒に与えるという意味。ドライフードが主食の場合は、少しでも水分摂取量を増やすために水分が豊富なウェットフードを混ぜるのはおすすめです。食欲がないときに試してみてください。 食欲旺盛な場合は食べ過ぎにならないよう主食とウェットフードの量を調整してくださいね。

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要チェック!「タウリン」 point

全身の細胞に存在しており特に腎臓、心臓、脳といった重要な臓器の機能維持に役立つ栄養素です。(アミノ酸誘導体)犬にとって食事から必ず摂らなければならないものではないですが、健康に不安があるときには意識したいものです。

腎臓が心配だけど、おやつの楽しみが欠かせないパートナーには肉(タンパク質やリンが多い)以外の素材を使ったものが良いでしょう。ただし栄養指導を受けている場合は、相談してから与えるようにしてください。

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栄養を補給できない状態になると、体の維持のために体内のタンパク質を壊して使うことになります。 これがさらに腎臓に負担をかけることになるので食欲がない場合は療法食にこだわらず、愛犬が少しでも食べられるものを与えた方が良いでしょう。

食欲が低下している場合、そもそも食べる量が少ないのでタンパク質やリンの量を気にしなくても良いでしょう。

犬の食欲を刺激する「匂い」「食感」「ごはんを意識させる」に注目してみてください。

犬の食欲はまずは匂いが大事です。いつもの食事よりも匂いが強くなるようにしてみましょう。
ドッグフードの場合は温めることで匂いがたちます。
・お湯を足す
・少し水を足してから電子レンジで少し温める
・器だけ温めておく(お湯をかけるなど)

食欲が低下しているときは、口を動かすことにもおっくうな様子が見られます。噛む、咀嚼することがあまり必要のない食事を試してください。 ドライフードからウェットフードや食材を使って作る手作り食に変えてみても良いでしょう。

ドライフードに見向きもしない場合でも、比較的ウェットフードや手作り食なら食べてくれる場合があります。腎臓のためにも水分が摂れる食事が良いですね。
例えば、ささみを茹でて小さく裂いたものだけでも食べてくれるといいですね。ささみの茹で汁をドライフードにかけてあげるのもいいですよ。食欲がある場合は、同じ重量であればささみより鶏もも肉の方がタンパク質やリンの量が控えめです。

腎臓が気になる年齢であるハイシニア期の食欲低下の原因のひとつに、ごはんを意識できていないということがあります。

「ごはんだよ!」という声かけや、耳が聞こえにくい状態なら軽く体に触れる合図を送るなど、毎回食事の時間がきたことを知らせてあげることが大事です。

食器を鼻の前まで持っていき匂いをかがせる、喉をやさしくさすって嚥下する準備を手伝ってあげることもおすすめです。いつもの合図を体が覚えていて意識より先に反射的に食欲のスイッチが入ることが期待できます。

腎臓に関するご相談件数 グラフ
※2020年4月から9月GREEN DOGごはんの窓口(旧ごはんの窓口)に寄せられたご相談件数

GREEN DOGに寄せられるご相談内容を調べると、愛犬の腎臓に関するご相談はシニア期に一気に増えることがわかります。特にプレシニア(シニア期の入り口)の時期である6、7歳から増えてきており、ハイシニア期である13歳以上はとても多くなります。

内容を確認すると、プレシニアの段階では健康診断にて血液検査の数値の異常を指摘され、まだ療法食を与える指導は出ていないが、症状が悪化しないか観察しないといけないというケースが多いです。
つまり6歳あたりから健康診断にて腎臓機能の衰えを指摘され始めるということです。この時期のご相談内容はどんなフードにしたら良いか、何かサプリメントはないかというご質問がほとんどです。

さらに年齢を重ねたハイシニア期では、慢性腎臓病と診断された、療法食を食べてくれない、代わりになるフードはないか、というご相談が多くなります。

ペットの保険会社のデータで10歳から腎不全の請求が増えてくるそう。経過観察のために定期的に検査を受けるなど通院頻度が増えてくる時期ということも推察できます。

GREEN DOGに寄せられた相談内容からも慢性腎臓病は老化に伴っていることがわかります。もちろん天命を全うするまで腎臓に問題が出ないケースもあります。その場合は持って生まれた体がすばらしい健康体であったということではないでしょうか。

老化は自然なことですが、過剰な栄養摂取などで腎臓の衰えを早めてしまうことのないようにしたいものですね。

おわりに

愛犬の腎臓病もヒトと同じように腎不全が起きることをいいます。急性・慢性が経過により分類され愛犬のシニア期には多くの飼い主が食事の心配を抱えがち。 元気なときから腎臓に負担がかかる食材(主に肉類)を制限することは逆に健康維持の妨げになります。

心掛けたいのは、愛犬にとって適量の食事と水分補給です。
食いしん坊でたくさん食べるなら、それに応じた運動量であることも意識しましょう。体が使いきれないほどの栄養を摂ることは腎臓だけでなく健康そのものを害することにつながると覚えてくださいね。

愛犬の食事のお悩みが少しでも解決しますように。

【参考資料】
アニコム家庭どうぶつ白書2018/ 3-3-5 犬における腎不全の請求割合の年齢推移
改訂版 イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科
IDEXX Japan 公式サイト

フード選びのご相談は、GREEN DOGのペットフーディストまでお気軽にご相談ください。

筆者

愛犬とペットフーディスト

ペットフーディストアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーペット栄養管理士犬の食事療法インストラクター上級師範

山本 由能(やまもと ゆの)

現在の愛犬との生活がきっかけで犬の食事や心のケアについて勉強を始めたことがご縁となりGREEN DOGへ。
自身も飼い主のひとりとして愛犬との生活を楽しみ介護も経験。
日々の業務では主に犬の栄養学や健康維持に関する情報を発信しています。

GREEN DOGへようこそ はじめての方へ伝えたい、わたしたちのこだわり。

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