2018.12.18一緒に。もっと、

知っておきたい動物福祉の原則~ブランベルの5つの条件~

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ミニチュア・ダックスのファミリー

ケーナイン・ストレスケア・スペシャリストの清水です。

今回は、動物と一緒に暮らす上で、一度は気に留めていただき、考えていただきたい動物福祉の根本のお話しです。

犬たちは、ある意味自然から隔離された「家畜」から始まり、「伴侶動物」となり、「家族」と変化してきた経緯があります。よって、犬たちが快適に暮らせるように、人間たちは保障しなければいけない責任があります。

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ブランベルの5つの権利

1965年のイギリスで、ある委員会が家畜動物の福祉に関して話し合い、1つの発表をしました。それは今もなお、動物福祉の根本的な最低条件として使用・利用されることが多いことをご存じでしょうか? それは、「ブランベル委員会」が発表した「ブランベルの5つの権利」というものです。

  1. Freedom from Disease
  2.   (疫病にならないことを保障する)

  3. Freedom from Hunger and Thirst
  4.   (空腹や喉の渇き、栄養不良に陥らないことを保障する)

  5. Freedom from excess Heat and Cold
  6.   (極端な暑さや寒さの不快にならないような環境を保障する)

  7. Freedom of Movement
  8.   (物理的な動きの自由を保障する)

  9. Freedom to act our most natural behaviour
  10.   (自然な行動を自由に表現できることを保障する)

上記が、ベーシックでシンプルな内容のものです。サイトや文献によっては、多少異なる表現をしていたりしますが、基本的には同じ内容が入っているのであまり気にしないで良い大丈夫です。

それよりも、これがなぜ大切であり、家庭動物であり大切なコンパニオン・アニマルである犬にも重要な意味を持つかを考えることが重要です。

野道を歩く2頭のシェパートの後ろ姿

発表の時代背景

1960年代に、この「ブランベルの5つの権利」は作られました。当時は、第二次世界大戦からも随分時間も経過し、国民の生活も多方面に渡って安定してきて、動物にもその視点が向けられたため、検討され発表されました。

それは、ブロイラーの養鶏や、豚や牛が劣悪な環境で飼育されていることに対し、動物福祉の観点から向上を図るという意味でもあり動物が有する最低限の権利として、または人間が家畜動物に約束する基本的な条件として発表されました。

現在では、ヨーロッパでもfree range(放し飼い)の鶏や卵が主流となり始め、日本でもスーパーなどで見掛けるようになりました。また、乳牛に関しても自由に放牧されている自然に近いような環境での飼育も人気があり、選んで購入される方々も増えてきているのではないでしょうか? 

こういった意味でも、この発表は動物福祉に目を向けるということでも、大きな転機となりました。

考えてみよう!

まずは、上記の5つの項目に関して、自己で良く考えて見てください。

1つ1つの項目に関して、その文章の意味とその裏にある本質的な部分を私もこのプロセスをイギリスの授業で行い、実は動物福祉とは、深くそして多方面に包括的に考えなくてはいけないと実感したものでした。

疫病にならないことを保障する
通常ワクチンや予防接種を受けさせていたり、栄養面を気にしてご飯を与えていたので、「問題ない!」と思っている方が多いと思います。

しかし、人間による極端な品種改良による股関節形成不全や膝外骨脱臼などの遺伝病はどうでしょうか? 確かに飼い主個人としては出来ることは少ないと思いますが、このように逆に人間が生んでしまっている病気も多くあるのです。

そして最近では、生活習慣病の癌や糖尿病に罹る犬も多くなり、これらの病気はあまり自然界では見られません。よって、人間が罹患を助長している可能性が高く、懸念されている内容でもあるのです。

空腹や喉の渇き、栄養不良に陥らないことを保障する
これには、食餌と食事の両方が含まれます。私も含めて多くの飼い主が、この分野ではほぼ達成されていると思います。いつでも新鮮なお水にアクセスでき、時間になれば栄養バランスのとれたフードを与えていることでしょう。

しかし、そのフードの内容と自然界での食餌の状況は同じでしょうか? 自然界の犬科の動物は時間を掛けてハンティングをし、その後長くて約2時間もの時間をかけて食べ、ボウルから5分で食べる様なことはありません。また、お水もペットボトルやボウルから飲むのではなく、川や水たまりなどを利用します。

極端な暑さや寒さの不快にならないような環境を保障する
夏になれば冷房が、冬になれば暖房が利用され、その温度は適正に保たれていることが多いと思います。しかし、真夏の焼けるアスファルトの上を歩行するということや、夏でも洋服を着せるなどということは如何でしょうか? 

また、イギリスでもそうですが、アラスカン・マラミュートを飼っていた経験からすると、彼らの様な犬種は真夏の天気には対応できず、ぐったりとしていた記憶があります。

その為に冷たくなるプレートを購入し、風通しの良い日陰の環境を用意し、暑くなればプールに自ら入るトレーニングもしました。これにより、自分で体温を調整できる選択を与え、ストレスを軽減させていましたが、本来の姿ではありません。

物理的な動きの自由を保障する
この項目は簡単な様で、実は日本の都市部の環境ではとても難しいと思われがちです。これは、犬が、寝たり起きたり、ストレッチをしたり、ある程度動ける環境を提供するということで、マンション暮らしでは多くのスペースを確保することが難しい為です。

また、仕事に出かけている間にクレートやケージに入れておかなければいけないことが多いことも、考えなければいけない内容となります。自然界では、犬科の動物の睡眠は12-14時間と報告されており、それ以外の約半日は起きていて、様々な活動をしていることになります。

自然な行動を自由に表現できることを保障する
これにも多くの検討すべき内容が含まれ、行動学の観点からもとても重要になります。

これは宿題ということで、上記の1から4で読んでいただいた内容を踏まえ、愛犬のまんまるの眼を見つめ、いつもより少しだけ観察に割く時間を増やしてみてください。そうすれば、一番近くにいる愛犬先生の行動が、多くの答えを提供してくれるはずです。

黒いシェパードの顔

最後に

犬たちと一緒の空間や時間を共有できることは奇跡です。その素晴らしい時間を有益に過ごし、思いっきり楽しんでください!

彼らが教えてくれる様々なことに、耳を、目を、貸してみてください。きっと、とっても多くを教えてくれると思います。そして、その声を大切に過ごしていければ、犬たちのもっと多くの「笑顔」が得られることと思います!

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清水 克久(しみず かつひさ)

清水 克久(しみず かつひさ)

英国Natural Animal Centre (http://naturalanimalcentre.com/)で、ケーナイン・ビヘイビアーとバッチフラワーレメディを学び、アニマルプラクティショナー(BFRAP)を取得。ストレスケアを中心に、行動学や生理学など科学の面からも解説するケーナイン・ストレスケア・スペシャリスト。元Dog Actuallyライター。ホリスティックケアカウンセラー。
清水 克久(しみず かつひさ)

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