2019.11.22心のケア

知ってるようで知らなかった、正しい犬の叱り方

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知ってるようで知らなかった、正しい犬の叱り方
「家の中では家族の一員。一歩外に出れば社会の一員」
犬へのきちんとしたしつけは、犬が幸せな時間を過ごす為にも大切です。他人に迷惑を掛けず、一緒に楽しい時間を過ごしたいものですね。そこで重要なのが、犬に好ましくないことを伝える=正しく叱ることです。実は正しく叱ることはとても難しく、叱り方によっては逆効果になってしまうこともあります。この記事を読んで、叱ることが犬にとってどんな意味を持つか、ぜひ知識として蓄えてみてください。
なお、この記事は犬を叱ることを推奨しているものではありません。愛犬の性格や場面に応じて、適切なコミュニケーションをとれるよう、学びを深めていただければと思います。

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犬の叱り方を間違えるとどうなるの?

知ってるようで知らなかった、正しい犬の叱り方
一言に「叱る」と言っても、言葉で注意する、リードを強く引っ張って物理的なショックを与える、大きな音を出して五感にショックを与える、などその方法は多岐に渡ります。しかし、こういった犬たちにとって嫌な刺激(嫌悪刺激)を与える方法は、間違えると犬にトラウマを与えたり、飼い主との関係性が壊れてしまうことにつながります。例えば、マズルを掴む、犬をひっくり返して押さえつける、体罰を与える、チョークチェーンや電気ショックを与える首輪などのグッズを使うのは次に説明する理由からおすすめしません。

犬にトラウマを与えてしまう

犬にとって嫌な刺激が強すぎた場合、犬たちは「学習」という過程を通り越して、一気に「大きな嫌なこと」として記憶します。言い方を変えれば「トラウマ」をつくってしまうことになり、頭が理解する前に身体が反応してしまうようになってしまいます。そして、一度心に深い傷を負った犬のトラウマを取り除くことは簡単ではありません。

飼い主との関係性が壊れる可能性も

叱るという行為は、飼い主との信頼関係にも大きく影響してきます。普段から友好的な関係が築けている場合、多少のことではその関係は壊れません。しかし、いつも怒ってばかりいたり、ごはんを与える程度しか接点がないような関係の場合、叱ることで犬は飼い主のことを「嫌なことをする人」と見なします。その結果何が起こるかというと、愛犬との関係が望んだものではなくなってしまうことがあるのです。

【関連記事】犬との主従関係は大切?主従関係のチェックと築き方

じゃあ正しい犬の叱り方ってどんな方法?

知ってるようで知らなかった、正しい犬の叱り方
飼い主の気持ちとして、なるべくなら愛犬を叱りたくないものですよね。しかし、犬の行動が命に関わるときや他人に対して非常に迷惑を掛けてしまう行動の場合、叱ることは必要です。さらに、適切な強さ・タイミング・頻度で叱ることで学習のスピードが変わるため、これらのポイントをしっかり掴んでおくことで、効率よくトレーニングすることが可能になります。

叱る強さ

知ってるようで知らなかった、正しい犬の叱り方
叱る際の強さですが、弱すぎても強すぎても効果は低くなってしまいます。弱ければ犬の印象に残らず、強すぎたらトラウマになってしまいます。そこで、叱る強さのポイントは、犬たちのボディランゲージを読みながら少しずつ強めていくのがベストです。例えば、極度に耳が後ろになっていたり、震えてしまっている場合は叱る強さが強すぎる可能性がありますし、叱っても我関せずといった感じであれば、もう少し強く教えていく必要があります。ベストな強さの目安として、犬がこちらへのアイコンタクトをしつつ(集中している証拠)、耳も下がらずこちらに向いており、尻尾も軽く振っているか普通の状態です。

叱るタイミング

全てのトレーニングにおいて同じですが、犬が行動と結果の関連性を認識していなければいけません。よって叱るのにベストなタイミングは、その行動が見られたときです。好ましくない行動をした瞬間に間髪入れずに叱ることが重要です。
犬たちはとても楽観的な性質をもっていますので、例えばトイレ以外で粗相をしてしまった場合、帰宅後に発見して「ダメでしょっ!」と叱ったとしても、犬はトイレの失敗と今叱られていることを結び付けられません

叱る頻度

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同じ状況が繰り返されることで、犬たちもより学習が早くなります。よって、頻発する行動に関しては、面倒でも毎回見逃さずに叱ることが重要です。
例えば、吠えてほしくない場面で吠えてしまう犬がいたとしましょう。
これは確率の問題で、
① 10回中10回叱られる=100% 叱られる
② 10回中2回叱られる=20%叱られる
ということになり、②の場合、逆の言い方をすれば、80%の確率で吠えてほしくない場面で吠えることに成功してしまっているのと同じです。よって、「好ましくない場面で吠えたら叱る」ということを繰り返す必要があり、注意深く観察し機会を逃さないようにするのがコツです。

犬が叱られないよう誘導してあげよう

叱られることは、どちらかというと気持ちの良いものではありませんよね?しかし、誰しも褒められるということは嬉しいことであり、モチベーションも上がります。これは犬たちでも一緒です。よって、例えばトイレトレーニングの際、排泄しそうな気配があれば、急いでトイレに誘導し、そこで排泄をさせます。この時に、出来た場合はメチャクチャ喜んで褒めてあげてください。または、ご褒美としておやつをあげるのも良いと思います。この様に叱るよりも犬が成功するよう助けてあげることで、犬たちはその行動を多くするようになります。

おわりに

きちんと叱るにも、犬の気持ちや状態をしっかりと把握し、その上で微調整しながら行うことが重要です。その為にも普段からしっかりと観察し、どうやったら犬たちが「笑顔」になれるか考えることも重要です。

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清水 克久(しみず かつひさ)

英国Natural Animal Centre (http://naturalanimalcentre.com/)で、ケーナイン・ビヘイビアーとバッチフラワーレメディを学び、アニマルプラクティショナー(BFRAP)を取得。ストレスケアを中心に、行動学や生理学など科学の面からも解説するケーナイン・ストレスケア・スペシャリスト。元Dog Actuallyライター。ホリスティックケアカウンセラー。