2019.07.05一緒に。もっと、

季節の変化?運動量?犬のストレスに最も関係しているのは”飼い主の〇〇〇〇”だった!

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季節の変化?運動量?犬のストレスに最も関係しているのは"飼い主の〇〇〇〇"だった!

犬との暮らしの中で「あ〜今犬と私の気持ちがリンクしてるな〜」と感じた経験は多くの方が持っていると思います。
ホラー映画を観て怖がっていたら犬も何だかソワソワしていたとか、とても嬉しい知らせを聞いて喜んでいたら犬もいっしょにはしゃぎ始めたり、また家族のメンバーが喧嘩をすると心配する様子でオロオロする犬も多いですね。
こんな場面を経験すると、ごく自然に「気持ちをわかってくれるんだね」と納得してしまいますが、犬には本当に人間の気持ちが伝わっているのでしょうか。
興味深い3つの研究をご紹介しながら考えていきたいと思います。

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犬は人間の嬉しいときの表情がはっきりとわかる

季節の変化?運動量?犬のストレスに最も関係しているのは"飼い主の〇〇〇〇"だった!
犬と人間では顔の表情が意味するところは微妙に違いますが、犬は人間の表情の意味がわかっているのでしょうか?

メキシコ国立自治大学の神経生物学者が、4匹の犬に面識のない人間の「喜び」「怒り」「悲しみ」「恐怖」「無表情」の画像を見せて、脳の反応をMRIで撮影しました。全てのMRIのパターンを見比べると「喜び」の表情を見た時だけ、脳の側頭皮質および尾状核(びじょうかく)における活動が増加していたことが分かりました。
これは、犬は人間のネガティブな表情の区別は不得意ですが、嬉しい時の表情だけははっきりと認識することができるということを意味します。

愛する犬のためにいっぱい笑顔を見せてあげなくては!という気持ちになりますね。

犬は自分以外に向けられたネガティブな音声にもストレスを感じる

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では耳からの情報ではどうでしょうか。
犬が感情に関する情報を脳で処理する時、ポジティブな感情に関することは脳の左側が、ネガティブな感情に関することは脳の右側が反応すると言われているそうです。

イタリアのバーリ大学の動物行動科学および生命倫理の研究者が、30匹の犬を対象に感情音声に対する反応を観察する実験を行いました。
犬の前に2台のスピーカーを置き、その両方から「喜び」「怒り」「悲しみ」「恐怖」を示す人間の音声を流したところ、犬たちは「喜び」の音声では顔を右のスピーカーに向け、「怒り」「悲しみ」「恐怖」では顔を左のスピーカーに向けました。
人間と同じように、体の左右それぞれの側は脳の反対側でコントロールされるので、犬は「喜び」の音声だけはポジティブな感情として脳の左側で反応したことがわかります。

また「怒り」「悲しみ」「恐怖」のネガティブな音声を聞いた時の犬のボディランゲージや心拍数から、犬のストレスレベルが上昇していたことも観察されました。

犬は人間の音声に込められた感情を判断できるだけでなく、ネガティブな感情の音声が自分に向けられたものでなくてもストレスを感じるという大切なことも分かりました。

犬はいっしょに暮らす人間のストレスレベルを映し出す

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さらに踏み込んで、飼い主が長期的にストレスを感じる状況にある場合、犬もまたストレスの影響を受けるのではないだろうか?という新しい研究の結果も発表されています。

スウェーデンのリンショーピング大学の生物学の研究チームが、58組の飼い主と犬のストレスレベルを測定して比較する調査を行いました。
調査は人間の毛髪と犬の被毛のサンプルを6ヶ月間隔で2回採取して、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを測定するというものです。
犬のストレスレベルは夏季と冬季の季節的な違いや、それぞれの犬の活動レベルも考慮に入れられましたが、それら様々な要因を超えて “犬のストレスレベルに最も大きく関係していたのは飼い主のストレスレベル”でした。

なんとなく「私が落ち込んだり元気がないと犬も元気がないように見える」と感じていたことが、こうしてデータとして相関関係が示されると「やっぱり」と思いつつも感嘆せずにいられません。
そして今まで以上に、犬が幸せでいてくれるよう責任を持たなくてはという気持ちが強くなります。

おわりに

季節の変化?運動量?犬のストレスに最も関係しているのは"飼い主の〇〇〇〇"だった!
犬が人間の表情から「喜びの気持ち」を認識していること、人間が発する音声からそこに込められた感情を判断していること、そして身近な人間がストレスを感じていると犬たちも同じようにストレスを感じるということ。
これらのことをデータや実験の結果として発表された内容とともにご紹介しました。

どうやら犬は私たちの気持ちを読み取っているだけでなく、心の状態を鏡のように映し出している部分もあるようです。
犬の生活に責任を持つために自分の健康にも注意しなくてはと日頃から考えていましたが、自分の心や機嫌の管理をすることも同じくらい大切なことのようです。
もちろん犬のことを抜きにしても心身の健康管理は大切ですが、犬のためだと思うとモチベーションも上がります。
科学によって犬の様々なことが明らかになるにつれ、ますます愛おしさが増して行く、犬という生き物はなんと素晴らしいのだろうと思いを新たにしています。

《参考URL》
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/134080v2
https://www.nature.com/articles/s41598-017-18417-4
https://www.nature.com/articles/s41598-019-43851-x

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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

米国カリフォルニア州在住。2005年から犬との暮らしをスタートして2匹の犬をそれぞれ15歳で見送りました。犬たちとの16年間で知識が増えると犬との暮らしが楽になることを痛感しました。自分が「へ〜!」と感じたことを堅苦しくなくお伝えしていきたいと思っています。