アロマを活用!メンタルケア編~犬をリラックスさせる方法とは?
癒しの手段の1つとして、注目されているアロマテラピー。最近では人が楽しむだけでなく、愛犬への利用にも注目が集まっています。犬にアロマテラピーを使うメリットの1つはリラックス(心のケア)に活用できるということ。たとえば、愛犬が怖がりで、留守番が苦手だったり、興奮しやすく落ち着きがなかったりなどの解決策として、ドッグトレーナーなどの専門家に相談することは非常に有効です。
アロマテラピーは、さらに無理なくこれらの問題をサポートする方法の1つとしておすすめです。今回は家庭で取り入れやすい愛犬へのアロマテラピーについて、ホリスティックケア・カウンセラーの日笠が解説します。
目次
アロマテラピーとは
「アロマ」は芳香、「テラピー」は療法で芳香療法と訳されますが、日本では医療や治療行為とは区別されています。主に「精油(エッセンシャルオイル)」という植物から抽出された天然の化学物質を使いますが、精油には植物が持つ有効成分が高濃度に含まれており、有益なものがたくさんあります。
しかし中には有害な物質が含まれているものもあり、精油の選択や使い方を誤ると身体に害を与える場合もあります。特に人と動物では、身体の大きさや代謝のしくみなどが異なるため正しく使うことが重要です。
どういう仕組みでリラックスに導くのか
<心身に働きかける香りの経路>
嗅覚によるもの
皮膚から浸透し、血液から全身に伝わるもの
吸入によって鼻の粘膜や肺胞から血液の中に入り、全身に伝わるもの
上記のうち、今回は「嗅覚によって身体に取り込まれた香り」のしくみについて説明します。精油の香り(成分)は鼻から吸入されて嗅神経に到達します。そして電気信号へと形を変えて脳の領域(大脳辺縁系)に伝わります。この領域は本能や感情、記憶などを管理する部位です。またストレスに対して常に身体を調整している部位(視床下部)とも深く関連している重要な領域です。たとえば鎮静作用をもつ精油の香りを鼻から取り込んだ場合、その成分を電気信号として脳の領域に伝え、その結果ストレスを緩和しリラックスすることができます。
しかしここで1点注意が必要です。これらのしくみは記憶とも深い関わりがあるため香りは思い出や記憶と連動します。つまり香りとよい記憶が結びついていればリラックスすることができますが、嫌な記憶や経験と香りが結びついてしまうと、いくら鎮静作用のある精油を選んだとしても、リラックスすることはできず不快になってしまいます。
犬にアロマテラピーをするときの注意点
①精油を用いるタイミング
犬も私たちも香りと出来事(経験)を結びつけて記憶しています。安心している状態、楽しんでいる状態のときにアロマテラピーを用いると、その香りとプラスの感情も共に記憶します。そしてその香りを嗅ぐだけでリラックスしたり、楽しいという感情が生まれるようになります。
反対に、恐怖やストレスを感じている時にアロマテラピーを用いると、その香りでマイナスな感情になるのです。アロマテラピーを行うときは、愛犬の体調がよく、リラックスしている状態であるときに行ってください。
②犬に使える精油・使えない精油
人間のアロマテラピーで使用できる精油であっても、動物には使えないものがあります。また使用可能な精油であっても、個体差や体調によっては使わないほうがよい場合があります。特に子犬やシニア犬、妊娠中、既往症のある場合は人も動物も、使用できる精油が限定されます。詳細はアロマテラピーに詳しい専門家へ相談するようにしましょう。また健康な場合でも特にはじめのうちはごく少量から使用し、様子をよく観察しながら徐々に慣らしていくことが大切です。
<動物に避けたい精油>
アニス、オレガノ、ウインターグリーン、ウォームシード、カラマス、カンファー、カシア、クローブ、サッサフラス、サンタリナ、ジュニパー(学名:Juniperus communis のものは使用可能)、セイボリー、タイム(レッド、ホワイト)、タンジー、バーチ、ビター・アーモンド、ヒソップ、マグワート、マスタード、ラベンダーストエカス、ルー、ワームウッド、ヤローなど
③注意が必要な精油
次に紹介する精油は、病気や体質によっては避けたほうがよいと考えられているものの一部です。
ティーツリー
動物への使用は注意が必要です。特に濃度には細心の注意が必要です。
ユーカリ
皮膚に刺激がある成分を含んでいるため使用する量に注意が必要です。なおホメオパシーの薬剤との併用はできません。
ローズマリー
てんかんや妊娠初期、高血圧のある動物や人には不向きです。
④愛犬の好みのニオイの見分け方
<パートナーの反応を観察する>
【例】
◎ 好きなニオイ:
自ら寄ってきてそのニオイをもっと嗅ごうとしたり、舐めようとするなど。
× 嫌いなニオイ:
不快に感じその場から立ち去ろうとする、顔を背ける、嗅ごうとしないなど。
<次のような反応が出た場合はただちに使用をやめましょう>
うろうろ歩き回る
過度によだれをたらす
クンクン鳴く、哀れっぽい鳴き声をだす
狂ったように転がったり、床などに身体をこすりつけたりする
くしゃみ、荒い鼻息 など。
※室内で芳香浴をしている場合はすぐに換気をします。
※愛犬の体調が戻らない場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
⑤品質のよい精油の選び方と保管方法
<品質のよい精油の選び方>
合成香料を混合した低質なものは避ける。
「精油の植物の学名・抽出部位」「製造方法」「産地」が明確なものを選ぶ。
<保管方法その他の注意事項>
開封後はしっかり封をし、ペットや子どもなどが誤って触らないように注意する。
引火性があるため火気の近くに置かない。
直射日光が当たらず、温度変化の少ない冷暗所で保管する。
※冷蔵庫での保管はおすすめしません。低温のため精油瓶の中の空気が水滴となり精油と混ざってしまうため品質が劣化するので避けましょう。
パートナーへの利用法
芳香浴の方法
お手軽派:お湯をそそいだマグカップ(動物が舐めないように注意)に精油を垂らす。
本格派:アロマディフューザーを使って室内に香りを拡散させる。
留守番が苦手なパートナーへの利用法
日常的にリラックスできているときに好きな香りで芳香浴をさせておきます。何度か試した後、まずは短い留守番時に、その香りを利用してリラックスに導いてあげましょう。また留守番時は安全なマグカップの方法がよいでしょう。(おすすめの香り:ラベンダー 、ローマン・カモミール、ネロリ、マージョラム 、プチグレンなど。)
※香りの好き嫌いは個体差・個人差があります。
おわりに
アロマテラピーは注意すべき点をきちんと押さえれば、副作用がでることも少なく、愛犬とともに楽しめます。ただし言葉が話せない愛犬への利用は人以上に注意が必要です。はじめはペット用に調合されているアロマテラピー用品から使ってみてはいかがでしょう。植物の恵みを日々の生活に取り入れて素敵な時間をお過ごしください。
参考:ホリスティックケア・カウンセラー養成講座テキスト
(注意)当講座では、猫に精油を使ったアロマテラピーはお勧めしておりません。
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Follow @greendog_com日笠 克枝(ひがさ かつえ)ホリスティックケア・カウンセラー 、ペットマッサージセラピスト、愛玩動物飼養管理士1級
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