2016.07.05皮膚・被毛のケア

体温に要注意!皮膚に汗をかけない犬を夏の暑さから守る自宅ケア

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体温に要注意!皮膚に汗をかけない犬を夏の暑さから守る自宅ケア

全身を毛皮で覆われている犬は、実は体温調節が苦手な動物だということを知っていますか?肉球をのぞいた体の大部分で汗腺が発達していないため、犬の皮膚は汗をかけません。犬にとって夏は、熱中症になりやすく、注意が必要な季節なのです。これからの本格的な夏の暑さからパートナー(愛犬)を守るため、今回は、暑さによる愛犬の体調不良や熱中症予防のための自宅ケアについてご紹介します。

犬の熱中症はどんな症状?異変に早く気付こう!

熱中症は、体内にたまった熱を外に放出することができず、体の機能に不調をきたす症状です。犬は人間のように汗をかいて体温を下げることがないため、冷たいものに直接触れて身体をひやしたり、「パンティング」という呼吸方法で、体内にたまった熱を外へ放出したりします。しかし、呼吸だけでは体温を下げきることができない場合は、体温調節がうまくいかず、熱中症にかかってしまうことがあるのです。

熱中症になると、まずハァハァと呼吸が苦しそうになり、足元がふらつき始めます。よりひどくなると、大量のよだれを出したり、目や口の中の粘膜が充血したりし始めます。

更に症状が進むと、おう吐や下痢、血便が見られたり、全身の筋がけいれんし始めたりします。意識が低下して呼びかけに応じず、眼球が不規則に動き出し、最悪の場合は死亡してしまうこともあるのです。そうならないように、早い段階で飼い主がパートナーの様子の変化に気付き、適切な処置を行うことがとても大切です。

夏はパートナーと一緒にお出かけする機会も多い季節ですね。けれど、日中、炎天下での長時間のお出かけや、熱いアスファルトを歩かせないからといってカートに入れっぱなしにするのも、犬にとっては大きな負担になります。真夏に毛皮で外に出ることを想像してみましょう。汗をかけない犬にとって真夏のお出かけは、それほど過酷なものと言っても過言ではありません。

どうしても暑い日中に出かける用事があるときは、凍らせた保冷剤をタオルでくるんだものをバッグに入れてあげたり、水で濡らして冷感がアップする犬用バンダナや犬用ウェアなどを着用させたりなど、必ずクール対策をして、外出はできる限り短時間で済ませましょう。

「服を着せるほうが暑そう」と思う飼い主もいますが、サマーカットなどで本来の犬の毛の機能が十分に発揮できていない場合には、UVカットできる冷感ウェアなどを着せてあげることで、パートナーを暑さと紫外線から守ってあげることもできますよ。

また、お散歩は早朝か日が落ちた涼しい時間帯に行きましょう。夏のアスファルトは50度を超える時もあり、マンホールのふたなど熱が集まりやすい場所は更に高温になります。足をやけどする犬もいますから、地面に触れて熱くない時間に連れ出してあげてください。

車のお出かけでもケアは必要です。長時間の移動では水分補給をまめに行い、1~2時間に1回はクール対策をして外に出してあげましょう。短い時間であってもエンジンを切った車内はあっという間に暑くなります。車の窓を少し開けているから大丈夫!などと、パートナーだけを車中に残すことは命にかかわります。絶対にやめましょう。

暑さに弱い犬種は要注意!

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特に暑さに弱い犬種がいるのはご存知ですか?

たとえば北国原産の犬は、もともと寒い国で育っているため、厚い被毛が熱を蓄える仕組みになっていて、寒さに強く暑さに弱いのです。

そのためシベリアン・ハスキーやシェットランド・シープドッグなどの北国原産の犬は熱中症のリスクが高まります。成犬だけでなく体力のない子犬、老犬は特に注意が必要です。

また、パグやボストンテリアなどの短頭で鼻の距離が短いタイプの犬も暑さに弱いという特徴があります。このタイプの犬種は呼吸機能が弱く、他の犬よりも体温調整がしにくいため暑さにも弱い傾向にあります。

暑さに弱いといわれるその他の犬種

短頭種

  • フレンチブルドッグ
  • シーズー
  • ペキニーズ
  • ボクサーなど

ダブルコートの犬種

  • コーギー
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ボーダーコリー
  • スピッツなど

これらの犬は特に注意が必要ですが、夏の暑さ対策は全犬種に必要だということを忘れないようにしましょう。

熱中症を予防しよう!夏のホームケアポイントは?

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愛犬を暑さから守るためには、毎日の健康チェックと過ごしやすい環境作りが大切です。

室内は直射日光を避けるため、薄手のカーテンを閉めておくようにしましょう。室内に熱がこもらないように、部屋は適度な換気を心掛けます。

またパートナーを自宅に残して外出する時には空調を25度~28度、湿度60%以下にキープし、新鮮な水を入れた給水器や皿を用意していつでも水分補給ができる環境を整えましょう。温度計・湿度計はパートナーが生活している高さ=床の高さに置いてあげている状態で確かめましょう。

部屋の一角にアルミプレートや冷却用のジェルマットをセットし、体を冷やせる場所を用意しておくのも良いでしょう。特に寝て過ごすことが多いシニア犬や硬いアルミプレートの上が苦手なパートナーには、ほどよいクッション性がある冷却マットも市販されています。最近ではその他にもパートナーが快適に過ごせる冷感グッズがたくさん市販されているので、パートナーに合ったものを上手に使って快適にすごさせてあげましょう。

室内では、直射日光の当たる場所にケージやハウスを置かないようにしましょう。窓を閉め切った部屋にお留守番をさせる場合には、エアコンや扇風機などで、必ず空調管理をしてあげましょう。

熱中症はできるだけ早く異変に気付くことが大切ですが、早い段階で気付くためには、普段の元気な状態を把握しておく必要があります。

普段から体調の変化に気付くためには、日々のパートナーとのコミュニケーションが大切。毎日なでたり、まめにブラッシングしてあげたりする時間を取り、呼吸や皮膚の状態など、パートナーの様子を細部まで観察することが、体調の悪化を防ぐ1つの方法となります。

犬の平熱は37.5~39.0度です。39.5度に上がると体温を下げるケアが必要です。40.5度を超えた場合、熱中症と診断されます。

もしも熱中症になってしまったら、すぐに涼しい場所に移動し常温の水で身体を冷やします。わきの下や首、足の付け根を冷やすと早く体温を下げられると言われています。さらに扇風機やうちわで風を送って体温を下げてあげましょう。

熱中症は元気に見えても急に具合が悪くなることがあるため、応急処置で体温が下がっても安心せず、必ず動物病院を受診しましょう。急な体調不良にもすぐに対応できるよう、まずは、かかりつけの獣医師を決めておく、夜間や休日診療をしてくれる動物病院を見つけておく、など普段から心構えをしておくといざという時に慌てずにすみます。

定期的に健康診断を受け、病気の予防やしつけの相談など、獣医師とこまめにコミュニケーションをとっておくとさらに安心できますね。

愛犬と暮らすためのホームケアのアドバイスは専門カウンセラーに相談してみるのもよいでしょう。無料で相談を受け付けてくれるところがほとんどです。大切なのは、ちゃんとした知識がある専門家が相談にのってくれるのかどうかを調べること。ホームページなどで確認して、信頼できるところを選びましょう。健康な犬の食事や生活のケアなどについては、想像以上に詳しく相談にのってくれる場合が多いものです。「もっと気軽に相談したい」「普段のケアは忙しい獣医師に聞きづらいな」と思った時などは、まず犬専門のカウンセラーを頼ってみるのもおすすめですよ。

おわりに

夏の暑さによって、犬の熱中症リスクは高まります。パートナーは、どんなに暑くても私たち人間のように自分で室温調節をしたり、冷えた飲み物を用意したりはできませんね。愛するパートナーを守れるのは私たち飼い主だけ。パートナーが快適に過ごせているかどうかを気をつけてあげましょう。パートナーとの日常的なコミュニケーションの中で様子を観察する習慣をつけておくと、もしもの時にも素早くケアしてあげられますね。

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「犬のココカラ」編集部 チームGREEN DOG 監修・執筆

GREEN DOGの獣医師、トレーナー、カウンセラー、グルーマーなど犬の専門資格を持ったプロたちが一つのチームとなって、責任を持って執筆または監修しています。