2017.09.15食事ケア

犬の栄養、気をつけていますか?年齢に合わせた栄養管理のポイントとは

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犬の栄養、気をつけていますか?年齢に合わせた栄養管理のポイントとは

いつまでも健康に楽しく暮らすためには、犬も人間も栄養管理が欠かせません。でもパートナー(愛犬)は自分で食事を選ぶことができません。そのため、私たち飼い主がしっかりと愛犬の食事に気を配る必要があります。

ここでは末永く健康な身体で犬生(人生)を歩んでいくために必要な栄養素や、年齢に合わせた与え方の工夫について、ホリスティックケア・カウンセラーの日笠が、紹介します。

年齢を問わず犬に特に必要な栄養素は?

犬の栄養、気をつけていますか?年齢に合わせた栄養管理のポイントとは

愛犬に必要な栄養素は人間と同じ

実は犬も人間も、必要な栄養素の基本は変わりません。そのため愛犬の栄養について検討する際は、年齢を問わず6大栄養素をバランスよく摂取できているかを確認しましょう。

6大栄養素とは

私たち人間が生きていくうえで欠かせない重要な栄養素を6つに分けたもので、たんぱく質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラル・水のことを指します。


水は成犬体重の約60~70%を占めており、生命維持にもっとも大切な栄養素です。消化に関わったり、体温調節をしたりする役割を担っています。水は飲み水として摂取するだけでなく、食事や食材自体が保有している水、体内で生成される代謝水があります。

タンパク質
主に体をつくったり生命維持をしたりする栄養素です。肉や魚、大豆製品などに多く含まれています。

脂質
体のエネルギー源として使われるほか、脂溶性ビタミンの吸収を助けたり、ホルモンや脳神経組織や細胞膜を作る材料にもなる栄養素です。主に肉や魚、植物の種子などに多く含まれています。

炭水化物
炭水化物は糖質と繊維質に分けられます。糖質は身体にエネルギーを供給し、血糖値を調整します。繊維質は腸の蠕動運動を促進したり、腸内細菌のバランスを維持したりなど腸の健康に働きかける栄養素です。前者は主に穀物(米や小麦など)やイモ類などに多く含まれています。後者は野菜、海草、豆類などに多く含まれています。

ビタミン
必要量は少ないものの、身体の機能や代謝を調整するために欠かせない栄養素です。13種類あり、緑黄色野菜やレバーなどに多く含まれています。

ミネラル
身体機能の維持や調節に必要な栄養素です。肉や魚、レバー、大豆、穀類、野菜など様々な食材に含まれています。

ドッグフードの栄養素は?

日本では「総合栄養食」と呼ばれるペットフードが一般的です。ペットフード公正取引協議会によると、「新鮮な水と一緒に与えるだけで、それぞれの成長段階における健康を維持することができるように、理想的な栄養素がバランスよく調製されている」と定義づけされています。また総合栄養食を証明する基準としてはアメリカの米国飼料検査官協会が提示するAAFCOの栄養基準が採用されています。

このことにより、総合栄養食といわれるドッグフードは、犬が必要としている基本的な栄養素を補うことができる食事と捉えることができます。ただし、理論的には補えても、犬が生き物である以上個体差があり、1種類の市販品だけではそこまで考慮することができません。またAAFCOには原材料の内容や質についての基準は設けられていません。フードラベルやメーカーの考え方なども参考にしながら納得できるものを選び、実際に試して、パートナーに合ったものを見つけていくことをおすすめします。

与すぎないほうがいい栄養素は?

実は6大栄養素は、どれも与えすぎはよくありません。中でも万病の原因になる肥満を予防するためには脂質と炭水化物(糖質)は適量与えることを心がけましょう。特にこれらは年齢を重ねるほど気をつける必要があります。気になる場合は、ダイエットのアドバイスを受けたり、普段の食事を脂質や糖質の少ないものに変えてあげたりなど、食事内容の見直しを図りましょう

ただし脂質も糖質も大切な栄養素です。特に脂質には「必須脂肪酸」という栄養素があります。中でもオメガ3脂肪酸はさまざまな病気予防に役立つ栄養素として注目されています。一般的なドッグフードには必ず含まれている栄養素のひとつです。手作り食の場合は忘れずに摂取することを心がけましょう。

年齢に応じた栄養管理の重要性

人間と同じように年齢とともに次のような症状に気をつけます。
太ってくる
脂の消化が苦手
下痢しやすくなる

また、一見若い時と同じような体格に見えても、年齢とともに身体の内側に老化現象が現れているケースもあります。例えば若い時より脂の消化が苦手になったり、下痢しやすくなったりといった内部の変化は、人だけでなく、犬も同じ傾向があります。

こうした変化に合わせて調整できるのは飼い主だけです。年齢に応じた栄養管理ができるように愛犬の変化には気をつけてあげましょう。

年齢以外に気をつけたいこと

・犬種特性
・生まれ持った個体差
・どんな生活を送ってきたか
・どんな食事を摂ってきたか
・心の状態:良いストレス(刺激)と悪いストレス(刺激)のバランスなど

犬種によるシニア期の違い
・超大型犬…5歳頃から
・小型犬…7~9歳頃から

プラスしたい栄養素は個体差によって変わる
たとえば老化による白内障の場合、必要な栄養素を摂取することで進行を遅らせることが期待できます。

白内障について詳しい記事はこちら→愛犬の目が白い!犬の白内障の症状や自宅ケアと予防法

単に年齢によってフードを変えるというのではなく、「今愛犬に必要な栄養素は何か」と考えるほうが、より適切な栄養管理やケアができます

年齢別栄養管理のポイント

犬の栄養、気をつけていますか?年齢に合わせた栄養管理のポイントとは

年齢ごとに必要な栄養素や与え方を押さえよう

幼少期

幼少期は著しい成長がみられる時期のため、体をつくるタンパク質や脂質を中心に、カルシウムやリンなどのミネラルなども大切な栄養素です

ドッグフードの場合
子犬用や全年齢用のものはこれらを加味して調製されているので、特にサプリメントとして追加する必要はありません

特に大型犬の場合、カルシウムを取りすぎると骨の異常につながる可能性があるので、子犬用のフードにカルシウムをプラスするのは危険です。

手作り食の場合
成長に必要な栄養バランスが必要です。特にタンパク質やカルシウム、リンが重要となります。犬の食事に関する基本的な知識が必要なので、難しい場合は、専門家に相談したり、無理せず市販品を併用するのも1つの方法です。

成犬期

6大栄養素をバランスよく取りながら、生活環境によって必要な栄養素や食事量を検討しましょう。

成犬期は運動量や去勢避妊の有無、体質や生活環境などによって個体差が現れてくる時期です。そのため犬種や年齢だけではなく、個体差に合った食事の種類・量を見定めてあげることが大切です。

ドッグフードの場合
記載されている目安量を体重だけを参考にあげてしまう人が多いですが、運動量が少ない犬の場合は与えすぎになる場合もあります。体を触り、あばら骨が確認できないようであれば肥満の可能性があります。逆にあばら骨が浮き出ている場合は、食事量が不足しているかもしれません。パートナーの状態に合わせて調整しましょう。

体重管理に関する記事はコチラ→教えてGREEN DOG!愛犬の適正体重を維持する食事とは

手作り食の場合
成犬期は体を維持する時期なので、子犬期ほどエネルギーは必要ありません。脂質や炭水化物を与えすぎないように気をつけながら、体型を維持する食事を心掛けましょう。

老犬期

運動量や代謝量が減り、睡眠時間が増える時期です。食事量を減らしたり、脂肪分を少なめにしたりといった配慮をすると良いでしょう。

また老犬期は、成犬期以上に個体差が現れる時期でもあります。タンパク質および必須脂肪酸をしっかり意識し、さらに老化によって衰えが現れた部分をケアするような栄養管理を心掛けましょう。

お腹の調子を整えてあげるサプリメントを
老犬の場合、消化器官が弱ってくると、栄養素を体に取り込むことができなくなり、衰弱の原因となります。お腹の調子を整えてあげるサプリメントを追加するなどしてケアしてあげましょう。

関節のケアも大切
また老犬期は、関節が弱くなったり炎症が起こりやすくなったりする時期です。予防のためにグルコサミンやコンドロイチンなどを与えたり、体重管理や運動も意識して関節機能の維持をはかりましょう。

手作り食の場合の注意点
若い頃に比べて代謝が落ちたり、脂肪の消化が苦手になってくる犬が多いので肉を与える場合は脂肪の少ない鶏のささみや胸肉(皮なし)、牛や豚ならヘレなどの赤みを選んであげると良いでしょう

また、必須脂肪酸は老犬期にも大切な栄養素です。魚油亜麻仁油などの利用も意識しましょう。

フードの切り替え方のコツ

愛犬のペースに合わせて時間をかけて切り替えることが必要です。特にシニア犬の場合は気をつけましょう

若い時は時間をかけなくてもフードを切り替えられていた犬も老犬期に入ると消化器官が弱くなるため、時間をかける必要がでてきます。無理せずゆっくり切り替えてあげましょう。切り替え期間は1~2週間程度が目安です。

まとめ

栄養管理は単に年齢だけでなく、愛犬それぞれの体質や生活環境なども考慮したうえで検討する必要があります。普段から愛犬を客観的に観察しておくとともに、適度な運動や食事を心掛けることが、長く幸せな人(犬)生を支えるコツです。それができるのは、愛犬の一番身近な存在である飼い主だけということも忘れないでくださいね。

※参考サイト

ペットフード公正取引協議会・表示について
http://www.pffta.org/hyouji/about.html

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犬の栄養、気をつけていますか?年齢に合わせた栄養管理のポイントとは

日笠 克枝(ひがさ かつえ)ホリスティックケア・カウンセラー 、ペットマッサージセラピスト、愛玩動物飼養管理士1級

ドッグライフカウンセラー 動物関連専門学校を卒業後、福祉関係の仕事を経てGREEN DOGへ。チーフカウンセラーとしてこれまで1000件以上の犬の健康・食事・しつけの相談を行う。現在はシニアカウンセラーとして相談を行うほか、専門学校での特別講義やセミナーなどでの講師としても活躍中。
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