2022.03.25一緒に。もっと、

北欧スウェーデンの子犬育て①~飼いたい犬種を決めるために~

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北欧スウェーデンの子犬育て①~飼いたい犬種を決めるために~

文と写真:藤田りか子

新シリーズの始まりです!本シリーズでは、スウェーデンにおける子犬探し&子犬育て事情について紹介します。全てが日本の状況にマッチするわけではありませんが、子犬をめぐる環境が少しでもよくなるよう、本シリーズがその参考になれば幸いです。みなさん、どうぞこれからもお付き合いをよろしくお願いします。

ブリーダーから子犬を買うのが一般的

子犬が欲しい、とおもったとき日本であれば多くの人は真っ先にペットショップに行くことを思いつくかもしれません。そこでどんな子、どんな犬種にしようかな、と考えることができます。ところが私が住むスウェーデンでは、さにあらず。ではどうするのか?

ご存じかもしれませんが、スウェーデンにはペットショップはありますが、店頭における犬猫の生体販売はありません。これは動物倫理に基づくもので、スウェーデン動物保護法でも定められています。子犬にとって、ぎりぎりになるまで母犬や兄弟犬と落ち着いた環境で過ごす、というのは精神衛生のためにも、今後の健全なメンタル発育のためにもとても大事なことです。

ペットショップで求めることができないのであれば、ではどうやって子犬を譲渡してもらうのか?ほとんどの人はブリーダーから直接子犬を買います。「全員がブリーダーから」と書かなかったのは、もちろんシェルターからあるいは個人から(ブリーダーではない人。例えば里親に出した人)得る人もいるからです。そして残念なことに、東欧のパピーミルから密輸された「安い」子犬を違法に買う人が最近都市部に増えているのも事実です。これは決して誇れることではなく、ヨーロッパ全体の問題ともなっています。それはさておき、大半はブリーダーから得るので、とりあえず今回はブリーダーとどんなふうにコンタクトをとって犬種を選ぶのか、私のスウェーデンでの経験を記しましょう。

初めてスウェーデンで犬探しを行ったのはかれこれ25年前のこと。インターネットが発達する直前でしたが、そのやり方は今に比べるとかなりアナログ風です。スウェーデンのケネルクラブやケネルクラブ傘下にある犬種クラブに問い合わせてブリーダーのリストをもらったものでした。自分の興味がある犬種を伝えると、ケネルクラブはその犬種のブリーダーのリストをプリントアウトして封筒で送ってきてくれます。

「飼いたい」だけでは迎えられない

リストをもらったら、そこに記されたとあるブリーダーにさっそく電話。するとまずは開口一番「あなた、犬種クラブでちゃんと資料をもらいましたか?それからこの犬種にするかどうかの検討した方がいいですよ」と言われました。

そういえば、犬種についてある程度インターネットで調べていたものの、犬種クラブには何も問い合わせていませんでした。なんといっても私は当時日本から来て間もなかったので、ケネルクラブに聞けばいいのだ、というところまでわかっていても、犬種クラブに問い合わせるまでアイデアが及んでいませんでした。

それにしても、これがスウェーデンのブリーダーなんだ、と今になって思ったりします。犬に対する倫理観がしっかりしているのですね。飼いたいという人に対して誰彼なしに両手を広げてウェルカムをしない。まずは犬種を知ってください、と買い手に要求をしてくる。当時、私も若く、たとえ日本とやりようが随分異なっていても、ブリーダーの言い分に疑問も驚きも持たず、そういうものか、と当たり前のように受け入れていました。若さというのは柔軟性があっていいものですね。

こんな環境で20年以上過ごし今に至っているので、スウェーデン風の動物倫理を自然に身につけるようになりました。逆に後から日本の状況を聞いて、びっくりしたものです。実はそんなに差があったんだ、と!

どの犬種と生活したい?自分で調べて考える

犬種クラブの連絡先をもらい、さっそく資料を請求しました。しばらくして犬種についての小冊子がいくつか送られてきました。そこには犬種クラブが3ヶ月に一度出しているニュースレターも含まれていました。これらを見ながら、この犬種を飼うということ、どういう人がどんなふうにこの犬と携わっているのか、ブリーディングを丹念に行うというクラブの在り方、などを知ることになりました。
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スウェーデンの犬種クラブから出されているニュースレター。だいたい年に4回ほど出される。もちろんクラブのメンバーが作るアマチュアの同人誌。しかし、ここには本やネットでは得られない、ブリーディングプロジェクトや健全性調査の結果など、たくさんの貴重な情報が!

飼いたいと思っていた犬種は当時、レオンベルガー、グレートデーン、マスティフなどでした。超大型犬種に当時とても興味があったのです。これらの送られたものを読みながら特にレオンベルガーに惹かれました。大型犬とはいえ、なかなかトレーニング性能がよいこと、水が好きな犬種であること、家族には優しいけれど、一方で他人に対してはそれほどすぐに気を許すタイプではなく、個体によっては番犬的性格も備えている、だから環境馴致トレーニングをたくさんしなければならないこと、などなど、犬の性質を飼う前から知ることができました。

とはいえ、どの犬種を選んだらいいか、最終的に決めることができず迷い、リストのブリーダーに相談をしました。そして「ドッグショーに行って、実際に見てみるのは?」とのアドバイスをもらいました。

ドッグショーは日本とは異なりスウェーデンではそこらへんで開催している犬愛好家の趣味の会のようなものです。それだけにドッグショーにいって飼いたい犬種を決める人も少なくありません。大規模なドッグショーでは、犬種クラブがブースを出していて、そこで犬種の紹介などをしてくれることもあります。私もいくつか犬種をみて、飼い主に「この犬種と生活するということは?」などと質問をして…。
そしていよいよ飼いたい犬種を決めました。

この続きはまた次回!お楽しみに!

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藤田 りか子(ふじた りかこ)

ドッグ・ジャーナリスト。レトリーバー二匹と自然豊かなスウェーデン・ヴェルムランド県の小さな村に在住。スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。犬の繁殖管理や福祉の先進国スウェーデンはじめ北欧の犬情報はもとより、ヨーロッパ各地の純血種の知識に詳しい。著者に『最新世界の犬種図鑑』。 現在ノーズ・ワーク(嗅覚を使うドッグスポーツ)に夢中、コンペティターでもある。