北欧スウェーデンの子犬育て⑤~夜は子犬といっしょに過ごす~
本シリーズでは、スウェーデンにおける子犬探し&子犬育て事情について紹介します。全てが日本の状況にマッチするわけではありませんが、子犬をめぐる環境が少しでもよくなるよう、本シリーズがその参考になれば幸いです。
クマが我が家にやって来て初めての夜。「独りでも大丈夫」というトレーニングを来て最初の日からやっておく方がいいだろう、と彼女を台所のパピーベッドに置き去りにして我々は寝室にいきました。
しかし初めての環境で初めて独りぼっち。当然です、クマは寂しさのあまり、クンクン鳴き始め、それがそのうち「ギャンギャン!」という叫び声に変わり…。私と当時の夫であるマッツはその鳴き声を聞きながら微動だにせずベッドで横たわっていました。
「この鳴き声に負けちゃだめだ、耐えなきゃ」
それはもう耳を塞ぎたくなる状況でした。
しばらくしてマッツがこう私に話しかけてきました。
「ねぇ、かわいそうだよ、やっぱり。寝室につれてきてあげよう」
「そうだよねぇ…。やっぱりそうかも…」
最初の決心をすでに曲げなければならない局面に立たされ、割り切れない気持ちではありました。が、正直言うとマッツの言葉は助け舟でした。彼の言うことも正しいかもしれません。
子犬のベッドを寝室に運びました。そこにクマを連れてくると、しばらくして彼女は安心してストンと眠りに落ちたと記憶しています。
ところで今の私には、連れてきたばかりの子犬を別の部屋に置き去りにして寝るなんてこと、絶対に絶対にありえません。飼い主と密接に身体的接触をとることで、子犬にどれだけ安心とやすらぎを与えるか、を経験でわかっているからです。それは飼い主と犬の絆につながっていくのですね。そしてこれも経験から言いますが、だからといって犬が甘やかされ我が家で問題犬になったことはありません。
ベッドをいっしょにシェアするというようなプロセスを通して
「私たちは同じ群れ、同じ家族の一員」
という連帯の感情が子犬の中で育まれるのだと思います。さらには
「ここが自分が属するべき安全な場所」
と愛着をもつようになります。子犬はトリーツだけで釣れるものではありません。愛着、とても大事な概念です。子供と親の絆とよく似ています。
その後我が家の家族になった犬たち、カーリーコーテッドレトリーバーのラッコ1、トド、そしてラッコ2(現在いっしょに住んでいる犬です)、ラブラドールレトリーバーのアシカ、みな、最初の夜から私の枕元で過ごしました。アシカの娘であるミミチャンに関しては、うちで生まれた子犬なのですでに7週目からベッドにぬくぬくいっしょに寝ていました。
そのときに心の中で湧き起こった感情が、これがなんとも幸せに満ちたものでした。お母さんが赤ちゃんを産んだときに感じるほんわかした感情があれなのでしょうか。私は子供を産んでことがないので定かではありませんが、きっとそれに近いものだと信じています。「幸せホルモン」と俗にいわれるオキシトシンの大放出状態だったに違いありません。そして子犬もそれを感じ互いにフィールグッドを経験し絆が強まっていきます。
もちろん、子犬をベッドに上げたくないと言う人は、無理にあげる必要はないと思います。子犬の寝床を自分のベッドのすぐ横においてあげてもOKです。そして手を伸ばして時々子犬を触る。そうすることで安心感を与えることができます。クマに対してはそのようにして夜を過ごしました。後にスウェーデンでとても有名な犬の行動カウンセラーによる講演を聞きに行ったとき、その先生が同じようなことを言っていたので、あれでよかったんだと確信することができました。
さて、でも子犬と朝までぐっすり眠れるだなんて考えてはいけません。何かって?そう、おトイレ!
こちら、次回にお話をしましょう。
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