北欧スウェーデンの子犬育て④~車の中でクン鳴きを…~
本シリーズでは、スウェーデンにおける子犬探し&子犬育て事情について紹介します。全てが日本の状況にマッチするわけではありませんが、子犬をめぐる環境が少しでもよくなるよう、本シリーズがその参考になれば幸いです。
ブリーダーのもとから我が家へ!
前回からの続きです。
レオンベルガーの子犬、クマがやっと自分の手元に!フワフワとして毛玉みたい、でも、すでにかなりでかいです。車の後部に備え付けた木の箱にクマをいれました。中には布団をしいています。これから約4時間弱の車の旅が始まります。案の定、車が出発してからしばらくして子犬はクンクン泣きはじめました。兄弟が恋しいのでしょう。こういうときは
「だいじょーぶ!だいじょーぶ!いい子ね、いい子ね、もうすぐだから…!」
などと子供をあやすようにやたらと声をかける必要はありません。犬の世界には人のように相手を慰めてくれる犬がおらず、だから私たちが与える慰めの意味はどのみち犬にはわかってはもらえないのです。むしろ、人もいっしょになって恋しいがためにクンクン鳴いているんだな、と犬が勘違いし余計に悲しい気持ちを助長させてしまうでしょう。
確かにクンクン鳴いているのを何も対処せず、そのまま運転をしながら聞いているのは辛いものです。とはいえ、もちろん声かけをするな、と言っているわけではありません。時々明るく話しかけてあげるだけで十分!こちらがポジティブでかつ毅然としている方が、かえって子犬に「勇気」を与えます。
車には木の箱を用意。そこにフカフカの毛布を敷いた。いざ、クマを連れて我が家へ運転!
デンとした性格は偶然の産物にあらず
そのうちクマは鳴き止みました。子犬のことだからそろそろおトイレにも行きたいだろうと、トイレストップのために道中の友人宅へ。その友人としばらく森を歩きながらおしゃべりをしました。森の中ですからもちろんリードはつけず。クマは「ここで置いていかれたら大変!」といわんばかりひょこひょこと我々について歩きます。これ以上孤独はごめん、というところでしょうか。それにしてもなかなか良いメンタルの持ち主です。私の友人に会っても何もおじけるような素振りも見せず。さすがレオンベルガー、何かにつけてデンとしていますね。
しかしこのデンとした性格は、いい加減な繁殖を受けていたら決して得られなかったものだと思います。そう、偶然の産物にはあらず。ブリーダーがデンとした性格になるようあえてブリーディングを行なったからこそ、です。そもそも大型犬のビビりぐらい恐ろしいものはないですよね。ビビり故に自分を守ろうと、相手に対して唸ったり最悪攻撃行動をみせるようになるでしょう。
その理由によって、大型犬のブリーディングは健全性もさることながら気質に関しても十分個体を選んで行わなければなりません。スウェーデンの大型犬種のブリーダーは当時80年代からすでにこの部分に気をすごくつかってブリーディングをしており、多くが気質テストをおこなってから親個体を選んでいました。
そしてその夜…
なんとか家にたどりつきました。クマをさっそく家の中にいれます。まずは台所から、そして居間へ。勝手にクンクンして辺りをにおっていましたが、そのうち床にどっこいしょと伏せの姿勢で横たわりました。特に私はサークルなどを子犬のためにもうけません。台所ならたとえ粗相しても、さっと拭けるような床材が使われているので、そこで自由にさせておきました。こうして徐々に新しい環境、私たちの存在に慣れてもらいます。
そして夜寝るとき。私は当時自分で犬を飼うのは初めてでした(実家では犬を飼っていたことがありますが)。夜、子犬は独りで寝るべきだと勝手に思っており、台所のパピーベッドに彼女を置き去りにして寝室にいきました。台所のドアは閉めました。
すると案の定クマはしばらくして寂しいあまりにクンクン鳴き始めました。寝室にまで聞こえてきます。当時の夫であったマッツが
「かわいそうだよ。置き去りにしちゃ」
と言います。
「え、どうしよう… 。」
できるだけ早期に「独りでも大丈夫」というトレーニングを入れるつもりだったのですが。
そのうちクンクン声が吠え声に変わっていきました。
「ギャンギャンギャン!」
ああ、どうしよう…。
《次回へ続く》
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