2022.01.14一緒に。もっと、

もっとノーズ、プリーズ!~日本で最初のノーズワーククラブ設立とそのルール②~ノーズワークシリーズその18(最終回)~

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もっとノーズ、プリーズ!~日本で最初のノーズワーククラブ設立とそのルール②~ノーズワークシリーズその18(最終回)~

写真提供:上田由咲・ジャパン・ノーズワークスポーツ・クラブ
文:藤田りか子

ジャパンノーズワークスポーツクラブという日本では初のスポーツとしてのノーズワークの協会が設立されたことについて前回お話しました。引き続き、クラブによるルールの解説をします。

日本ならでは、のターゲット臭は「ひのき」!

もっとノーズ、プリーズ!~日本で最初のノーズワーククラブ設立とそのルール②~ノーズワークシリーズその18(最終回)~

ノーズワークトレーニングに必要なグッズ
写真提供:ジャパン・ノーズワークスポーツ・クラブ

ジャパンノーズワークスポーツクラブのルールはスウェーデンのノーズワーククラブのルールに則っています。ただしスウェーデンでは最近NW1〜 NW3にくわえて、サミットという最上級のクラスが追加されました。このクラスは日本のクラブにはまだ存在しません。

日本とスウェーデンのルールの違いはまだほかにあります。クラスごとに加算されていくターゲット臭が異なります。スウェーデンではNW1からNW3の順にユーカリ、ローリエ、ラベンダーの芳香蒸留水(アロマ油を抽出する時に副産物としてできる蒸留水)を使います。日本も最初はこのルールに従っていたのですが、公式ルールの正定とともに種類を変更しました。なんと日本独自のにおいとして「ひのき」がNW3のにおいとして使われることになりました。ひのき(学名Chamaecyparis obtusa)は日本を起源とする樹木でもあり、日本のクラブならではのターゲット臭ですね。

そしてNW1ではこれまでユーカリだったのが、ローリエになりました。NW2ではローリエからユーカリに。なぜ、順番をスウェーデンのルールと逆にしたのか?日本の虫除けスプレーなどにはユーカリが含まれており、どこにでもあるにおいだからです。日常にあるにおいだと、犬は「これだ!」と認識するのが難しいかもしれません。その意味でスウェーデンではラベンダーがNW3で使われています。

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競技会に使われるターゲット臭。左からローリエ、ユーカリ、そしてヒノキ。
写真提供:ジャパン・ノーズワークスポーツ・クラブ

ノーズワーク競技会に参加するための「におい認識テスト認定証」って何?

ノーズワーク競技会に参加するには、スウェーデンでも日本でもまずは「ライセンス」を取得しなければなりません。それが「におい認識テスト」なるものです。これは犬が探すべきにおいをきちんと判別できるのかをチェックするものです。テストの形式は標準化されており、12個並べられた箱のうち、ターゲット臭の入った一つを犬が3分以内に選んだら、合格です。合格するとにおい認識テスト認定証が送られ、これが競技会参加のためのライセンスになるというわけです。クラス毎ににおい認識テストが存在し、NW1の競技会に出るにはローリエのにおい、NW2ではユーカリ、NW3であればヒノキのにおいを判別できるようでなくてはいけません。ただし、NW2とNW3においては、ディストラクション臭(誘惑臭)が隠されています。それに犬が引っかからないにように日頃からトレーニングをする必要があります。

におい認識テストの詳細はこちら

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筆者とアシカ、におい認識テストをトライしているところ。アシカはもちろん一発で合格!

ハイドはこんなところに隠されている

NW1とNW2やNW3ではやはりハイドが置かれる位置について難度差があります。ハイドとは隠されているターゲット臭のことです。NW1のハイドは、犬の鼻が届く場所に隠されています。もちろん目ではっきりと見つけられないように置いてあります。たとえばドアや引き出しの隙間、あるいは家具の脚の下などにあり、犬は鼻でリーチすることができます。しかしNW2やNW3になると、ハイドはたとえば引き出しの中、ソファの下でも鼻が届かないところ、に置かれることがあります。
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また高さについてもルールが存在します。NW1では床から最高120cmまで。とはいえ、どんな犬でも届くように、たとえばソファの背のところにあるなど、踏み台にできるものがある状況です。しかしNW2やNW3では最高180cmまでとなり、さらに踏み台はなく、「上ににおいがあるよ」と犬が気づいた行動をハンドラーが読まなければなりません。これはなかなか難しいですね。

そのために、犬にインディケーションという「見つけました!」を示す行動を教えるハンドラーもいます。インディケーションのパターンとしては、
 じっと臭源に向かって鼻を向けたまま立っている(フリーズ・インディケーション)
 においを見つけた途端に座る
というのもあります。インディケーションについては、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

犬の気質によっては競技会に参加できないことも?

どんな犬でもできるのがノーズワークですが、ただし競技会となるとその限りではありません。たとえば極度に臆病で、人が近づけないほどパニック行動を見せる犬、あるいは攻撃性が強すぎる犬、かつハンドラーが犬の行動をコントロールできていない場合など、は気質として競技失格が言い渡されます。その意味でも犬の気質を重視したブリーディングをする、さらには、子犬の頃から社会性をつける、環境馴致トレーニングをすることが必要となります。競技会は健全性を促進するものでもあります。

おわりに

ノーズワークは、犬であればどんな犬もが持つ「狩猟欲」を元にした犬のための遊びです。狩猟というのは獲物を襲う、という行動だけではありません。獲物を探す、ということも含まれています。その「探しごっこ」を犬種にかかわらず、どんな環境でもできるように作られたノーズワークは、数ある犬のアクティビティの中でももっとも優秀なドッグスポーツといっても過言ではありません。犬が持つ本来のニーズをぜひノーズワークを通して満たしてあげてくださいね。これぞ犬への最大なるプレゼントとなるはずです。

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藤田 りか子(ふじた りかこ)

ドッグ・ジャーナリスト。レトリーバー二匹と自然豊かなスウェーデン・ヴェルムランド県の小さな村に在住。スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。犬の繁殖管理や福祉の先進国スウェーデンはじめ北欧の犬情報はもとより、ヨーロッパ各地の純血種の知識に詳しい。著者に『最新世界の犬種図鑑』。 現在ノーズ・ワーク(嗅覚を使うドッグスポーツ)に夢中、コンペティターでもある。