2020.09.08心のケア

犬の「怖い」を克服するために「条件づけ」を利用してみよう

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犬の「怖い」を克服するために「条件づけ」を利用してみよう
犬が何かに対して怖いと感じることについて、近年はより重く受け止められるようになり世界各国でさまざまな研究が行われています。
怖いものが多過ぎたり、恐怖が強過ぎたりすると犬自身も辛いですし、一緒に暮らす人間にとっても頭痛の種になりがちです。
私たち一般の飼い主にとっての最大の関心は「どうすれば怖いものを克服させてあげられるの?」ということではないでしょうか。
タイトルにもあげた「条件づけ」は犬の恐怖症を克服するのに効果的だという調査結果が出ているのですが、具体的に何をしていけば良いのか、紹介していきたいと思います。

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花火の音が怖い犬への対策についての調査結果

犬の恐怖感情
犬の恐怖感情については、動物行動学や比較心理学、遺伝子科学などさまざまな方面から研究が行われています。
その中で少し異色だったのは2020年に発表されたスイスのベルン大学のコンパニオンアニマル行動学の研究者が、一般の家庭犬の飼い主を対象に行ったオンラインアンケート調査です。
花火の音を怖がる犬の飼い主1,225人に、花火イベントに備えてどのような対策を行ったか、イベント中の犬の様子はどうだったかなどについて回答を集め、その結果が分析されました。
調査結果から分かった、7割以上の人が効果を実感した対策は「条件づけを利用して犬に働きかける」方法でした。条件づけの方法と僅差で精神安定剤などの処方薬が続きました。
サンダーシャツなど犬の体に適度な圧力をかける方法は4割強の人が効果的だったと回答し、エッセンシャルオイルやフェロモンスプレーなどの代替療法では効果があったと感じた人は約3割でした。

犬の条件づけって、そもそも何でしょう?

行動の条件づけ
条件づけという言葉は犬のトレーニングの説明で聞いたことがあるという方も多いかと思います。よく耳にする言葉は『オペラント条件づけ』と『古典的(またはレスポンデント)条件づけ』です。
でも、これらの言葉を聞いてもどんな意味なのかは分かりにくいですね。実は私もこれらの言葉にちょっと苦手意識があります。
そこで、ここではオペラントの代わりに『行動の条件づけ』、古典的の代わりに『反射の条件づけ』と呼んでいきます。少しとっつき易くなったでしょうか?

     行動の条件づけ

  • 何らかの行動の後で良いことが起きれば、犬はその行動を増やします。
    反対に行動の後で嫌なことが起きれば、犬はその行動を減らします。
    例えば、目の前に出された手にタッチをするとトリーツをもらえることが繰り返されると、犬はハイタッチをするようになります。これが行動の条件づけです。
     反射の条件づけ

  • 多くの方がご存知の『パブロフの犬』あれが反射の条件付けの元祖です。
    犬に食事を出す際に毎回ベルの音を鳴らすと、犬はベルの音を聞くだけでヨダレを出すようになったというものです。
    何らかの条件で身体が反射的に反応するよう条件づける方法です。

花火の音が怖い犬の克服方法に利用されたのは反射の条件づけです。
厳密には反射の条件づけの中の一つである『拮抗条件づけ』と呼ばれる方法なのですが、これも簡単に『反対の条件づけ』と呼びます。

犬の気持ちや身体が反射的に「快」モードになるよう条件づける

犬の「怖い」を克服する
さて、いよいよ犬の「怖い」を克服するための2つの対策をご紹介します。
これらは花火のイベントの日だけ行うのではなく、日頃から繰り返し実行しておく長期戦の対策です。

対策①:反対の条件づけ

ひとつめは『反対の条件づけ』です。まず花火や雷など犬が怖がる音をダウンロードなどで入手します。効果音のキーワードで検索するとフリー素材がいろいろ見つかります。
音を犬が絶対に怖がらないくらいの小さい音で再生して、その度にトリーツを与えます。決して犬を怖がらせないよう注意深く少しずつ音のボリュームを上げていきます。
これを繰り返すことで、音(不快)が聞こえるとトリーツ(快)がもらえるという反対の条件づけが起こり、音に対する犬の不快感が打ち消されていくというわけです。
怖い音を最初は小さく、少しずつ大きくして馴らしていく方法は脱感作法と呼ばれます。

反対の条件づけの方法は花火や雷に限らず、犬が怖がるものが分かっている場合には応用して使えます。例えば掃除機が怖い場合は、犬から遠く離れた場所で掃除機のスイッチを入れてトリーツという方法を根気強く繰り返します。
トリーツはチーズやレバーなど香りが強くて犬にとって魅力的なものをごく小さく切って少量ずつ与えます。

対策②:リラクゼーショントレーニング

もうひとつはリラクゼーショントレーニングという条件づけ方法です。
これは普段から習慣のように行っておくと、いろいろな場面で重宝な条件づけです。
静かな環境で犬の体をマッサージしたり、ゆっくりと長いストロークで撫でたりして犬をリラックスさせます。その時に「リラックス〜」「いい子ね」など毎回決まった言葉をかけてリラックスした状態と言葉を関連づけるようにします。
これによって、怖い音がした時にマッサージ無しで言葉だけでも犬の心と体を快モードに切り替えることができます。

どちらの方法も犬にも人にも負担がかからず、怖いものを克服する対策を立てながら愛犬との絶好のコミュニケーションにもなります。
声かけだけで犬の心身の緊張を和らげることができれば、病院での診察時などにも役立ちます。
ベルン大学の研究者は、新しく犬を迎えた時には、大きな音に対して恐怖を示さない子でもこれらの条件づけを行うことを推奨しています。

おわりに

スイスの研究者が調査した、花火の音が怖い犬のための対策で効果的だった条件付けを利用した方法をご紹介しました。
犬が何かを怖いと感じることは、その正体を理解できない分、人間が思っているよりも深刻なことです。犬によっては花火や雷の後は数日にわたって体調を崩す場合さえあるので、怖いものに対する対策は犬の福祉のためにとても大切です。
コントロールされずに放置された恐怖感はパニック状態を引き起こして、脱走や周囲の人や動物への攻撃に転じる可能性もあります。
ここで紹介した方法とサンダーシャツや代替療法を組み合わせたり、防音対策を強化したりして、愛犬が怖いものを克服するお手伝いをしてあげてください。

《参考URL》
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S155878782030037X?via%3Dihub
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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

ガニング 亜紀(ガニング アキ)

南カリフォルニアにて、12歳のドーベルマンミックスと11歳のミニピンと暮らしています。2011年から6年間ブログメディアdog actuallyに執筆しておりました。 アメリカのユニークなペットフード事情や、犬の心と体のケアに関する情報の中から日本の犬たちにも役に立つものをお伝えしていきたいと思います。