愛猫が水を飲まない理由と健康リスク~水を飲ませる工夫を紹介

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愛猫が水を飲まない理由と健康リスク~水を飲ませる工夫を紹介

スタッフコラム83話目

蛇口から出る水を飲む猫

猫は水を飲まないと言われていますが、みなさんの愛猫(パートナー)はいかがですか?

現在の獣医学では猫に多い病気と水分の関係性は高く、健康なご長寿を目指すには水分を摂ることが大事なことがわかってきています。

では、なぜ猫は水をあまり飲まないのでしょう。喉が渇きにくいなど理由があるのでしょうか?

今回は、愛猫が水を飲まない理由と健康へのリスク、そして飲水量を増やす工夫についてペットフーディストの山本が紹介します。

猫の祖先は砂漠で暮らしていた動物。自由に飲める水が少なかったため、水分を節約する能力が高い体に進化しました。私たちや犬と比べて体内で水を再利用する能力がすぐれています。
そして水分は自然の水源以外に獲物から得ていました。猫が捕食する小動物の体の70%は水分なのです。

私たちと暮らす愛猫の体も祖先から受け継いだ機能を持つため、私たちや犬ほど水を積極的に飲む習性がありません。ですが、主食がドライフードの場合、食事から摂れる水分はほんのわずかです。水をしっかり飲まないと水分不足になることもあるので気をつけてあげましょう。

水分不足時の症状

目のまわりのケアをしてもらう猫

粘り気のある目ヤニ、鼻水

猫の口や目の粘膜が乾燥している場合は、水分不足のサインです。乾燥により免疫力が低下するので、目ヤニやドロッとした鼻水が出てきたり、口内炎が出来やすかったり、気づきやすい症状が出ることがあります。

尿の量や色が変わる

いつもより尿の量が減ったり、色が濃くなったり(匂いがきつくなったり)する場合は、水分不足のサインです。尿路結石や腎臓病の可能性もありますので、いつもと違う状態だと気づいたら早めに動物病院で診てもらいましょう。

皮膚の弾力がなくなる

猫の首の皮膚をつまんで離すと、すぐに元に戻らない場合は、重度の水分不足のサインです。(肥満度など個体差も大きいので、愛猫が健康な状態のときによくつまんでおいて、通常の状態を知っておきましょう)

健康に問題が無い時から愛猫のおしっこの状態を把握しておくことは大事です。猫砂を使用していても、どれくらいの塊になるか、頻度や匂いなど、チェックしておきましょう。

愛猫の可愛い顔だけでなく、排せつ物や口の中、目や鼻のまわりも写真を記録として撮っておくといいでしょう。いつから変わってきたか判断しやすくなります。

愛猫の飲水量を増やす7つの工夫

愛猫が見ている時におやつを投入してみる

愛猫が見ている時におやつを投入してみる

愛猫に水を飲ませるには、猫本来の習性、特に狩猟本能を刺激する方法が効果的です。以下は、猫に合った水分補給方法です。

動く水に興味がそそられる

猫は流れる水に興味を示しやすいです。水を循環させるタイプは水の動きが見えるので猫の好奇心を刺激します。試しに猫が見ている前で、水の中にそっと何か食べものを落としてみてください。興味を持って近寄り水を飲むのかもしれません。
水の表面が風や振動で動いているのが見えるよう器にたっぷり水を入れておくことも効果的です。
※食べ物を入れた場合は、飲んだ後に入れ替えて清潔を保ってください。

水の入れ替えをこまめにする

猫は新鮮な水を好む傾向があります。水の入れ替えを1日に数回行ってみましょう。

風味のついた水を好む

猫は水の味にも敏感です。水に魚の缶詰やチキンスープなどをほんの少量加えると、気にいって飲むことがあります。ただし、塩分や添加物が多いものは避けるべきです。乳製品を好むので猫用ミルクをおやつ代わりに与えるのもいいでしょう。 または猫用のドリンクやウェットフードをあらかじめ製氷トレーに小分け冷凍し、水の中に投入してあげると喜ぶ場合があります。(飲み水の温度もその時の気分や体調で反応が異なります)

水の容器を変えてみる

猫は水の容器や場所にも好みがあります。タイプによっては器にヒゲが当たらない深さが浅い器が好まれるという情報も多いです。ですが飼い主のマグカップ、透明なガラスのコップ(割れないように注意)などから飲むことを好む場合もあり、好みはさまざま。その時の気分によっても反応が変わります。

静かで安全なところに水入れ器を置く

同居猫より立場が弱い猫や、まだ家の環境に慣れていない猫は、安全を確認できる場所でないと飲むことができない場合が多いです。状態に合わせて静かで安らげる場所に置いてあげましょう。

水と食事は離れた場所に置く

タイプによっては水とフードの距離を離した方がいいという説があります。猫は新鮮肉食派なので、獲物の腐った肉や血が混じっている水を飲まないように、獲物から離れた場所の水を飲むという説です。 もし気になるようだったら、フードの器とは離れた場所にも水を置いてみてください。

愛猫の通り道に置く

愛猫がよく通る場所に水飲み器を置き、気が向いたときにすぐに飲める状態にしておくと、飲む頻度が増えます。
一頭であっても家の中の数カ所に置くことが飲む量を増やす工夫になります。多頭飼いの場合は、頭数プラス1個が最低量になります。

水分含有量が多くて嗜好性の高いウェットフードと飲み物のご紹介です。主食、トッピング、間食としてもご利用ください。

猫はどれくらいの水分を必要としていますか?

猫の水分摂取量の目安は、体重1kgあたり50ml程度です。体重3kgなら150mlです。ただし、食事の種類や気温、運動量などによっても変わりますので、あくまで参考値です。 詳しくは「水分摂取量の目安と確認方法猫の水分摂取量」の項を参考になさってください。

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猫が水を飲まないとどんな病気になりますか?

猫の水分不足は、体の水和状態と関係性が深い膀胱炎、尿路結石、腎臓病などの病気の原因になることがあります。 詳しくは「水分不足の影響:健康リスク例」の項をご覧ください。排尿の様子に異変を感じたら早めに獣医師にご相談ください。

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猫はヒゲが当たる食器(水飲み器)を嫌がる?

ヒゲが当たらない食器の方が水を飲みやすいという情報もありますが、実際は飼い主のコップに顔をつっこんで飲むことを好むタイプもいます。
猫はいつもと違う形状の方に気持ちが寄せられる傾向も強いです。詳しくは「愛猫のごはんの与え方、フード選びから嗜好性まで詳しく解説>食器の形状は関係ある?」をご覧ください。

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蛇口から出る水を飲む猫

愛猫に水を飲んでほしい場合、新鮮さ、飲みたい時に飲める、が基本です。飲水量は、気温(室温)、運動量、食事中に含まれる水分に影響を受けるので普段から愛猫がどれくらいの量を飲んでいるか観察してみてください。

熱中症のリスクが高まるような時期だけでなく、水分が充分に摂れていない状況が続くと猫に多い疾患へのリスクも高まるので気をつけてあげましょう。

愛猫の飲水量を増やすには、水の入れ替え、好みの容器、興味をそそる水の動き、落ち着いて飲める場所、味付けなど、いろいろな工夫があります。愛猫やご家庭の都合に合った方法を選んで試してみてください。

愛猫とずっと一緒の時間のために、ぜひ「水分」を意識してくださいね。

【関連記事】猫が毛づくろいをする理由とブラッシングについて

【参考資料】
・ナチュラルキャットケア:ブルース・フォーゲル著 (発行)ペットライフ社
・小動物栄養学:阿部又信著 (発行)日本小動物獣医師会
・小動物の臨床栄養学 第5版 (発行)マーク・モーリス研究所

愛猫のフードやおやつ選びや健康サポートにお悩みの際は「ごはんの窓口」にご相談ください。

筆者

愛犬とペットフーディスト

ペットフーディストアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーペット栄養管理士犬の食事療法インストラクター上級師範

山本 由能(やまもと ゆの)

現在の愛犬との生活がきっかけで犬の食事や心のケアについて勉強を始めたことがご縁となりGREEN DOGへ。
自身も飼い主のひとりとして愛犬との生活を楽しみ介護も経験。
日々の業務では主に犬の栄養学や健康維持に関する情報を発信しています。

GREEN DOGへようこそ はじめての方へ伝えたい、わたしたちのこだわり。

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