2021.12.14一緒に。もっと、

その常識、もしかして古いかも?進化を続ける犬の心についての研究

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その常識、もしかして古いかも?進化を続ける犬の心についての研究
犬に関心のある皆さん、少し前から「犬の認知」という言葉を目にすることが増えたなと感じませんか?
認知と言うと加齢と共に認知機能が低下してしまう認知症が頭に浮かぶかもしれませんが、これは知覚、記憶、推論、問題解決などの機能が低下してしまう症状です。つまり認知とはこれらの能力の総称であると言えます。

犬の認知という言葉をよく目にするようになったのは、この分野の研究が近年大きく進んだからです。海外には犬の認知と行動に特化した研究所も数多くあります。

「犬の認知の研究」と言うと少し敷居が高く感じられるかもしれませんが、愛犬との毎日にとって大切なテーマでもあります。

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犬の認知と行動に関する研究は近年急増している

その常識、もしかして古いかも?進化を続ける犬の心についての研究
私はこの場を通じて「犬はこんな風に感じたり考えたりしているらしいですよ」と動物行動学や心理学の研究結果をご紹介することがよくあります。これらは「犬の認知と行動についての研究」と分類されるのですが、なんとたくさんの研究が行われているのかといつも感心させられます。

実際に過去20年間に犬の認知と行動に関する研究は大幅に増えているそうです。2020年にイタリアのナポリ大学の経済統計学の研究者が過去34年間の犬の認知と行動についての研究文献の統計分析を行ったところ、犬の認知と行動に関する研究文献のほとんどが2000年以降に発表されていました。

1993年から2005年に発表された犬に関する論文が218件であったのに対して、2006年から2018年では1,307件と6倍に増加していたということです。特に2005年以降に研究数が急増しており、研究者の数も増加しています。

犬が何をどんなふうに知覚してそれをどのように理解して行動に移しているのかという「犬の心」への関心の高まりが表れています。

犬の認知と行動の研究からわかってきたこと

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2000年以降に犬の認知と行動の研究が増加したことで、以前にはわかっていなかったことが明らかになったり、それまでの説や認識について間違っていた点が改められたりしています。

一口に犬の認知と行動の研究と言っても、その範囲はとても広いものです。具体的に言えば、前回ご紹介した犬の楽観的または悲観的な傾向についての研究は、犬が日常生活の中で認知していることが行動にどのような影響を及ぼすのかを示すもののひとつです。

他に犬と私たちの生活に密着したものでは「犬は人間の笑顔と怒った顔を判別して、表情が意味することを理解している」というものや「穏やかな声と叱責する声では穏やかな声によりよく反応する」という報告もあります。

犬と注意深く接している人なら経験や感覚で知っていたことが、科学的に裏付けられたというものも少なくありません。犬が人間を理解しているのに比べると、人間は犬のことをあまり分かっていなかったのが、ようやく犬に追いついて来たという気さえします。

犬との生活が長く経験豊富な人ほど情報をアップデートしよう

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これらの研究結果は犬のトレーニング方法、医療行為やトリミングの時の扱いなどにも取り入れられてさまざまな新しいやり方が考案されています。

トレーニングの方法はクリッカーを使ったり人間の動作を真似させたりと細かい点の違いはあれど、望ましい結果にトリーツなど報酬を与えて学習を定着させるというものが主流になっています。これは「エサで釣る」のとも甘やかし放題にするのとも違います。

犬が独自の感覚を持った独立した存在であることが科学的にわかった以上、彼らの認知のシステムに従って尊重することが犬にも人間にも良い結果をもたらすということです。

犬の認知と行動に関する情報がどんどん更新されている現在、犬と暮らしている私たちも犬の心についての情報をアップデートしておかなくてはなりません。

特に犬との生活が長く経験豊富な人ほどアップデートが大切です。新しい情報は自分自身が犬と接する際にはもちろん、トレーナーや動物病院を選ぶ際の重要なポイントにもなります。

「犬、動物行動学、認知」などのワードで検索すると、日本や海外の動物行動学の専門家のわかりやすい書籍が色々ありますので、楽しく読めそうなものを探してみるのもお勧めです。

おわりに

その常識、もしかして古いかも?進化を続ける犬の心についての研究
過去20年の間に犬の認知と行動に関する研究が増え、犬との接し方や人間の認識にも反映されているという話題をご紹介しました。

私が初めて犬を家族に迎えたのは2005年のことで、その頃から犬の研究が急増していたというのは少し不思議なような感慨深い気持ちです。昨年はその2005年に迎えたニコを見送り、先日は残されたニヤも天国に送り出して、今は16年ぶりの犬のいない毎日を過ごしています。

振り返れば犬の研究論文や関連記事を読んで「もっと早く知っていればなあ」と悔やむこともよくありましたが、助けられたこともたくさんありました。

犬が自分で考え選択したことは可能な限り尊重する、日々のケアや医療行為など必要なことも無理強いするのではなく犬が受け入れられる感覚を見つけるよう努力する。それらを胸に留めておけたことは今の自分の気持ちを少し穏やかにしてくれています。

犬の心をよく知ることは、犬と人間の両方の幸せにつながります。私も犬の心と行動についてこれからも勉強を続けていこうと誓いを立てています。

《参考URL》
https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-020-01448-2
https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-021-01544-x
https://www.mdpi.com/2076-2615/11/5/1360
https://vet.osu.edu/vmc/sites/default/files/files/companion/behavior/avsab-humane-dog-training-position-statement-2021.pdf

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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

南カリフォルニアにて、12歳のドーベルマンミックスと11歳のミニピンと暮らしています。2011年から6年間ブログメディアdog actuallyに執筆しておりました。 アメリカのユニークなペットフード事情や、犬の心と体のケアに関する情報の中から日本の犬たちにも役に立つものをお伝えしていきたいと思います。