2023.09.08一緒に。もっと、

犬が健康で長生きするために大切な「仲間とのつながり」とは?

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犬が健康で長生きするために大切な「仲間とのつながり」とは?

愛犬と暮らしている皆さんは「この子が健康で長生きできるように」ということをいつも考えていると思います。そのために食べるものや毎日の運動に心を砕いておられることでしょう。
飼い主さんたちだけでなく、世界の多くの科学者も犬が健康で長生きするための要素はなんだろうということを考え、調査し、検証しています。もちろん医療や食事は大切な要素ではあるのですが、人間と同じように社会的な生き物である犬にとって健康のために欠かせない大切な要素があります。

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ライフスタイルや環境が犬の老化や健康に与える影響を研究

犬が健康で長生きするために大切な「仲間とのつながり」とは?

犬のエイジングは多くの科学者が取り組んでいる研究課題ですが、中でも大規模なのはアメリカの30以上の研究機関が参加しているドッグ・エイジング・プロジェクトです。このプロジェクトは一般の家庭犬の飼い主から協力を得てデータを収集し、犬のライフスタイル、環境、遺伝などが老化や健康にどのように影響するかを研究するものです。現在プロジェクトに登録している犬の数は4万頭を超えています。

同プロジェクトに参加している研究機関のひとつであるアリゾナ州立大学生命科学部の研究チームは、プロジェクトに協力している家庭犬の飼い主さんたちに、愛犬が暮らしている社会環境が健康にどのように影響するのかを知るためのアンケート調査を依頼しました。

アンケートの質問には、家庭の家族構成(人間と動物の両方)、世帯収入、居住地(市街、郊外、農村部など)、住居(一軒家、集合住宅、庭の有無など)などの社会環境についての項目と、犬の運動(種類、強度、回数など)や健康(診断された病気の有無、可動性、飼い主による観察など)に関する項目が含まれていました。運動と健康については、回答に基づいてスコアが割り出されました。

最終的に21,410頭の犬のデータが集められ、どんな社会的な要因が犬の健康スコアや運動スコアに関連しているかが分析されました。

健康スコアの高さに関連していた社会的な要因とは?

犬が健康で長生きするために大切な「仲間とのつながり」とは?

健康スコアと運動スコアの両方に最も大きな影響があった社会的な要因、それはコンパニオンシップつまり「仲間とのつながり」でした。

他の動物と一緒に暮らしている犬は、運動スコアも高く、良い健康状態を保っている割合が高かったそうです。同居している動物は犬同士が最も多かったのですが、猫など他の動物でも同じ傾向でした。

他の要因では、飼い主の年齢が高い方が犬の健康スコアと運動スコアが高いという、少し意外な結果も見られました。年齢の高い飼い主は時間的な余裕がある可能性が高く、社会的な刺激となる犬との外出や一緒に過ごす時間が長いことが考えられます。これも犬にとってはコンパニオンシップにつながるのかもしれません。

また飼い主の年齢が高いと経済的にも余裕がある場合が多くなりますが、世帯収入などの経済的要因も犬の健康スコアと関連していました。経済的に余裕がある世帯では、犬の健康と運動のスコアが高かったということです。

時間や経済的な余裕が犬の健康に関連しているというのは現実的とも言える結果です。しかし仲間とのつながりという要因は経済的要因の約5倍の影響を与えていたそうです。犬にとって仲間やコンパニオンがいかに重要であるかは注目に値すると言えます。

家庭の中に犬の仲間がいなくても、私たち自身が愛犬のコンパニオン

犬が健康で長生きするために大切な「仲間とのつながり」とは?

犬は社会的な動物なので、仲間の存在が健康と密接に結びついていることはなるほどと思わせられますが、研究者は決して犬をもう1頭迎えることや頻繁にドッグランに連れて行くことを勧めているわけではありません。

犬によっては家庭の中で一頭だけで愛されることを好む場合もありますし、ドッグランなどで見知らぬ犬と出会うことがストレスになる場合もあります。犬という生き物の全体的な傾向を知っておくことは大切ですが、それぞれの犬が、何が好きで何が苦手なのかに注意を払って見極めるのは愛犬のコンパニオンとしての飼い主さんの役割であるとも言えます。

犬が乗り気でないのに他の犬に挨拶させようとしたり、ドッグランに連れて行っていきなりオフリードにすることは、犬によっては信頼関係を崩すことにもなりかねません。

多頭飼育はできないけれど、愛犬には心を許して楽しく遊べる犬仲間がいるという場合は素晴らしいことです。仲の良い犬同士の時間を積極的にとることは犬の心身の健康に良い影響を及ぼします。また犬仲間がいない場合には人間の家族が刺激や楽しみを共有できる愛犬のコンパニオンやパートナーになれば良いのです。

犬が退屈や孤独を感じることなく、仲間との良い関係を持っていることが体の健康や長生きにもつながるというのは当たり前の結論に思えますが、2万頭以上の犬のデータという裏打ちがあるのは心強いことです。

おわりに

犬が健康で長生きするために大切な「仲間とのつながり」とは?

さまざまな側面から犬のエイジングや健康を研究するドッグ・エイジング・プロジェクトの新しい調査結果から、犬の健康に(そしてその延長として長生きにも)最も強く関連している社会的な要因はコンパニオンシップ「仲間とのつながり」であるという報告をご紹介しました。

愛犬に対する思いは、家族、パートナー、親友など人によってさまざまですが、そのつながりが犬の心と体の健康を作っていると考えると、犬と良い関係を築こうという気持ちがよりいっそう強くなりそうです。

《参考URL》
Dog Aging Project
https://dogagingproject.org
Social determinants of health and disease in companion dogs: a cohort study from the Dog Aging Project
https://doi.org/10.1093/emph/eoad011

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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

米国カリフォルニア州在住。2005年から犬との暮らしをスタートして2匹の犬をそれぞれ15歳で見送りました。犬たちとの16年間で知識が増えると犬との暮らしが楽になることを痛感しました。自分が「へ〜!」と感じたことを堅苦しくなくお伝えしていきたいと思っています。