2021.02.05一緒に。もっと、

ペットロスと向き合う~最愛の犬を見送ることと飼い主の心のケア~

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ペットロスと向き合う

私事なのですが、昨年12月に愛犬ニコの最期を看取りました。
ニコがいなくなった寂しさや悲しい気持ちは大きさこそ変われど、この先ずっと抱えて行くのだろうと思います。しかし今はまだとてもたくさんのことが頭に浮かんでは消え、深く考え込んだり、一人で納得したりを繰り返しています。
動物の家族を失うということについて、心理学や精神医学の研究が数多く発表されており、近年はペットロスについて一般向けに専門家が書いた記事も増えている印象があります。
自分自身の経験と重ねながら、愛犬を悼む心のケアのことについて考えてみたいと思います。

ガニング亜紀さんの他の記事はこちら→ガニング亜紀さんの記事一覧

ニコとの別れ

愛犬ニコ

ニコは2005年に推定6か月齢の時にアニマルシェルターから我が家にやって来て、15年分の最高の思い出を残していってくれました。
13歳になるまで大きな怪我や病気もしたことがなかったので、2年前に腎不全と診断された時には流石に少し慌てましたが、食事療法や漢方薬のおかげで幸い大きな症状が出ることもなく、直近の昨秋の血液検査でも数値は改善していました。

11月下旬に食欲不振と嘔吐があり病院に駆け込みましたが、翌日にはいつも通りの様子になったのでホッと胸をなで下ろしていました。と思ったら、10日ほど経った12月上旬に突然全く食べられなくなり、検査の結果悪性リンパ腫と診断されました。
動物病院の先生は、ニコの体力の低下と年齢から抗ガン剤治療は負担が大き過ぎると思うという意見でした。私と夫はニコに残されたわずかな時間を家でゆっくり過ごすことに決めました。

心の中では混乱や後悔が渦巻きながらも、ニコとの最後の時間を可能な限り穏やかなものにするよう気持ちを集中させた日々でした。
そして診断から10日目という、あっという間のスピードでニコは天国に走り去ってしまいました。いつもワチャワチャキャッキャと飛んだり跳ねたりしていたニコらしい去り方だったと思います。

何をどうやっても必ず悔いは残るという覚悟

愛犬ニコ

ニコがまだ若くて別れの時などまだまだ先のことだと思っていた頃から、友人たちの愛犬の闘病やお別れの経験を聞いて、こうして少しずつ心の準備ができていくのかもしれないと考えていました。
その間に肉親の看取りも経験し、どんなに最善を尽くしたつもりでも、どんな選択をしようと、見送った後には必ず悔いが残るということを身にしみて悟りました。
最愛の犬たちのことも、何をどうやっても必ず後悔が残るだろうと覚悟してきました。

今ニコのことを考えると、覚悟していた通りに後悔や罪悪感が沸き上がって来ます。
「もっとしてやれることがあったのではないか」
「もっと注意して見ていれば早期に治療ができたかもしれない」
「安楽死を選ばなかったのは正解だったんだろうか」
そんな諸々のネガティブな気持ちも自分の中で全部受け入れて、ゆっくり消化しているところです。

近年の心理学や精神医学においては、ペットを失うことは人間の家族を失うことと同じだと捉えており、その痛みや悲しみを軽視することはペットロスからの回復を妨げるとしています。後悔も罪悪感もやって来ることが当たり前で一般的なことです。

また複数の研究が、他のあらゆる種類の悲しみからの立ち直りと同様にペットロスにも社会からのサポートが重要だと述べています。とは言え、社会全体で言えばペットを失った人へのサポートなどはほとんどありません。
だからこそ、愛犬を悼む悲しい気持ちを恥ずかしく思ったり否定したりすることは、自分自身で苦痛を追加したり長引かせることになるという認識が大切だとされています。

自分の心をケアするために

海辺での散歩 愛犬の足跡

犬と暮らすということは彼らの生活の全てに責任を負うことで、犬の生活は私たちのスケジュールにしっかりと組み込まれています。ですから愛犬を失うことは生活の中に大きな空白を作り出し、心と体の両方に影響を及ぼします。
犬がいなくなると毎日の散歩や犬友達との交流という時間が空白になり、生活のルーティンが崩れます。人によってはこれが心の喪失感以上のダメージになることもあるそうです。

心がある程度回復したら空白になったルーティンを埋める他のことを探すのも大切です。朝の散歩に行っていた時間に自宅でヨガをやってみる、週末はウォーキングやサイクリングをしてみる、などです。

もし身近に共感と理解を示して思い出話を聞いてくれる人がいればとてもラッキーです。アメリカではペットロスのためのカウンセリングも珍しくありません。ニコのかかりつけだった動物病院でもカウンセリングが必要なら紹介するので声をかけてと言われました。
日本ではペットロスのためのカウンセリングというのはまだまだ一般的ではありませんが、ペットロスの自助グループなどは少しずつ増えているようです。人に悲しい気持ちを打ち明けて聞いてもらうことは心の回復に大切です。

またSNSなどの「シニア犬オーナー」「ペットを見送った人」などのグループアカウントに参加して思い出を書き込むことも良い方法です。

大切なのは「大げさな」だとか「いつまでも悲しんでないで」と気持ちを否定するような言葉が出そうな場は避けることです。

私自身はブログなどにニコの思い出を書くことが心のリハビリになっています。書くたびに盛大に涙が流れますが、これもきっと自浄作用の一部なんだろうなあと感じています。

おわりに

愛犬のニコを見送ったことで私が感じていることや、心理学者などが提唱しているペットロスの受け止め方をご紹介しました。

どんなに大切に育てた元気な子もいつか必ず命の終わりが来ることも、責任を持って命を預かるというのは最期を看取って完結するのだということも、どちらも分かっているつもりでしたが、そこには悲しみや混乱や後悔も全部セットになって組み込まれているのだと今になって実感しています。

パンドラの箱のいちばん底に「希望」が入っていたように、悲しみや痛みの後には「涙が溢れるほど大好きだったあの子への感謝」がやって来る、それもまたはっきりと感じています。

《参考URL》
https://www.scientificamerican.com/article/why-we-need-to-take-pet-loss-seriously/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3659171/
https://moralinjuryproject.syr.edu

【関連】愛犬の介護に向き合うとき、少し心が軽くなる2つのリサーチ結果

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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

南カリフォルニアにて、12歳のドーベルマンミックスと11歳のミニピンと暮らしています。2011年から6年間ブログメディアdog actuallyに執筆しておりました。 アメリカのユニークなペットフード事情や、犬の心と体のケアに関する情報の中から日本の犬たちにも役に立つものをお伝えしていきたいと思います。