2018.11.20一緒に。もっと、

【犬種シリーズ】ライオンのみかけ、ドイツの超大型犬種レオンベルガー

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ドッグショーのレオンベルガー

文と写真:藤田りか子

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ライオンのような犬を作ろうと

レオンベルガーという大型犬がいます。その名前の「レオン」というのはライオンという意味であり、そういえば姿形もライオンのようです。赤茶色のコート、そして首のまわりにはフサフサと長い飾り毛。実はこの犬種、ライオンに似せようとして意図的に作られた犬種です。

原産国はドイツ。1840年、ヘンリッヒ・エッシス氏によって作成されました。彼はもともと犬のブリーディングにとても興味のある人で、いろいろな犬を掛け合わせてはどんな犬がでてくるかと、犬種作りの実験のようなことを行なっていたようです。

そして自分が住む街レオンベルグの紋章のモチーフである「ライオン」のような犬を誕生させてみたいという意図でこの犬種を作り上げました。

掛け合わせに使われたのは、セントバーナードやニューファンドランド、グレート・ピレニーズ。レオンベルガーは水が好きな犬種として知られていますが、なるほどその情熱はニューファンドランド譲りだったのですね。

ドイツの街、レオンベルグの紋章

ドイツの街、レオンベルグの紋章(https://en.wikipedia.org/wiki/Leonberg より)

こののんびり性格、実は強情なのか?それとも…!?

実は私がスウェーデンに移住して最初に飼った犬がこのレオンベルガーです。スウェーデンでは超大型犬の中でも非常に人気があり、決して珍しい犬種ではありませんでした。

当時街でレオンベルガーと散歩する人を見かける度に、「なんていう犬種なんだろう、なんて素敵な犬なんだろう!」と感嘆したものでした。

大きくて自信をもってのっしのっしと歩くその姿。バーニーズのはっきりとしたトライカラーやピレニーズの純白の美しさとはまた違う、野生的なコートカラーにも私は魅せられました。最初はアパート住まいだったのですが、一戸建ての家に引っ越したとたん、ブリーダーのところに足を運びまだ生まれぬ子犬を予約しました。

スウェーデンに移住して初めて飼った犬、レオンベルガーのクマ。北欧の寒い気候にもあった犬種です。

あれから20年の歳月が流れました。クマというレオンベルガーのおかげで、私はドッグライターとしてのきっかけも得て、愛犬トレーナーとしても成長しました。また彼女を通じてたくさんの素晴らしい犬経験もしました。

ただしクマとのトレーニングは決して一筋縄でゆくものではありませんでした。「フセーッ!」と三回目に声を張り上げときは、なんと座ったままプイっとそっぽを向いてしまいました。そのうち、訓練が開始するやいなや、その場でドテッと寝こんでしまうようにもなりました。

「う~ん、これは相当な傲慢極まりない大物か…??」 

こうして苦労を重ねながらも私は徐々に大型犬気質というものを学んでゆきました。飼い主が熱くなればなるほど、普通のイヌだったら一緒になって舞い上がりなんとか私たちの意向に沿おうとします。もっともこれが犬のストレス状態を引き起こすものですが、しかしクマの場合状況が自分のコントロール不可になれば、外界との交信を断ち切って己の世界にひきこもる。そうやって余計なストレスを自身に課さないよう、体力をセーブするようです。決して私を馬鹿にしたわけではなかったのですね。

もっとも今の私であれば、犬の心を見抜いてトレーニング・セッションを早めに切り上げるなど、飽きさせないように接したはずです。が、いやいや当時、初心者の私にはそこまで犬を読むことができませんでした。

競技会でのレオンベルガー

レオンベルガーという犬に何かを教える時は、「何が彼女/彼を動かすのか?」そのモチベーションについてじっくりと考えるのが大事です。レトリーバーなどと違うのは、人と何かをすること自体がご褒美にならない、ということ。

トリーツをご褒美に使うのであれば、その中でもどのトリーツが一番好きなのかいろいろ実験しながら探ってみます。それがわかって初めてクリッカー・トレーニングなどを導入するといいでしょう。

実際、クマはクリッカートレーニングには驚くほどよく応えてくれました。まったく物品持来ができなかったのですが、クリッカーを使ってから、ラブラドール顔負けの素晴らしいレトリーバーになりました。そして私が現在クリッカーを使う背景には、まさに過去のクマとのトレーニングがあります。難しい犬種をトレーニングすることで、飼い主のトレーニング・スキルは上がるということでもありますね。

たくさんの社会化・環境馴致トレーニングを!

レオンベルガーはのんびりしていますが、決して怠け者ではありません。むしろ学習するのは大好き。ただどうやったらモチベーションを上げることができるのか、そこを飼い主が突き止める必要はあります。そしてスウェーデンでは多くのレオンベルガーがオビディエンスのタイトルを取っています。決して複雑なトレーニングも不可能ではないというわけです。

もう一つこの犬種を飼う上で覚えておきたいのは、個体にもよりますが番犬気質の強いところもある、ということ。「ジェントル・ジャイアンツ」とも呼ばれていますが、決してその言葉の響きに惑わされぬよう。優しい犬になれるのは、社会化・環境トレーニングがきちんと施されていればこそ。さもないと、見張り気質が突出するリスクがあります。他の犬とすれ違うたびに「ガウガウ」状態になることも決して珍しくありません。

どんな犬についても言えることですが、責任を持ってきちんとおつきあいをすればレオンベルガーは素敵な相棒になること間違いなしです。

すくすく子犬BOX

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藤田 りか子(ふじた りかこ)

藤田 りか子(ふじた りかこ)

ドッグ・ジャーナリスト。レトリーバー二匹と自然豊かなスウェーデン・ヴェルムランド県の小さな村に在住。スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。犬の繁殖管理や福祉の先進国スウェーデンはじめ北欧の犬情報はもとより、ヨーロッパ各地の純血種の知識に詳しい。著者に『最新世界の犬種図鑑』。 現在ノーズ・ワーク(嗅覚を使うドッグスポーツ)に夢中、コンペティターでもある。