【犬種シリーズ】プーリー ~ドレッドヘアの犬はグルーミングも大変!
文と写真:藤田りか子
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ハンガリー出身の不思議な見かけの犬
世にも不思議なみかけの犬種、その決定版ともいえるのがプーリーです。なんとそのコートは縄のれん状!レゲエおじさんのドレッドヘア・スタイルのようですが、ただしその出身は決してカリビアン諸国などはなく、海には全く縁がない国、東欧ハンガリー。
この犬種、どういうわけでこんな姿をしているのでしょうか?もっともこの写真にあるようなプーリーのコート姿は入念な手入れの結果にすぎません。プーリーの毛は放っておくとアンダーコートとアッパーコートが絡み合い、だま状(フェルト状)になります。それを人間が手でほぐしてひも状にすることで、写真のようなドレッドなヘアスタイルが完成するのです。
プーリーのフェルト状に固まるコートにはそれなりの機能がありました。ハンガリーではもともと牧羊犬あるいは牧畜犬として活躍をしていました。冬は冷たい風の吹きすさぶハンガリーの大草原で生き残るため、そしてオオカミなどの肉食獣から守るために、コートの絡みあったゴワゴワ状の毛衣が役に立ったと言われています。
グルーミングサロンでプーリーに出会った!
この夏スロバキアを旅行していた時、訪れたとある街にて犬のグルーミングサロンを見つけました。一体スロバキアのグルーミングってどんなものだろう!と、入ってみたのですが、そこでみつけたのが、2匹のプーリーだったのです。スロバキアというのはハンガリーの隣国です。さすがと思いきや、そのプーリーの飼い主さんによると、愛犬はハンガリーのブリーダーさんから譲ってもらったのだとか!
「ハンガリーにはまだ牧場で牧羊犬として働いている犬もいるんですよ。その意味で原産国にはプーリーらしい気質をもった犬がたくさん残っています!」
2匹のプーリーたち、だれかサロンに入ってくるたびに、果敢にワンワンと吠えていました。いかにも牧羊犬らしい見張り上手な気質だと思いました。こうしてむかしから農場や牧畜を守っていたのでしょう。
プーリーと住むのならコートの手入れは必須!
ただしその飼い主さん、コートケアは苦手らしく、すべてグルーマーさんに毛衣の手入れを丸投げにしているとのこと。
「だいたい一年に3〜4回、こちらにいらっしゃるのですよ」
とグルーマーさん。放っておくとどんどん毛が絡み合いフェルト状の毛玉ができてしまいます。本来はそれを手でちぎりながら縄状にしていかなければならないのですが…! 特におしっことうんちが出るあたりの部位は、毛が固まっていることもあって、かなりにおいました。グルーマーさんは鼻にしわをよせながら、それをシェーブし始めています。
「ここまで放置されたプーリーのグルーミングは4時間かかります」
正直、かなり大変な部類のお客さんなのだそうです。何しろシャンプーした後に乾かすのも一仕事。ただし飼い主さんが自分でこまめにグルーミングしてさえいれば、実はそんなに手間がかかる犬ではないとも!私が飼い主だったら毛刈り機でシェーブして体全体ショートヘアーにしたくもなりますが、やはりプーリーを飼ったからには、この縄のれん状のコートを保つことそれ自体が楽しみの一つとならなくてはなりません。プーリーと住んでみたい!という人はコートケアを規則的に行う、ということを覚悟する必要もあるでしょう。
プーリーは犬じゃなくて、プーリー
重たそうな毛衣を装っていますが、プーリーは牧羊犬らしくとても活発で、身軽な犬です。とてもハキハキしており、全く犬との付き合い方を知らない犬飼初心者にマッチする犬種ではありません。そのパーソナリティの強さはハンガリーでもこのように言い伝えられているほど。
「これは犬じゃないよ、プーリーだよ」
たくさんのキャラクターが詰まった個性ある犬というわけです。番犬的なところはありますが、学習欲が強く順応性に優れています。多彩であり、そして家族に忠実。彼らの才能を十分に開花させてあげるためには、人の社会にフィットするようにしつけをしつつも、その犬らしさをアクティビティやコミュニケーションを通して上手に引き出してあげるのがコツでしょう。
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