【犬種シリーズ】ダルメシアン ~その歴史は優雅な馬車伴走犬
文と写真:藤田りか子
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美しさゆえの馬車犬
ダルメシアンのようにブチ模様が適度の大きさで均等にコートに現れている犬種は他にいないといってもいいでしょう。グレートデーンのハールクインに見られるガラスの破片のような斑でもないし、ジャーマン・ポインターに見られる細かいブツブツとした斑点でもない。それゆえ、ダルメシアンの美しさは人目を引きます。斑点については、犬種のスタンダード(標準書)に、理想的なサイズすら示されているんですね。直径で2〜3cmの大きさが好ましいとか!
その美しさ、そしてアスレチックな能力を活かし、ダルメシアンは17世紀から貴族が乗る馬車の伴走犬としてイギリスとフランスで活躍をしていました。伴走犬の本来の役割は、馬車を盗賊などから守ることですが、ダルメシアンの見かけ故、装飾の役割も果たしていたのは十分理解できます。颯爽と走る黒塗りの馬車にさらなる華やぎを添えたことでしょう。
現在、ダルメシアンの本来の仕事は無くなってしまいましたが、アメリカやイギリスにはダルメシアンの伴走犬としての能力を試す「ロード・トライアル」なるドッグスポーツが存在します。この競技会では、馬(あるいは馬車)と伴走させます。乗馬や馬車競技が一般的ではない日本ではまるで夢のようなスポーツ!スウェーデンでも開催されたことがあり、実際に見たことがあります。まず犬が馬の動きにそってきちんとついてくるか、というオビディエンスの能力を審査していました。それが終わると、20km(上のクラスでは40km)を走るという耐久レースが行われます。これは日常でもかなりのコンディショントレーニングが必要です。普段から馬と一緒に走れるような環境にいない人ではないと、とても実現できないスポーツでしょう。スウェーデンでも難しいと思いました。
その内面とは?
ダルメシアンといえば、コートの斑点柄の鮮やかさばかりに目が行ってしまいがちですが、その内面の特徴というのはまだよく知られてない部分かもしれません。犬の気質を分析するときは、まず人に対してどれだけ社交性をみせるのか、の部分からアプローチしてみるといいかもしれません。その点でダルメシアンは、積極的に他人と打ち解けようとするラブ/ゴールデン的なフレンドリーさを見せるより、他人とはまず距離を保とうするものです。しかし決して攻撃的な態度に出るということはないでしょう(もちろん社会化トレーニングが十分にできている、という前提ですが)。しばらく様子を見て
「パパやママも別に敵対心持ってないみたい…」
と確信すれば、好奇心も手伝って近くに歩み寄り、その後は紳士的な態度で接してくれるはず。多少番犬気質もあり誰彼なしに尾を振って愛想を振りまくというタイプではないのです。
馬とともに20〜40kmも走る耐久レース・スポーツに参加するぐらいの犬ですから、近所にでて角までゆっくり歩く、程度の散歩量では当然ダルメシアンは満足しません。1日最低1時間半の散歩が必要。のみならず頭脳刺激を与えるためにも、何かドッグスポーツを与えるといいでしょう。アジリティやノーズワーク、簡単なオビディエンス(あるはラリー・オビディエンスなど)のトレーニングなどがぴったりです。
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