2022.02.04一緒に。もっと、

音を怖がる犬には意外な理由がある?飼い主として知っておきたい犬と音の関係

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音を怖がる犬には意外な理由がある?飼い主として知っておきたい犬と音の関係
 花火や雷など大きな音を怖がる犬は少なくありません。しかし中には「この程度の音でも?」とか「こんな音まで?」と首を傾げたくなるような音を怖がったり嫌がったりする犬もいます。
実は音を怖がる犬には意外な理由が隠れていることもあれば、特定の音を嫌がっても仕方ない理由もあります。
飼い主が知識をつけることで、愛犬はもちろん周囲の人間にとっても助けになります。そこで今回は音を怖がる犬の行動が何を意味するのかをご紹介します。

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日常生活の音が犬のストレスになっていることもある

音を怖がる犬には意外な理由がある?飼い主として知っておきたい犬と音の関係
花火や雷といった非日常的な音だけでなく、日常生活の中で毎日のように聞こえて来る音が犬のストレスになっていることもあります。

2021年にカリフォルニア大学デービス校獣医学部が飼い主への聞き取りとインターネット上の犬の動画の検証によって調査したところ、日常生活の中の音に対してストレス行動を示す犬が多かったことを報告しています。
飼い主への聞き取り調査では約3割の犬が、

  • 家電の作業終了を知らせるピーピー音
  • 各種機器の電池切れを知らせる警告音
  • 煙感知器やガス漏れ警報器の警告音

に対して隠れる、震える、ハアハア喘ぐなどのストレス反応を示すとのことでした。

これらは高周波の音に分類され、人間よりも高周波の音に敏感な犬の耳には刺激が強く痛みを伴う可能性さえあるものです。動画の検証でも犬が強い反応を示していたうちの8割以上が高周波の音でした。飼い主が気づいていないだけでストレスを感じている犬はもっと多いとも考えられます。

掃除機や洗濯機などが稼働している時の音は低周波に分類されるので、遠くで少しだけ音が聞こえる状態でトリーツなどを使って少しずつ慣らすこともできますが、高周波の音は痛みや不快感を伴うためこの方法は使えません。警報器の音などは必要があって鳴っているわけで聞こえないと危険ですが、犬への影響を最小限にするために日頃から知識と対策を持っておくことが大切です。

我が家の犬も洗濯乾燥機の終了ブザーが嫌いだったので、終了直前の時間にスマホのタイマーをセットして音が鳴る前にスイッチを切るようにしていました。テレビなどからの予期せぬ音で犬が驚いた時にはすぐに他の部屋や外に連れ出して気分転換を図ることもありました。

以前は平気だった音を怖がるようになった場合に考えられること

音を怖がる犬には意外な理由がある?飼い主として知っておきたい犬と音の関係
犬が以前は平気だった音を聞いて怖がるようになった場合、身体のどこかに痛みがあることも考えられます。2018年にイギリスのリンカーン大学とブラジルの動物行動学者が音に強い反応を示すようになった犬の症例を調査したところ、筋骨格系の痛みを持っている犬ほど音への反応が大きかったことを発見しています。

大きな音や突然の音で体がビクッとして筋肉が緊張することで、炎症のある筋肉や関節に負担がかかって痛みを引き起こすと考えられます。花火や雷の音の他に散歩中に自動車やバイクの音を怖がる例が多いようです。音がするたびに身体が痛くなれば怖くなるのも無理はありません。痛みの治療をすることで音に対して震えやハアハア喘ぐなどのストレス反応が消えたという報告もあります。

音への恐怖に限らず以前はなかった行動上の問題が出てきた場合、トレーニングを考えるだけでなく疾患による痛みや不快感を疑って診察を受けることが大切です。動物行動治療の専門家は、治療を依頼された問題行動のうち何らかの身体の痛みが原因となっているのに疾患が見落とされている例が非常に多いと警告しています。

また太り気味の犬は関節の疾患になりやすく痛みがあるために、不安や恐怖に関連する行動上の問題が多くなりがちです。体重管理はこのような意外なところにも影響を及ぼすので気をつけたい点です。

「犬が音を怖がるなんていうことを獣医さんに相談してもいいの?」と思われるかもしれませんが、病気の可能性は最も優先して考えるべきことです。問題となる行動が見られた時の状況や時間帯を記録しておくことで、獣医師が原因を突き止める助けにもなります。

おわりに

音を怖がる犬には意外な理由がある?飼い主として知っておきたい犬と音の関係

音が犬にとって不安や恐怖を引き起こす場合、そこには音の周波数や身体の痛みが関連している可能性があることをご紹介しました。

人間が生活していく上では動物にとってストレスを感じる音を避けられない場合もあります。しかし聴覚が優れた犬にとって、この音は自分の想像以上に恐怖やストレスになるかもしれないという認識を持っていれば、いざという時の対応にも違いが出ます。音への恐怖と身体の痛みとの関連も知っていれば早期に治療をすることができます。

犬が怖がっていることに気がつかない、もっと悪い場合は犬が驚く様子を笑ったりからかったりしては、犬からの信頼を得ることはできません。犬の不安や恐怖の感情に「わかっているよ、大丈夫だよ」と寄り添うことは大切な日々の信頼の積み重ねになります。

《参考URL》
https://doi.org/10.3389/fvets.2021.760845
https://doi.org/10.3389/fvets.2018.00017

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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

米国カリフォルニア州在住。2005年から犬との暮らしをスタートして2匹の犬をそれぞれ15歳で見送りました。犬たちとの16年間で知識が増えると犬との暮らしが楽になることを痛感しました。自分が「へ〜!」と感じたことを堅苦しくなくお伝えしていきたいと思っています。