2019.02.22一緒に。もっと、

犬が必要とする優先順位②(3回シリーズ)

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子犬の後ろ姿

ケーナイン・ストレスケア・スペシャリストの清水です。

前回は、一番重要であり最も欲求度合いが高い「① Safety=生命の安全」を中心に紹介させて頂きました。今回は、その続きになりますが、どうやってこれらの階層が調査されたか気になった人もいると思いますので、少しだけ簡単に説明したいと思います。

前回の記事はコチラ →犬が必要とする優先順位①

明暗テストで調査

動物に関して「どちらが好まれるか?どちらが優先されるか?」を判断するのに「Preference Test(明暗テスト)」という手段が用いられます。

良く使われる形は、Y字の一方にA、そしてもう一方にBを置き、どちらを選ぶかというものです。もちろん動物はどちらに何があるか知っておかなければいけないので、まずはそれを認知させることが必要となります。

たまにテレビで「家族の中で一番好かれているのは誰か?」という実験をする時に、家族が一列に並んで犬を待ち、犬が誰のもとに一番に行くかを観察することがあります。これもPreference Testの一種であり、簡易版と言えます。

またペットフードの開発でも用いられることが多く、犬や猫の味覚に好まれるものを繰り返しのテストで商品化するのです。

完璧なモデルではない

しかし、人間も同じようにこれらの好みや優先順位は、時と場合により大きく異なります。例えば夏と秋では、環境温度(温度調整)に関する優先順位は大きく変化することが分かります。

夏は日差しが強く気温も高く、秋は日差しはそんなに強くなく、また気温も心地良いです。この場合、温度調整に関して夏はとても重要で、秋はそれほどでもないと理解できます。

ですので、様々な環境下で多くの繰り返しのトライアルをし、多くの情報を得ることにより、より信憑性の高いデータと情報になるわけです。そしてこれらの「優先順位」は、動物種によっても、その個体の差でも違ってくるので、100%合っているものではなく、一概には言えないのです。

その為に統計学を使い、「有効」であることを数値化します。少し話は反れてしまいましたが、これらの実験を踏まえて「欲求階層」ができあがりました。

真の健康とは?

この欲求階層は、犬に関わる多くの人々にとって非常に有効で、福祉の向上や真の健康を手に入れるために使われることが多いです。

そこで、世界保健機関(WHO) の提唱する健康というものを把握しておきましょう。WHOは「健康とは、完全な 肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。 」と唱っています。

ここでのポイントは、単に疾患の有無ではなく、精神的にも健やかであることとなっている部分です。よって「気持ち」や「感情」も重要であり、精神的ケアも福祉にとって重きを置かなければならない、必須事項であるということです。

犬の欲求階層のピラミッド図

第二階層

さて「欲求階層」の②ですが、「Eat&Drinking =飲食」です。

食べたり、飲んだりすることは、殆どの栄養素を外部からの摂取によって賄わなければならない犬たちにとって、日々生きていくためには重要な行為となります。

もちろん摂取するものの質も大変重要になりますが、食事と言われる食べ方を含む「食べる行為」も実はとても重要です。

人間もそうですが、犬も良く噛むことでセロトニンというリラックスホルモンが分泌されます。このホルモンは、緊張を和らげる効果もあり、血圧の低下や副交感神経が優位になるときに観られる変化も観察されます。

第三階層

これはなんと「Body care=健康管理・メインテナンス」です。

この階層には、体温調整や水分調整、排出などの排便や毛繕いが含まれます。②の「飲食」と生きていく上の生理作用を考慮すると密接な関係があり、直接命に関わっていることが分かります。

安全の確保が出来なければきちんとした食事を取れず、犬は多くのエネルギーやミネラルを外部からの摂取無しに体内で生産することはできないため、③の健康管理もろくにできません。

動物は体温の維持が出来なければ熱中症や低体温症に陥り、脱水症状などで体内水分量が著しく低下すれば生命の危険に繋がります。

また、体内で生成された老廃物などもきちんと体外に捨てなければならず、便秘や膀胱炎、酷くなると内臓にまで大きな負担を強いれられ、これもまた生命の危険に繋がります。

第四階層

後続の④ですが「Sleep & Rest=睡眠と休息」です。なんと睡眠は4番目に重要だということになり、飲食や安全、健康管理よりもその欲求度合いは低いのです。

私も学生時代に経験がありますが、夜お腹が空きすぎて眠れず、夜中にゴソゴソとインスタントヌードルを食べた思い出があります。何故夜中のインスタントヌードルはあんなに美味しいのでしょうか?

そして、この階層で重要な点は、睡眠だけではなく「休息」が入っていることで、これはもちろん肉体的な休息も入りますが精神的な休息も含まれます。

動物福祉を考える上で、肉体と精神は切っても切り離せないものです。両方は密接な関係にあり、お互いに強く連動をしています。肉体が疲労すれば精神も疲労しがちで、またその逆もしかりです。そして逆に大いにどちらかが満たされることがあれば、もう一方が改善されます。

広々とした野原を走る子犬

最後に

ここまで説明させて頂きました①から④が大きく分けて第一グループとなり、特に重要であり生きていく上で不可欠なものとしています。そして動物福祉にも根底で大きく関わり、トレーニングや学習などを進めていく上での最低条件でもあるのです。

各階層のカテゴリーに普段の犬のどのような行動が入るか観察してみて、リストを作ってみると面白いとおもいます。そして「何故それが必要か?」も同時に考えてみて下さい。少しでも彼らの考えが分かるかも知れませんし、どうやって「笑顔を増やせるか!」ヒントがあるはずです。

清水さんの他の記事はこちら →清水さんの記事一覧

すくすく子犬BOX いつも一緒に「笑顔」がいいね 犬の保育園とドッグホテルPLAYBOW

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清水 克久(しみず かつひさ)

清水 克久(しみず かつひさ)

英国Natural Animal Centre (http://naturalanimalcentre.com/)で、ケーナイン・ビヘイビアーとバッチフラワーレメディを学び、アニマルプラクティショナー(BFRAP)を取得。ストレスケアを中心に、行動学や生理学など科学の面からも解説するケーナイン・ストレスケア・スペシャリスト。元Dog Actuallyライター。ホリスティックケアカウンセラー。
清水 克久(しみず かつひさ)

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