2019.01.18一緒に。もっと、

犬が必要とする優先順位①(3回シリーズ)

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犬が必要とする優先順位①(3回シリーズ)

ケーナイン・ストレスケア・スペシャリストの清水です。

人間にも生きていく上で必要なものがたくさんありますが、ワンちゃんたちは本当に何を必要としているか、ご存知でしょうか? 今回はそんなお話を3回に分けてご紹介いたします。

生きるためには様々必要

動物にとって必要なものはたくさんあります。ご飯、お水、太陽、日陰、運動、遊び、コミュニケーションや睡眠など様々で、あげればきりがないと思います。もちろん「ブランベルの5つの権利」を始めとした動物福祉にも大きく関わってきます。

人間であれば洋服やお金、趣味などが加わり、より多くの要因が生きていくために、そしてその生活を豊かにしていくのに必要になります。

イギリスで学んだこと

下のピラミッド図は、私が勉強し職員を務めていたイギリスのNatural Animal Centre*のCanine Behaviourクラスでも習い、バッチフラワーレメディの授業でも使用したものです。

犬の行動を理解するに当たりとても役に立つものだと思いますので、この欲求階層ピラミッドを紹介したいと思います。

犬が必要とする優先順位①(3回シリーズ)

欲求階層ピラミッド

*Natural Animal Centre → http://naturalanimalcentre.com/

欲求階層ピラミッドとは?

まずは、図の説明をしたいと思います。上記のピラミッド型の図を見てみて下さい。

このピラミッド型は、一番下の①が少なくとも私たちの施設や様々な論文や資料を基に一番必要とされると思われる項目で、ピラミッドの頂点に行けば行くほどその重要性は低くなります。よって最上位の⑦は比較的必要性は低くなるわけです。

但し、無視をして良いという訳では絶対になく、あくまで必要性がそれよりも下に位置するものより低いと云うことです。

そして本来このピラミッド全てが綺麗に満たされるべきで、その状態が本来の犬がおかれるべき環境であり、動物福祉が最高ということになります。言い換えれば、自然の状態に近く、適度なストレスが負荷されている状態です。

下層から満たすということ

もう一方の見方は、一番下の①のカテゴリーが満たされないと②の行動は少なく、大げさな云い方をすると①が全く満たされていないのに⑦の行動を見ることはない、ということになります。

ここでも注意が必要ですが、行動や欲求には個体差があります。⑦の行動が良く観察されるというだけでピラミッドが全て満たされている訳ではない場合もあります。

絶対条件の安全

さてその①ですが、これは「Safety」= 「生命の安全」です。もし、犬がその場所を安全だと思っていない場合、短期記憶領域も多くの恐怖や不安で塞がり、学習できる状況ではないと思います。そしてその状態では、②の食べることも、水分の補給もままならないのです。

私も含めた多くの飼い主の方が経験していると思いますが、環境が全く違う場所で(例えば初めての場所で)犬が興奮してしまい、一生懸命トリーツで気を引こうとしても全く興味を示さず、例え一瞬見たとしても別の行動を続けてしまうことがあります。

また、芸ができますというふれこみで、芸能人の方の犬がテレビのスタジオにゲストとして連れて来られ、トリーツと共に「お座りっ!」と声を掛けられてもしてくれない場合は、やはりこれに近い状況にあると思われます。

もちろん「トリーツ」の優先順位が「周りの環境」より低いこともありますが、要は「食べること+コマンド」より「周りの検索」の重要性が高いのです。

人間に置き換えると分かりやすい!

人間に置き換えると分かりやすいもかも知れません。

人間でも「生命の安全」が最優先事項に来ることが多くの研究で知られており、例えばマズローの欲求段階でもそうですが、原始的な部類に入る基本的欲求が根底にあります。

これを踏まえると、本当に怖い経験をして食事が喉を通らなくなったり夜も眠られなくなり、社会的な安定や収入は二の次になってしまうのも納得がいきます。そして、この中でも「生命の安全」は生きる上での絶対条件です。

犬が必要とする優先順位①(3回シリーズ)

最後に・・・

ということは、犬と楽しい時間を過ごし「笑顔」を増やすためには、まず最初に犬が生命の危険を感じない環境作りが必要になるわけです。

極限の恐怖と隣り合わせで、どうして笑顔になれるのでしょうか?それは不可能です。この様な極限環境下で生活している動物は多くいないと思いますが、これに近い環境が殺処分を間近に控えた動物に課せられていると思います。

そして、もしそこから里親のもとで新生活を始められたとしても、その恐怖や経験は深い傷を心にも精神にも残している可能性が高いです。

ですから、まずはたくさんの愛情と時間を与え、そこからスタートしてもらいたいです。どんな犬でも環境が整えば学べます。そして素晴らしい家族の一員になれます。根気がいるかも知れません。

しかし大切な命であり、掛け替えのない命なのです。また、もし学ぶのが難しい犬がいるとしたらその理由を決めず、大きな視野と愛情で色々考えてください。きっと多くの答えがそこにはあるはずです。

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清水 克久(しみず かつひさ)

英国Natural Animal Centre (http://naturalanimalcentre.com/)で、ケーナイン・ビヘイビアーとバッチフラワーレメディを学び、アニマルプラクティショナー(BFRAP)を取得。ストレスケアを中心に、行動学や生理学など科学の面からも解説するケーナイン・ストレスケア・スペシャリスト。元Dog Actuallyライター。ホリスティックケアカウンセラー。