愛犬が水を飲まない~飲水量の目安と与え方の工夫~
私たちや犬(もちろん生物全般)にとって、生きるために水はとても大切ですね。食べ物を得られないことよりも水が飲めないことのほうが命の危機となります。では、愛犬が1日にどれだけの水が必要かご存知ですか?
また、水を飲まないと心配ですが、飲み過ぎるのも何らかの病気である場合が考えられるので、正常な飲水量の目安を知っておきたいですね。また、愛犬にはミネラルウォーターと水道水ではどちらを与えたほうが良いのかといった質問は多く届きます。こういった水に関する疑問や、水分摂取の大切さについて、ホリスティックケア・カウンセラーの山本が解説いたします。
犬が水を飲まない理由
体の痛み
- たとえばヘルニアのように痛みが生じるため水を飲む姿勢がとれないという場合や、歯周病や口内炎など口の中の疾患も痛みが生じるために水を飲まなくなってしまうことがあります。
食事で水分が足りている
- ドライフードではなくウェットフードや手作り食、または生食であれば、食事でじゅうぶんな水分が摂れるため飲水量が減ります。
老犬
- 喉の乾きに鈍感になっていたり、代謝が落ちて水を欲するということが減ったりすることで飲む量や頻度が減りがちです。
寒い季節
- 夏とは違い、冬場は寒さのせいで水を飲む機会が減ります。冬にも水分不足が起こりやすいことを意識しましょう。
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水の大切さ
私たちも犬も体の60~80%は水分で構成されています。水分は栄養素や酸素など健康維持に必要なものを体のすみずみまで運ぶために必要です。そのため、水分が不足すると細胞が弱り老化が早まることになります。具体的には内臓や脳の働きが低下したり、骨が弱くなったりとさまざまなところに影響します。
また、犬に多い病気のひとつでもある結石症はじゅうぶんに水を摂って、排泄をするということが大切なのです。水分不足は結石症を悪化させる原因となります。夏場には熱中症を防ぐためにも大事なことですよね。
愛犬が若くて健康なうちは、放っておいても喉がかわけば水を飲むでしょうし不足するという心配は少ないでしょう。ですが、病気の場合やシニア期にはどれくらいの水を飲んでいるか把握しておいたほうが良いでしょう。
健康的な犬の飲水量
健康的な犬の一日分の飲水量として、体重1kgあたりに50mlから60mlを目安とするとよいでしょう。たとえば、体重5kgの犬であれば250mlから300mlですがあくまで目安です。運動量が多い場合はもっとたくさん飲みますし、水分豊富な食事の場合は飲水量が減りますので、パートナーの状態によって判断してください。
一方で、水を飲みすぎる場合も多飲といって何らかの病気である可能性を疑いましょう。いつもより水をよく飲むようになったと感じたら、回数も含めて飲水量がどれくらいになっているか調べてくださいね。多飲と判断する飲水量の目安は、体重1kgあたりにつき100ml以上(体重5kgの場合、500ml以上)のことです。ただし、運動量や気温、湿度によっても多少の増減はありますので、その点も注意してください。
飲水量の調べ方:空のペットボトルに水を入れます。入れた量がわかるように印をつけます。その水を飲水用の器にいれます。1日の終わりに器に残っている水をペットボトルに戻すと、どれくらい飲んだのか知ることができます。
【参考記事】
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水の種類
「愛犬にミネラルウォーターを与えたほうが良いですか?水道水を与えても大丈夫でしょうか?」という質問をよく受けることがあります。パートナーに与える水は、基本的に私たちが飲める水であれば問題ないといえます。
水には硬度があり、それは水に含まれるカルシウム、マグネシウムといったミネラルが含まれる量によって、硬度が低いと軟水、高いと硬水という種類にわけられます。
軟水
- 日本の水は軟水です。硬度が低い水であり、口当たりが柔らかく飲みやすいといわれています。国産のミネラルウォーターも軟水です。
硬水
- ヨーロッパの水は硬度が高い硬水です。一般的に海外産のミネラルウォーターは一部を除いて硬水であることが多いです。ミネラルの豊富な硬水(ミネラルウォーター)を与えるとストルバイトなどの結石ができやすいという説もありますが、硬水を飲んでいるヨーロッパの犬たちに結石症が多くみられるわけではないようです。ですが、パートナーが結石のできやすい体質または症状が出ている場合は、軟水を選んだほうが良いでしょう。
川や池の水
- いくら綺麗にみえても、どんな細菌や寄生虫がいるかわかりません。お出かけの際にはパートナーのために飲料水を持参してください。パートナーが川や池の水を飲み始めたらすぐにやめさせて持参の水を与えましょう。川や池の水が人が飲んでも大丈夫といわれているものであれば良いですが、不明な場合は念のために飲ませないようにするべきです。
十分に水分を摂る工夫
飲みやすい環境
- 特にシニア犬の場合、一日の大半を過ごす場所が数箇所あればその場所ごとに水を用意してあげると良いでしょう。パートナーにとって飲みやすい高さかどうかも観察してください。
新鮮さを保つ
- 食後に水を飲むと、口の中に残っていた食べ物のカスが入ってしまい、汚れた水になってしまうことがあります。できれば、1日に何度か水を入れ替えてあげると良いでしょう。
美味しくする
- 水分の多い食事(ウェットフード)に切り替えたり、犬用ミルク や鶏肉を茹でたときの茹で汁を加えたりと食べものから水分を摂れるようにすると良いでしょう。散歩中に持参の水を飲ませたい場合、水を入れた器にフードや小さくちぎったおやつ をパートナーに見せながら入れてあげると良いでしょう。水の中に舌を入れておやつを取ろうとする際、水も一緒に口に入ってきます。
【参考記事】
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まとめ
犬にとっての水は、私たち人間と同様に体の機能を維持するためには必要不可欠です。いちどパートナーの飲水量がどれくらいなのかを調べてみてはいかがでしょう。
パートナーが新鮮な水を常に飲めるような環境を整えることはもちろん、体に必要な水分を補える工夫をしてあげてくださいね。
いつもと極端に飲水量が違う場合は早めに獣医師にご相談ください。
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Follow @greendog_com山本 由能(やまもと ゆの) ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法インストラクター上級師範
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