2018.02.27一緒に。もっと、

【犬との暮らし】都会の犬たち13~都会の犬暮らしで気を付けたいこと

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犬たちと自由な時間を楽しみたいと思っても、都会暮らしではなかなか思い通りには行かず、休みが取れれば郊外や自然の中に愛犬と逃避してしまう人もいるでしょう。しかし都会暮らしは毎日のこと、ドッグライフをこれ以上窮屈にしないために、日ごろから気を付けておきたいことを少しおさらいしてみたいと思います。

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犬のことを知る

昨年の業界レポートによると、犬の飼育頭数がネコの飼育頭数を下回ったそうで、「犬の飼育頭数を増やすにはどうすればいいのか。」といったことが問題提起されたそうです。しかし、単に頭数を増やせばそれでいいのでしょうか。

海外の住宅事情と比べると、概して日本で個人が所有する敷地はとても狭く、都会においてはバックヤードもありません。犬の飼育に関する知識の普及を考えずに頭数だけを増やしていこうとする考え方には少々矛盾を感じています。犬を販売する、あるいは譲る場合、引き渡し時にどれくらいその犬についての情報や犬の飼い方について必要な知識が伝えられているでしょうか。

犬の生態や行動学の知識不足から、あるいは犬を売りたい思いから、都会では特に「この犬は散歩がいらない」や「運動は必要ない犬」といったような誤った情報が飼い主に伝えられることがあるようです。「散歩がいらない犬」とはどういうことでしょうか。

「外を歩かせる必要が無い?」「外に連れて行く必要が無い?」走り回れる俊敏な足、様々な匂いを嗅ぎ分ける優れた嗅覚を持った犬にとって、家から一歩も出られないというのは果たして健康的な生活と言えるでしょうか。

間違った情報を与えられた飼い主に飼われた犬たちは様々なストレスを抱えるようになり、いわゆる問題行動を引き起こす確率が高くなります。犬は動物ですから、一生囲いの中で暮らすことは出来ません。物理的に出来たとしても、身体的あるいは精神的には大きく欠落する部分が出てきます。健康でなければ、精神的な充足感が得られないのは人間である私たち自身がよく知っていることです。

まず犬を迎え入れたら、以前にも書きましたが、犬のことを勉強しましょう。ずいぶん前になりますが、犬が排泄することを知らずに犬を飼いはじめた人がいました。生き物ですから当然食べ物を食べ、出す物を出します。おもちゃではありません。相手のことを知ることで、お互いいい関係になれるので、この手間を惜しまないようにしましょう。

犬のストレスは最小限で快適にする

近隣との距離が近い都会の住宅事情、場合によっては集合住宅などの場合、犬との暮らしには様々な気遣いが必要になります。例えば「吠え」や「排泄」「抜け毛」。犬嫌いの人が近くにいれば、その存在を見るだけでも苦痛を感じてしまうなどということもあります。郊外では犬の吠える声が防犯の役割をはたしてくれることもありますが、隣家が近ければ、インターホンがなるたびに吠えたり、外廊下を歩く足音を聞くだけで吠えるという状況はちょっと困ってしまいますよね。

愛犬の「吠え」の問題は、子犬の頃はかわいらしい声で気にならなくても、次第に大人になると気になるようになります。しかし、子犬の頃から吠えることを容認していると、大人になっていざ直そうと思っても簡単にはなおせません。吠え始めのころからよく観察して早めに対処すると、人も犬もストレスは少なくて済みます。

「排泄」の問題も同様です。住宅密集地でのお散歩では、当然排泄場所も考えなければいけません。愛犬が排泄したがっているからと、よそ様の花壇や玄関の門に排尿させる人はさすがにいないと思いますが、犬にとって行きたい場所に行かれないというのはストレスになってしまうこともあります。そんなときは以前に書いた「トイレトレーニング」のように、排泄してもいい場所を犬に教えてあげることで、犬も習慣として受け入れやすくなります。もちろん、排泄を済ませてから外出するという選択肢もあります。

どんなパートナーでも相手によっては思わぬ事故が起きる可能性があります

また、犬を飼っていれば誰しも「ウチの犬はかわいいから。」と思っていますが、当然のことながら犬が苦手な人もいます。ついつい「大人しいから大丈夫」とか、「小型犬だから怖くない」と自分の犬を過信してしまうと、小さい子供や高齢者にとっては思いもよらないアクシデントに発展してしまうことがあります。

なぜなら、小さい子供の動きは犬にとって予測が出来ないために、犬の方が怖がって吠えてしまうこともありますし、やさしそうな人であれば、犬が喜んで跳びついて転倒させてしまう可能性もあります。高齢者の場合は特に注意が必要です。跳びつく犬に「ダメダメ!」と言うより、跳びつかないことを教えるトレーニングをしていくことで、犬が静かに座っていられれば、無用に犬を叱ることもなく、問題は格段と減少するでしょう。

犬なんだから自由にさせてあげたいと思われる方は沢山いらっしゃると思いますが、犬の扱いに熟れていない人や、犬を飼っていない人がどのような行動を取るかということも念頭においておかなくてはいけませんね。

犬飼いが犬飼いの首を絞める

排泄物の放置は深刻な問題です。公園など多くの人が集まる場所に排泄物が落ちていれば大迷惑なのは火を見るよりも明らかです。想像してみてください。自分の靴の裏に付いてしまったときのことを。愛犬が匂いを嗅ぎながら口にいれてしまったり、体をこすりつけてにおい付けをしてしまったときのことを。

悲しいかな、この3つの例に関して私は全て経験済みです。帰りの車の中で異臭に気付き、犬たちのスペースを確認しても原因がわからず、考えあぐねているときに犯人が自分であることに気付いたあの瞬間。同居犬が子犬の頃、公園で何かに釘付けになり、気づいたら口に入っていた時の驚愕の瞬間。そして雨上がりの夜の散歩、先住犬が急に地面に転がり、気づいた時には着ていたTシャツが汚物にまみれていた時の落胆。この場合Tシャツはその場でゴミ箱に捨てて帰って来ました。

自分の犬の排泄物は愛おしいとまでは言えなくても、日々健康状態をチェックする大事なバロメーターですから、きちんと確認してひとつひとつ拾って帰って来ますが、どこのだれかわからない犬の排泄物に関しては、感染症の疑いもあるので、出来る限り遠ざけておきたいと思うのはどの飼い主さんも共通していることではないでしょうか。なのに地面に転がっている現状。これは犬飼いの風下にも置けない行為です。

わが家の散歩コースで見かけた場合、出来るだけ他犬の物でも回収するようにはしていますが、若干抵抗はあります。知らない年配の男性から、「犬の〇〇〇を落としていくんじゃない!」と犬を連れて散歩をしているだけで怒鳴られたこともあります。

ちょっとした手抜きやミスによって、犬の立場が悪くなると、犬と一緒に入れる場所がどんどん狭められていく現実があります。以前も書きましたが、20年ぐらい前は、銀行だろうと役所だろうと、普通に犬と一緒に歩いて入ることができました。しかし、今は飲食店だけでなく、普通の建物の中に入ることも出来なくなっています。犬を遊ばせるためのドッグランでさえ、マナーベルトを着用しなくてはいけないという規定があるところもあります。

トイレトレーニング 」のコラムで、トイレのタイミングを見はからったコントロールについて書きましたが、山の中で自由に暮らしている犬たちでない限り、「家中どこでもトイレは困るなぁ。」と多くの飼い主さんたちは思っていらっしゃるはずです。愛犬に時間をかけてトイレトレーニングを行うことで、病気でない限り、トイレの場所やキュー(合図のことば)を覚えることは出来るはずです。

オス犬の場合はマーキング本能があるので、それはやめさせるのはかわいそうだと思っていらっしゃる飼い主さんも多くいらっしゃいます。しかし、逆の立場に立ってみましょう。自分の家の玄関前がいつも排泄尿の匂いだったら気持ちよくありませんよね。

外出先ではマナーを意識しましょう

誰かの迷惑になる場所以外のところで排泄をさせて、後処理を行うことで、犬への悪感情を軽減させることは出来ます。我が家の犬たちは仕事柄様々な場所に同行することがあるのですが、車から下ろすときにいつも適当な排泄場所があるとは限りません。そういう場合は大き目のトイレシーツを地面に敷いて用を足してもらいます。知らない人が見たら、何をやってるんだと思われそうですが、一度付いた匂いはなかなか取れないので、他の利用者の迷惑にならないようにするにはトイレシーツは便利です。

おわりに

犬が苦手だったり、犬のことをあまり知らない人ばかりではなく、お互い犬を飼っている人こそ、気を遣わなくてはいけないこともあります。犬の飼い方は人それぞれ、ある意味ポリシーを持っている方もいらっしゃいます。同じ犬飼い仲間だと思って気遣いを忘れていると、知らないうちに敬遠されてしまう場合もあります。

「犬を飼っていれば、家が汚いのは当然」と思う人と「犬を飼っていても、家はいつもきれいにしておきたい」と思っている人がいるのと同じです。しょっちゅう吠えている犬の近所に住んでいて、「犬は吠えるものだよ。」と広い心で見守ってくれる人もいれば、「犬がストレスを抱えているから、吠えないようにちゃんとトレーニングすればいいのに。」と感じる人もいるでしょう。

要は、許容範囲かどうかは、受け取る側の気持ち次第です。配慮がかければ許容範囲はどんどん狭くなってしまいます。いつも自分の物さしだけで見ていると、気が付いたら世間の非常識になっていることもあるでしょう。これは自戒も込めて感じます。どこがラインか決めるのは難しいですが、時々客観的に見てみることも必要ですね。

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三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけ に、犬の行動学や学習理論を学び、2006年WanByWanを立ち上げる。愛犬の出産、子育て、介護と様々な場面でも多くを学び、愛犬のQOLの向上を目指して2008年にホリスティックカウンセラーの資格を取得。2016年自身のトレーニング方法を再確認するために世界基準のドッグトレーナー資格CPDT-KAを取得。現在、4頭目と5頭目のボーダーコリーとドッグダンスの楽しさを広めながら、東京近県で出張レッスンを行っている。
三井 惇(みつい じゅん) CPDT-KA、ドッグトレーナー/ドッグダンスインストラクター、ホリスティックケア・カウンセラー

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