痛みのサインを見逃さないで!愛犬の関節を守るためにできること
長かった夏も終わり朝夕の冷え込みを感じる季節となりました。少し肌寒い朝、起きてきた愛犬がちょっと不自然な歩き方をしたり、足を引きずったり、そしてしばらくすると普通に歩いているということはないでしょうか?このような様子が見られたら関節炎が進行しているのかもしれません。
愛犬の関節の健康のために知っておきたいことをご紹介します。
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一般的に犬の関節炎と呼ばれるものとは?
関節炎というのは正式な病名ではありません。関節が炎症を起こす原因は感染症や自己免疫疾患、老化などいろいろありますが、犬の関節炎で最も一般的なのは『変形性関節症』と呼ばれるものです。
骨と骨とをつなぐ関節には接合面を滑らかにし保護する軟骨があります。この軟骨が体重による負荷や老化によってすり減ってしまい、関節が滑らかに動かなくなり炎症が起きた状態が変形性関節症です。
この変形性関節症、初期の頃には気が付きにくいことがあります。また大型犬に多いイメージがありますが、小型犬にも起こります。
私がいっしょに暮らしていたミニチュアピンシャーのニヤは11歳の時に初期の変形性関節症と診断されました。診断時にもそれまでと変わらずに跳んだり走ったりしていましたし、体重が標準を超えたことは一度もなかったので、全く予想しておらず驚いたものでした。
犬種やサイズを問わず、中年期を過ぎると関節の健康を意識しておいた方が良いようです。
愛犬が夜中に歩き回っている様子はありませんか?
歩き方がぎこちない、段差や階段を嫌がる、活発でなくなった、脚を舐めることが多くなった、走るのを嫌がる、などは変形性関節症のサインとして目につきやすいものです。以前よりも攻撃的になったり、怖がりになった場合にも痛みが関連していることが少なくありません。犬が太りすぎている場合はてきめんに関節に影響します。これらに当てはまることがあれば病院で診察を受けて獣医師の指示を仰ぎましょう。
犬の昼間の行動については上記のようにいろいろなサインが挙げられて観察や注意が呼びかけられています。しかし夜間の行動についてはどうでしょうか?
犬の変形性関節症と睡眠についての研究は今までなかったのですが、2022年に変形性関節症を患っている犬の睡眠や夜間の行動についてイギリスのブリストル大学による調査の結果が報告されています。
この調査によると変形性関節症の犬21頭と健康な犬20頭に超小型の活動量モニターを装着して約1ヶ月間計測したところ、変形性関節症の犬は夜の間に眠りを中断して歩き回っている量が明らかに多くなっていました。
変形性関節症の痛みが睡眠を妨げているせいだと推測されますが、愛犬が夜中にベッドを出て歩き回っている様子がないか気をつける必要がありそうです。
寒い季節に関節の痛みが強くなるのはなぜ?
関節に痛みに対する季節的な影響はどうなのでしょうか?人間の場合、寒い時期には関節の痛みが強くなると訴える人が多いのですが、実は気温の低下がなぜ関節の痛みを悪化させるのかというメカニズムはよくわかっていないそうです。
しかし寒さを感じると筋肉がキュッと硬直し関節の動きも悪くなりますので、人も犬も寒い時期には関節の痛みが強くなることは容易に想像がつきます。
そのため冬の外出時や睡眠時には、洋服を着せたり毛布を一枚多くするなどの寒さ対策が重要です。冬には寒くなる地域にお住まいで愛犬が洋服を嫌がるという方は、今のうちに、最初は洋服を見せるだけ体に触れるだけと段階を踏んでトリーツの報酬を使いながら犬が協力してくれるようトレーニングを始めておくことをお勧めします。
また上に書いたように痛みは睡眠にも影響しますので、犬用ベッドの見直しなども大切です。
関節炎対策の犬用ベッドやマットレスもいろいろと市販されていますので、愛犬の寝る時の姿勢や体型などを考慮してより良い寝具を選んでください。
また留守番時の日当たりや、夜間に場所を移動した時に備えて複数の場所に犬用ベッドを置いておくことも良い方法です。
おわりに
寒くなる季節を前にして、犬の関節の健康について考えてみました。
愛犬の関節が何か変だと感じたら、何よりもまずかかりつけの病院で診察を受けることが重要です。変形性関節症は進行性の病気ですから早く対処するほど進行を遅くすることができます。また治療についてはサプリメント、体重管理、運動、投薬、レーザー治療などの理学療法といろいろな段階や選択肢がありますが、それら全てにおいて獣医師への相談や診断が不可欠です。
意外に思われるかもしれませんが、運動は変形性関節症の犬にとって重要です。関節がこわばることを防ぎ、筋肉を維持することが関節のサポートになるからです。
痛み止めの投薬に抵抗を持つ飼い主さんもいますが、痛みが和らぐと犬の生活の質は大きく改善します。抗炎症鎮痛薬にもいろいろな種類がありますので、不安な点や疑問点はかかりつけの獣医さんに相談して解決していけると良いですね。
《参考URL》
https://doi.org/10.1016/j.applanim.2022.105661
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