魚だけじゃダメ!愛猫に与えたい肉のバラエティ

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魚だけじゃダメ!愛猫に与えたい肉のバラエティ

スタッフコラム78話目

魚をくわえて歩く猫

「猫は魚が好き」というイメージがあります。国民的人気アニメの歌詞の一節「お魚くわえたどら猫~」の影響が大きいともいわれていますが、昔の日本の食卓になじみが深かったことが大きな理由です。お父さんのお酒のつまみを分け与えられて魚の味を知った猫達もいたようです。

魚の味は好んで食べますが猫は魚だけを食べて生きていける動物ではありません。またキャットフードのように栄養バランスを調整した食事なら問題ありませんが、魚そのものを毎日与えるにはいくつかの注意点があります。

そこで今回は愛猫に魚を与える際の注意点やほかの肉を与えることのメリットなど、愛猫の健康維持に役立つ食事の情報についてペットフーディストの山本が説明します。

オーナーの手を舐める猫

猫の多くは魚を好みますが、毎日与え続けることには問題があります。魚には良質なタンパク質、脂質が豊富でしかも猫がおいしいと感じる旨味成分も含まれます。しかし、ビタミン、ミネラルの過剰摂取や脂肪の酸化によって健康被害を引き起こすこともあるため、注意が必要なのです。

魚を毎日与えることの問題点

・ビタミンDの過剰摂取

手作り食では不足しがちと言われるビタミンDですが、手に入りやすい鮭やタラにはとても豊富に含まれます。ビタミンDは脂溶性ビタミンという種類になり、体に蓄積されるものなので毎日与え続けると過剰の心配があります。過剰の場合は食欲不振のほか、心臓や腎臓の不調、骨が弱くなるなど、健康に悪影響が出ます。

・ビタミンEが不足する

青魚、赤魚とも呼ばれる青背の魚(イワシ、サンマ、アジなど)には不飽和脂肪酸が豊富です。適量であれば健康維持に役立ちますが、酸化しやすいことが難点です。不飽和脂肪酸が多くなると抗酸化として働くビタミンEが減ってしまうという相対的な関係があります。

それにより体内の脂肪組織が酸化し黄色いしこりになってしまうイエローファット症候群(汎脂肪組織炎)を引き起こします。固いしこりとなるので痛がったり、その部分が壊死することもあります。

要チェック! point

上記以外にも魚まるごと与える場合は、頭部や内臓にリンやマグネシウムといったミネラルが多く、過剰は結石の原因になったり、腎臓にも負担が大きいです。キャットフードのように成分が調整されていれば問題ないですが、魚ばかりを与えるなどの偏食は避けるようにしましょう。どうしても魚をたっぷり与えたい場合は週に1~2回程度に抑えましょう。

ローテーションでいろんな肉を与えるメリット

魚ばかりではなく、ローテーションでいろんな肉を与えることにはメリットがあります。動物の肉の中でも主食となる正肉(内臓ではなく筋肉の部分)では魚では注意が必要だった栄養素の過不足の心配がほとんどありません。肉の種類や食べられる部位も魚に比べてバラエティに富んでいるため、猫の食欲や嗜好を刺激し、飽きさせないことが期待できます。

肉を食べる猫

鶏、七面鳥、鴨などの鳥類や牛・豚・羊・馬などの動物の肉は肉食動物である猫にとって必要な栄養素が豊富に含まれています。肉の種類によってその特徴にはそれぞれ違いがありますので、できればローテーションをしていろんな肉が食べられるようにしてあげるのが理想です。

鶏肉の栄養価と利点

高タンパク質、低脂肪であり、猫に必要な必須アミノ酸が揃っている良質な肉といえます。特に鶏モモ肉は猫にとって次の2つの理由から良質な肉といえます。 1つめは必要なタウリンが魚よりは少ないものの牛肉、豚肉に比べて豊富に含まれること。2つめは鶏の部位の中でも脂肪が豊富。猫は動物性脂肪に含まれるアラキドン酸を食事から摂る必要があるからです。

牛肉の栄養価と利点

牛肉も部位によって脂肪を含む割合の差が大きい肉ですが、肉の特徴は赤身であること。赤身肉には酸素や鉄分が豊富。牛肉では特に血液を作るビタミンB12が豊富です。これらはスタミナや元気の維持に役立つ栄養素です。

ラム肉の栄養価と利点

ラム肉は生後1歳未満の子羊肉の事でキャットフードの原料としてもよく使われています。牛肉と似た赤身ですが独特の風味があります。 鉄分のほかに亜鉛が豊富なので免疫維持に、また糖質の代謝に関わるビタミンB群、脂肪の代謝に関わるカルニチンも豊富で、これらは元気維持に役立つ栄養素です。

鹿肉の栄養価と利点

牛肉、ラム肉と同じく赤身の肉ですが、牛肉と比べてかなり低脂肪であり、そのためタンパク質や鉄分はより多く含みます。少量でより多くのタンパク質を摂りたい場合におすすめです。ヒトではジビエブームによって食用とされる機会が増え、それに伴いキャットフードでも人気が高まりました。

【関連記事】愛猫のごはんの与え方、フード選びから嗜好性まで詳しく解説

栄養バランスの重要性

  • ヒト:雑食
  • 犬:肉食寄りの雑食
  • 猫:肉食

このように種によって体に合った食事は異なるため、適切な栄養管理が必要です。肉食の猫にコメや野菜など植物由来の食品のみのごはんを与えることはできません。肉類が不足する食事が続くとたちまち健康状態に影響が出ますので充分に注意してください。
猫用のフードやおやつを選び、手作り食の場合は専門書や専門家の指導を参考にしてレシピを考えてください。

魚と他の肉を組み合わせた食事の効果

魚(特に青背)のみを与え続けることは避けるべきですが、魚と肉を組み合わせることで両方のメリットを摂り入れられることもできます。

魚も鳥類や動物の肉も猫にとって良質なタンパク源となりますが、そのほかに脂質やビタミン・ミネラルの含有量などにそれぞれ特徴があります。

魚からは青背の魚の良質な脂質(血流維持に役立つEPA/DHA)、鮭やタラに多いビタミンDの補給源として少量ずつ使用しましょう。

食事の主となる肉類は、魚よりも元気維持に役立つビタミンB群、鉄分や亜鉛が豊富。魚と肉を組み合わせることで理想的な栄養バランスにすることができます。

デメリットとしては、肉と魚ではそれぞれお異なる消化酵素を使って消化すること。
愛猫がハイシニア期でお腹の状態が心配、またはもともと消化能力が弱い場合には、肉と魚は別々の機会に与えた方が消化の負担を減らせます。

手作り猫ごはん

肉や魚のレシピ例

体重4kgの成猫の1日分のトッピングの簡単レシピをご紹介します。

材料

牛肉25g、白米(炊いたもの)20g、白菜10g、小松菜5g、干しエビ2匹、鮭5g(写真はドライオイスターを使用)

作り方

すべての材料を食べやすい大きさに切って、鍋に水150ccと一緒に入れて10分ほど煮たら出来上がりです。
※主食のドライフードを2割ほど減らしてからトッピングしてください。
※野菜は残さないように特に細かく刻むことをおすすめします。白菜や小松菜は比較的癖のない野菜ですが、初めての場合は白菜のみにしてください。
※愛猫の好みによっては白米を除き、代わりとして仕上げにオイル(オリーブオイル、太白ごま油、アマニ油、魚油の中から選ぶ)を数滴足してください。

食材の組み合わせで嗜好性を広げる point

猫は肉食動物ですので雑食である犬よりもいろんな食材を好んで食べてくれるわけではありません。新しい食べ物にはたいへん慎重といっていいでしょう。
成猫以降の嗜好性は、子猫の間にどんなものを食べてきたかによっても影響します。年齢を重ねてからでも新しいものを食べることはありますので、食べられるとわかっている食材に新規の食材を少量混ぜて与えるなど、用心深く慣らして嗜好性を広げるといいでしょう。

ごはんを食べる猫

愛猫の健康維持にはバランスの良い食事が大切です。魚だけでなく、さまざまな種類の肉類や健康サポートに役立つ栄養補助食品(サプリメント)も必要に応じて意識してみてください。 栄養素のバランスを整えることは愛猫の健康サポートに役立ちます。

今後もこちらでは猫に関する情報発信を続けます。大切な愛猫との生活にぜひお役立てください。

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筆者

愛犬とペットフーディスト

ペットフーディストアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーペット栄養管理士犬の食事療法インストラクター上級師範

山本 由能(やまもと ゆの)

現在の愛犬との生活がきっかけで犬の食事や心のケアについて勉強を始めたことがご縁となりGREEN DOGへ。
自身も飼い主のひとりとして愛犬との生活を楽しみ介護も経験。
日々の業務では主に犬の栄養学や健康維持に関する情報を発信しています。

GREEN DOGへようこそ はじめての方へ伝えたい、わたしたちのこだわり。

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