いちごの旬とおいしい季節
いちご本来の旬は春の終わりから初夏までです。現在はハウス栽培が主流で、いちご狩りは12月から6月あたりまで開催されているところが多いです。スーパーで手に入りやすいのもこの時期です。
いちごが特に甘くておいしいのは、1月~3月です。気温が低い時期は時間をかけて成長し、成長時間が長いだけ糖分が蓄積されるからです。種類によっても多少の差がありますが、クリスマス以前より、後の方がおいしいいちごが増えるようです。
スタッフコラム81話目
愛犬・愛猫(パートナー)にいちごを少し分け与える飼い主(オーナー様)は多いのではないでしょうか。特に冬の間はハウス栽培のいちごが甘くておいしい季節ですね。
いちごはビタミンCが豊富なことで体にいいイメージがありますが、一方でキシリトールが含まれることから「犬猫にいちごは与えてはいけないのでは?」と不安になる方もいらっしゃいます。
そこで今回はいちごを愛犬・愛猫に与える際のメリットとデメリット、心配なキシリトールの量についてペットフーディストの山本が詳しく解説します。
いちご本来の旬は春の終わりから初夏までです。現在はハウス栽培が主流で、いちご狩りは12月から6月あたりまで開催されているところが多いです。スーパーで手に入りやすいのもこの時期です。
いちごが特に甘くておいしいのは、1月~3月です。気温が低い時期は時間をかけて成長し、成長時間が長いだけ糖分が蓄積されるからです。種類によっても多少の差がありますが、クリスマス以前より、後の方がおいしいいちごが増えるようです。
ビタミンCが豊富なことで知られていますが、もうひとつの大きな魅力は食物繊維です。なかでも腸の健康に役立つ水溶性食物繊維がとても豊富。
愛犬、愛猫に与えやすい果物として最も人気のバナナと比較するとわかりやすいです。
バナナと比べていちごにはビタミンC、水溶性食物繊維が5倍も多く含まれています。
いちごには愛犬・愛猫にとってメリットがあります。
いちごは水分を90%も含み、みずみずしい果物ですね。魅力的なのはビタミンCが豊富なこと。ビタミンCは皮膚の健康維持に役立つ栄養素です。またストレス時には大量に使われるため、寒さが厳しい季節には意識して摂って免疫力維持にも役立てたいものです。
食物繊維に関しては、特に水溶性食物繊維が豊富で、これは食後の血糖値の上昇をゆるやかにしたり、便通にも役立つ成分です。
味に関しては甘味と酸味を感じる犬にとっては気分があがる組み合わせであり、食べる喜びに繋がります。
猫は甘味を感じる味蕾(舌にある味を感じるセンサー)がありませんが、いちごを好んで食べると聞くことがあります。
薬膳では「涼」の働きがあり、体の余分な熱を取るのに良いとされています。実際、いちごには体内の余分な水分を排泄する働きがあるカリウムも豊富です。これらは暖かい季節が旬の果物の特徴とも言えます。
成分が健康に役立つもの(〇)
量に注意が必要なもの(△、×)
※キシリトールについては量の問題であり、いちごを与られないという意味ではありません。
(後述の犬猫へのいちごの与え方と注意点をお読みください)
写真のいちごは「長崎県産ゆめのか」という品種です。比較的大粒で1個あたり30gほどあり、とても甘くて食べ応えがあるタイプでした。通常小粒のいちごと呼ばれるものは1個あたり15gくらいのようです。大きさは品種によって差があります。
小粒のいちご(およそ15g)を与える際の目安量をお伝えします。ヘタや茎・葉は与えられません。実の部分のみを与えてください。
・超小型犬(~2kg) ... 1/2個
・小型犬(~10kg) ... 1個
・中型犬(~20kg) ... 2個
・大型犬(20kg~) ... 3個
・小型猫(~3kg)... 1/2個
・中・大型猫(7kg~)... 1個
いちごのアレルギー
愛犬・愛猫のいちごアレルギーはあまり情報がありませんが、いちごにもわずかながらタンパク質は含まれてため体質によってはアレルギーを引き起こす可能性はあります。食べた後に嘔吐や下痢、皮膚の痒み等、何らかの症状が出た場合には食べさせないようにしましょう。
キシリトールがいちごに含まれる量はわずかです。
キシリトールは甘味成分であり菓子類では砂糖の代わりに使用されることがあります。また虫歯予防にも役立つため(ヒト用の)キシリトール入りガムがたくさん作られています。
このように機能性成分として使用されている場合は大量に含まれるため、犬や猫が食べてしまうと危険です。
・キシリトール入りガム 1粒には500㎎(有名メーカー商品を参考)
・いちご(小粒15g) 1個には5.4mg
いちごに含まれるキシリトールの量はおよそ360㎎/100g(乾燥重量)です。生のいちご1個分(一般的な小粒タイプは15g)にはおよそ5.4mgのキシリトールが含まれる計算になります。いちごの90%は水分なので、実際に含まれる量はとても少ないです。
※バナナほか自然食材のキシリトール含有量についての確かな情報は見つけられませんでした。
キシリトールを大量に摂るといけない理由は、インスリンが大量に分泌されることで重度の低血糖症状を引き起こすことです。
愛犬や愛猫と一緒に暮らしている場合、テーブルの上など彼らが届く場所にキシリトール入りガムや菓子類を放置しないように注意するべきです。
または砂糖の代わりに菓子類に使用されている場合にもあるので原材料をチェックしてみてください。ヒト用の食べ物を愛犬・愛猫が見つけて食べてしまうことのないように普段から管理をしっかりしておきましょう。
参考情報によると体重5㎏の犬はキシリトール入りガム1個で低血糖を引き起こし、さらに小さな体格であれば、重度の肝障害を発症する可能性があるため、誤って食べることのないよう注意が必要です。食べてしまった場合は早急に動物病院に連絡し対処してもらいましょう。
キシリトールの用量について
75〜100 mg/kgを超えるキシリトールの用量は、犬の低血糖症と関連しています。
500 mg/kgを超える用量でキシリトールを摂取した一部の犬は、重度の肝機能不全または肝不全を発症する可能性がありますが、そのメカニズムは不明です。
参考:犬のキシリトール中毒症(MERCK MANUAL Veterinary Manual)
猫での事故報告は見当たりませんが、機能性成分としてキシリトールを使用した食品を摂取すると同じような症状が起きる可能性が高いため、充分に注意しましょう。
いちごは噛むと柔らかい果物とはいえ、大きいまま飲み込むと喉に詰まらせる危険性があります。与える際には薄く切る、または細かく刻んだり潰して与えることがおすすめです。
プレーンヨーグルト(無糖)といっしょに混ぜると乳酸菌も一緒に摂れてよりお腹の健康に良い組み合わせになります。乳製品は犬猫ともに好きな風味ですから、いちごだけでは食いつきが悪い場合にも試してみてはいかがでしょう。
小型犬の場合、1食につき刻んだいちごをティースプーンもしくは小さじに軽く一杯とヨーグルト大さじ1の組み合わせ(上の写真の量)を目安としてください。
乳製品でおいしさアップする場合、犬猫用商品で人気のヤギミルクパウダーをふりかけるのもおすすめです。
犬用のフードやおやつにはいちごを使用したものがあります。気になるものがあればぜひ商品ページをご覧ください。
犬猫にいちごを与えると下痢しますか?
犬と猫にとって、いちごは基本的に与えられる食べ物ですが、たくさん与えてはいけません。 いちごには、水分、食物繊維(特に水溶性食物繊維)が多いため、たくさん食べると下痢を引き起こす可能性があります。
犬猫にいちごを与えたら太りますか?
いちごは糖質が豊富なため、たくさん与えると肥満に繋がります。特に猫は、糖質の代謝が犬よりも苦手です。インスリン(血糖値を下げるホルモン)の反応が鈍いために、高血糖の状態(糖尿病)が続くとさらに健康を損なう危険があるため、与える際は少量ずつにしておきましょう。
いちごは結石症の犬猫には良くない?
いちごはシュウ酸を含みますが、青野菜(ホウレンソウ)よりも含有量は低いです。与える量にも注意すればシュウ酸摂取量の心配は少ないです。結石予防には運動、排泄(おしっこを我慢させない)、水分摂取、そのほかの食材での栄養素の過剰がないこと、などに配慮してください。ただし、心配であれば与えることを控えてください。
いちごは経験的に愛犬、愛猫に与えても大丈夫なことがわかっている果物です。好んで食べる様子をみるとついたくさん与えたくなりますね。魅力的な栄養素が多い反面、やはり糖質のこと、まだ犬猫にとってどのような作用があるか未解明な成分の事も含めて与えすぎると健康への弊害が起きる可能性もあります。
これはどんな食材にも言えることですので、特定の食品をたくさん与えことは控えましょう。
正しい食事でみなさんの愛犬・愛猫が健康な毎日を過ごせますように。
【関連記事】
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【参考資料】
・愛犬のためのホリスティック食材辞典
・犬のキシリトール中毒症(MERCK MANUAL Veterinary Manual)
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ごはんの窓口はこちらから筆者
ペットフーディスト、 アドバンス・ホリスティックケア・カウンセラー、 ペット栄養管理士、 犬の食事療法インストラクター上級師範
山本 由能(やまもと ゆの)
現在の愛犬との生活がきっかけで犬の食事や心のケアについて勉強を始めたことがご縁となりGREEN DOG & CATへ。
自身も飼い主のひとりとして愛犬との生活を楽しみ介護も経験。
日々の業務では主に犬の栄養学や健康維持に関する情報を発信しています。