2018.11.13食事・ドッグフード

老犬の手作り食レシピ~トッピングの割合と消化機能維持の工夫~

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老犬の手作り食レシピ~トッピングの割合と消化機能維持の工夫~

年を重ねたパートナーのために、もっと食べやすくて美味しいものを食べさせてあげたいと思ったことはありませんか。でも、自分が作った食事では栄養バランスを崩すのではないかと不安を感じる方が多いようです。

市販のフード(総合栄養食)であれば必要な栄養素は含まれていますが、それがパートナーの体質に合っているかどうかは別です。犬という種は個体によって体質の差が大きく、たとえ同じ犬種であっても運動量や持って生まれた体質、そのときの状態によって合う食事が違ってきます。パートナーの日々の状態を観察し、体調に合った食事を与えることが理想です。

完全な手作り食は難しくても、これまでのフードを主としトッピングとして混ぜるくらいなら気軽にできますし、体調によって調整してあげることもできますね。今回は、シニア犬カウンセラーの山本が、老犬用の手作り食について具体的なレシピをご紹介します。

手作り食の基礎

食事の内容(栄養素の割合や量)は、人と犬とでは違いますが必要な素材は似ています。
 肉類:アミノ酸の供給源
 穀類(もしくは芋やかぼちゃなど):炭水化物の供給源
 野菜類:ビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源

基本のレシピ:チキンシチュー

老犬の手作り食レシピ~トッピングの割合と消化機能維持の工夫~

体重5kgのパートナー用/1日分の食事

トッピングとして与える場合は、およそ3日分の量になります。(1日分の3割程度を使う)

<肉類>

  • ・鶏胸肉:80g
  • ・鶏レバー:5g (ビタミンA源)
  • ・鮭:5g (ビタミンD源)

<野菜>

  • ・かぼちゃ:30g
  • ・さつまいも:30g
  • ・小松菜:20g
  • ・人参(すりおろしてからリンゴ酢少々を混ぜる):大さじ1杯

<その他>

  • ・干しえび:小さじ1杯 (カルシウム源)
  • ・ショウガ(すりおろす):少々
  • ・ゴマ油:少々
  • ・水(このみによってはヤギミルクも混ぜる)250ml程度

※上記はあくまで目安の量です。パートナーの体質や体重によって調整してください。
※鶏レバー、鮭、干しエビは、トッピングで利用する場合は意識しなくても良いものですが風味が良くなる素材です。

作り方

  • ①肉、野菜類は食べやすい大きさ(なるべく小さく)に切る。
  • ②鍋にゴマ油をひき、全ての食材を入れて軽く炒める。(香りがたち食欲を刺激します)
  • ③水を入れて、野菜が柔らかくなるまで煮る。
  • ④仕上げに、人参をトッピングする。

※人参は比較的消化が難しい野菜です。すりおろしたものを煮ても良いですが、生のままリンゴ酢を混ぜてからトッピングするのもおすすめです。(生の人参には他の野菜のビタミンCの吸収阻害する成分がありますが、リンゴ酢を混ぜることでその働きが減少します。)

鶏肉は多くのパートナーが好む食材であり、シニア期のパートナーには消化に負担の少ない肉といえます。運動量が減ってきたパートナーの代謝をあげるためにショウガを加えることがおすすめです。

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トッピングの量

チキンシチューレシピは、まとめて作っておいて小分け冷凍すると便利です。手作り食1日分のレシピからトッピングとして3割程度を使うことがおすすめです。その分、主食のフードは給与量の7割に減らしましょう。

  • ・フードの7割:メーカーの給与量1日分×0.7
  • ・手作り食3割:手作り食1日分×0.3

体調が悪くてほんの少ししか食べられない場合は、パートナーが食べてくれるものが優先されます。栄養バランスにこだわり過ぎず、臨機応変に与えてあげましょう。

食材のアレンジ

 赤身肉(ラム肉、馬肉など):元気を与えたい場合に鶏肉に置き換えると良いでしょう。ラム肉は、疲れを軽減したり、足腰の冷えを改善したりする効果が期待できます。
馬肉は、便秘の解消や体力低下を補う効果があります。

 旬の野菜:できるだけ新鮮なうちに調理して与えましょう。犬は野菜の消化が苦手なのでな、なるべく細かく刻んだり、ミキサーでペースト状にしたり、消化しやすいように工夫して与えてください。冷凍した場合は3週間以内に消費しましょう。
旬の野菜以外では、緑黄色野菜(赤、黄、緑など色鮮やかなもの)、葉野菜には栄養価が高いのでできるだけレシピにとりいれると良いでしょう。

※1 犬には与えてはいけない野菜
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食事介助が必要な場合

自力で食べることが難しくなったパートナーには、チキンシチューをさらに食べやすい状態にして与えましょう。
 ソフトスプーンで口に入れる
チキンシチューをブレンダーやミキサーでスープ状にします。ソフトスプーンを使って口の横側から入れてあげましょう。柔らかいスプーンを使うことで介助がスムーズになります。
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 シリンジで流し入れる
噛むことや固形を飲み込むことが困難なパートナーには、シリンジで口の横側(犬歯の後側)から少しずつ流し込む方法があります。葛や片栗粉を混ぜてとろみをつけると、より飲み込むやすくなります。
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腸も筋肉であることを意識する

ハイシニア期に入り、食材を噛むことが難しい場合は、消化のよい柔らかい食事が推奨されます。しかし一方で、柔らかい食事ばかりだと、胃腸の筋肉が衰えてしまいます。まだ噛むことができる状態で体調の良い時には、ほんの少しの固形物(食物繊維が豊富な野菜や少し形を残した肉)を混ぜて与えてみましょう。

たとえば、お粥の中に小さく刻んだゴーヤやアスパラガスなどを少し入れ、少しでも噛むことや飲み込む動作が鍛えられます。このように筋肉を維持することは誤嚥を防ぐことにもなりますし、胃腸の衰えを遅らせる効果が期待できます。ほかにも、茹でたささがきゴボウやブロッコリーの芯をスライスしたものなどもおすすめです。

ただし、与え過ぎると、消化不良や下痢を引き起こす原因ともなりかねないので、十分に注意して与えましょう。

まとめ

老犬で食欲が落ちてきた場合には、手作り食が食欲アップに役立ちます。何よりも良いのは、さまざまな食材の組み合わせで味の変化をつけられることや体調に合わせて調整できること。食材を変えて風味に変化がつくことで、偏食気味や味に飽きやすいパートナーでも食べ続けられる可能性が出てくるのです。

人も犬も、口から栄養を摂ることは生きていくうえでとても大切ですね。できれば元気なうちから何が好きなのか、反応が良い食材は何かを探っておくことや、内臓の筋肉維持も意識してくださいね。

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山本 由能(やまもと ゆの) ペットフーディスト、ペット栄養管理士、犬の食事療法インストラクター上級師範

現在の愛犬との生活がきっかけで犬の食事や心のケアについて勉強を始めたことがご縁となりGREEN DOGへ。 自身も飼い主のひとりとして愛犬との生活を楽しみ介護も経験。 日々の業務では主に犬の栄養学や健康維持に関する情報を発信しています。
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