2019.04.26一緒に。もっと、

もっとノーズ、プリーズ!~シリーズその3

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外にでかけてみよう!

もっとノーズ、プリーズ!~シリーズその3

文と写真:藤田りか子

藤田りか子さんの他の記事はこちら →藤田さんの記事一覧

お家での基礎づくりができたら(前回のブログを参照にしてください)、今度は外で同じようにトリーツをつかった嗅覚遊びにチャレンジしてみましょう。外なので、リードを犬につけて遊んでみてくださいね。

みなさんの行動圏内にある環境にもよりますが、どこか芝生のある場所を探してみましょう。

ちょっとその前に!新しい環境に馴染めない犬の場合は?

もし新しい環境になかなか馴染めない、なにかとビビってしまう犬であれば、いきなり遊びを始めるのではなく、まずその場に馴らさせてあげることが重要です。

リードをつけたままにして、犬といっしょに飼い主さんはその場所でただぼーっと立っているだけで十分。しばらくすると、犬は「なんだろう?」とあたりを嗅いだり、聞いたりと、自分で調査しはじめるはずです。

その時に「スワレ」とか「ツケ」などと犬にコマンドを与えないよう。オビディエンスをトレーニングする場ではありません。犬が落ち着いてあたりを調査しているようであれば、やさ〜しく落ち着いた声で「いい子だね〜」などと話しかけてあげます。

もう1つ大事なのは、犬が何かに怖がっていたとしても、あまりドラマチックに反応をしないこと。

「かわいそうに、かわいそうに!」

など大げさにするのではなく静かに声をかけてあげます。

飼い主さんに抱かれたそうにしているのであれば、それもOKです。抱きかかえるだけで、あまりとやかく話しかける必要はありません。犬は抱きかかえられながらも、まわりを見ながら(そして周囲のにおいも感じながら)、自分なりに状況を把握しようとしているはずです。

これは犬にとって自信にもつながります。こんな風にある程度「犬に任せる」という態度をもって愛犬に接するのも大事です。嗅覚遊びの時、私たちは犬の鼻に完全に頼らなければならないからです。

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新しい場所に来たら犬が慣れるまでゆったりと過ごしてみよう。何も命令などださず、ただ犬に周りををみてもらいます。Photo by Pauline

芝生にばらまいてみる

さて新しい環境に馴染んだところで、いつものようにトリーツをばらまいてみます。芝生の中なので、これまで床で行っていたときよりも少しハードルがあがります。

草の丈の中にトリーツが隠れて、視覚がほとんどつかえません。このときこそ犬は鼻をおおいに活用します。最初は1m x 1m 四方内にいくつかばらまきます。

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草の中にあると、 視覚的にはトリーツは非常に見つけづらい。でも犬たちはこれを嗅覚でしっかりと探し出すはず

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芝生をクンクン

自信をもって探すようになれば、徐々にエリアを広げて行きます。最終的には10m x 10m、状況が許すようであればそれより広い場所にトリーツをバラバラと撒いてもかまいません。

エリアが広くなると、通常のリードの長さでは足りなくなるかもしれませんね。ロングリードも活用してみましょう。

ただしエリアにたくさんばらまいていると、お腹がいっぱいになってしまうこともあるでしょう。これではもはやおやつとはいえないので、朝食とか夕食として与えてもいいでしょう。

私は朝食として庭にドライフードをばらまいて犬に食べさせることもあります(こちらのブログを参照)。手作り食の人は、あらかじめつくってあるご飯を冷凍させて、それを金槌で砕いて、ばらまいてみるのもいいでしょう。

芝生で上手に探せるようになったら、もう少し難度を上げて犬のチャレンジ心をくすぐってみましょう!道端や庭にある生垣、あるいは丈の高い草のあるところにトリーツをばらまき探させてみましょう。

ただし公共の生垣を利用する場合は、犬が植木にダメージを与えない限りにおいて、行ってください。

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動物本来の行動がとれる自由

こんな風に環境にあるものを隠し場所として利用し、犬の嗅覚力を培ってみてください。犬というのは現代の文明世界になる前は、ありとあらゆる場所で嗅覚に頼って食べ物を探していました。

「探したい!」という本能はたとえ家庭犬として室内で暮らしていてもしっかりと残されています。動物ウェルフェアの考え方の基本である「動物の5つの自由」には「動物本来の行動がとれる自由」があります。

嗅覚で探す、というのはまさに「犬の本来の行動」にあたります。その自由を楽しむ時間を与えるのは、飼い主としての役目でもあり責任でもあるでしょう。

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藤田 りか子(ふじた りかこ)

ドッグ・ジャーナリスト。レトリーバー二匹と自然豊かなスウェーデン・ヴェルムランド県の小さな村に在住。スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。犬の繁殖管理や福祉の先進国スウェーデンはじめ北欧の犬情報はもとより、ヨーロッパ各地の純血種の知識に詳しい。著者に『最新世界の犬種図鑑』。 現在ノーズ・ワーク(嗅覚を使うドッグスポーツ)に夢中、コンペティターでもある。