2019.05.17一緒に。もっと、

犬といっしょに眠る幸せ、悩ましいジレンマ

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眠っている犬

今回は ガニング亜紀 さんの記事です。
ガニング亜紀さんの他の記事はこちら →ガニングさんの記事一覧

皆さんのパートナーである愛犬は夜どこで寝ていますか?

同じお布団の中でいっしょに、寝室に置いたドッグベッドで、犬と人は完全に別々の部屋で、とご家庭によって様々だと思います。

犬と人間と睡眠の関係については数多くの研究も行われていて、それぞれに「なるほど」と納得したり、「あれ?うちはこれでいいのかな?」と考えさせられたりするものです。

犬と眠ることで人間にもたらされる幸せ

寝ている小型犬

2018年に発表されたカナダのアルバータ大学リハビリテーション医学部作業療法学科の研究者によるリサーチは犬といっしょに眠ることのメリットを示すものです。

その研究は怪我の後遺症や慢性疾患などによる慢性的な身体の痛みを持つ人にとって、犬と同じベッドで眠ることが間接的に痛みの改善につながっている可能性があると示唆しています。

調査は、6ヶ月以上続くスケール4以上の痛みを持っていて犬と暮らしている人々へのインタビューという形で行われました。

回答では犬といっしょに眠ることで「幸福感が増す」「不安や孤独が和らぐ」「リラックスできる」というものが多く見受けられました。

慢性的な痛みは身体だけでなく精神への影響も大きいものですが、犬によってもたらされる気持ちの安定が質の良い眠りを導き、痛みの改善につながる可能性が示されています。

特に痛みなどがない人にも、犬がもたらす幸福感やリラックスというのは大いに共感できるところですね。

また同じく2018年のリサーチで、アメリカのカニシャス大学動物行動学科とフロリダ大学麻酔学科の研究者が、女性を対象に行った睡眠に関するアンケート調査も面白いものです。

回答者の女性のうち、犬と暮らしている人の多くが「犬は人間のパートナーよりも睡眠の邪魔をすることが少ない」と答えたそうです。

また犬と同じベッドで眠ることは快適で安心感をもたらすという回答も多く寄せられました。

他の質問項目では人間のパートナーや猫といっしょに眠る場合の設問もあったのですが、比較すると多くの女性にとって邪魔をすることなく安心感をくれる睡眠のベストパートナーは犬であることがわかりました。

もちろん犬と眠ることが良いこと尽くめとは限らない

2017年に発表されたアメリカのメイヨー・クリニック睡眠医学の研究者のリサーチでは、犬といっしょに眠ることの医学的な影響が調査されました。

上記2つのような聞き取り調査ではなく、実際に被験者とその愛犬が運動センサーの機器を装着して眠り、睡眠中の動きを記録して睡眠の質を測定したものです。

「犬と人間が同じベッド」「同じ部屋で寝るがベッドは別」「犬と人間それぞれに別室」など、いくつかのパタ-ンを比較した結果、最も深く質の良い睡眠は、犬と人間が同じ部屋の別々のベッドで寝た時だったということです。

犬と同じベッドで寝た場合には、眠りが浅い、途中で目覚めるなど睡眠の質が低下していることが観察されたそうです。

人間はいったん寝入ると朝まで連続して眠る単層生睡眠のサイクル、犬は一晩のうち平均3回の眠りと目覚めのサイクルを繰り返す多層性睡眠です。

このように犬と人間では睡眠サイクルが違うため、同じベッドではお互いのサイクルを邪魔してしまいます。同じ部屋にいることで心の安定を得て、別々のベッドで身体の休息を取るというのがベストだという結果が出ています。

また犬種によってはあまりにも抜け毛が多くて、お布団の共有は物理的に無理という場合があるのも当然ですね。

犬と眠ることの良いこと悪いこと、どちらも心当たりが

ベッドの上のレトリーバー

私自身は我が家の2匹の犬たちと毎晩同じベッドで眠っています。

犬たちはそれぞれにベッドを持っていますが、夜本格的に眠る時には人間のベッドに来ます。

さあ寝ようとライトを消した時に、犬が脚に寄り添って来たり、同じ枕に頭を乗せて来たりすると、心から幸せな気持ちのままで眠りにつくことができます。

一方で、夜中の2時や3時に起き上がって体をブルブルさせたり、布団の中でクルクル回ってポジションを変えたり、時には寝ぼけて脚を動かす犬に蹴られたりして、安眠を妨げられることが度々あるのも確かです。

ですから同じ部屋の別々のベッドで眠ることが質の良い睡眠のためにはベストというのは「なるほど、そうだろうな」と納得が行きます。

とは言っても、寝る時間になると犬たちが寄り添ってくると「自分のベッドに行きなさい」とは到底言えないこともまた事実。ぜいたくなジレンマですね。

忘れてはいけない大切なこと

愛犬と同じお布団、同じベッドで眠ることに安らぎを見出す人が多いのは間違いありません。

心理学や医学の面からの研究も行われ、犬といっしょに眠ることのプラスもマイナスも明らかになっています。

実際にどうするかは、犬と人間それぞれの体質や性格、住宅事情などによっても変わってくるので、絶対にこれだけが正しいという答えはありません。犬に関する他の多くのことと同じです。

忘れずに心に留めておきたいのは、睡眠という生き物にとっての非常に重要な問題について、犬自身にも選択の権利があるということです。

人間が明るい部屋で遅くまで夜更かししている時に犬が暗い静かな場所に行こうとしたり、いっしょに眠っている時に犬が目を覚まして移動したがれば、犬の意思を尊重します。

衛生や安全の面で問題がなければ、犬に選択する自由があること、その意思が尊重されることは犬の心の健康にとってとても重要です。

「私は犬といっしょに眠りたいけれど、犬は自分のベッドで眠りたいようだ」
「うちの犬は誰にも邪魔されない静かな場所で朝まで眠りたいようだ」

こういう犬の意思を尊重することは甘やかしでもわがままでもありません。

反対に「犬はいっしょに寝たがるけれど、私は一人で眠りたい」という場合は、人間の寝具のすぐそばに犬用ベッドを置くなど、折衷案を考えてあげてください。

おわりに

ベッドの上の黒いラブラドール

犬といっしょに眠るということについて、ちょっと改まって考えてみました。

それぞれに色々な事情があることなので唯一無二の回答というものはありません。

しかし睡眠は全ての生き物にとって生きる基本となることなので、人間と犬双方の事情を尊重して良い環境を作りたいものです。

そういう関係の作り方が、お互いへの信頼につながっていくように思います。

《参考URL》
Pet Dogs in the Sleep Environment of Patients with Chronic Pain
(https://www.mdpi.com/2076-0760/7/9/157/htm)

An Examination of Adult Women’s Sleep Quality and Sleep Routines in Relation to Pet Ownership and Bed sharing
(https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/08927936.2018.1529354)

The Effect of Dogs on Human Sleep in the Home Sleep Environment
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28870354)

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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

ガニング 亜紀(ガニング アキ)

南カリフォルニアにて、12歳のドーベルマンミックスと11歳のミニピンと暮らしています。2011年から6年間ブログメディアdog actuallyに執筆しておりました。 アメリカのユニークなペットフード事情や、犬の心と体のケアに関する情報の中から日本の犬たちにも役に立つものをお伝えしていきたいと思います。