冬に忍び寄る、夏のあのヤマイ
ケーナイン・ストレスケア・スペシャリストの清水です。
体感温度も下がり、すっかりマフラー姿が定着するようになりました。犬たちにとっては、待ちに待ったとっても快適な季節の到来です!クリスマスのイルミネーションも綺麗に飾られ、夕方の散歩もカラフルになりました。
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冬の室内は暑い
犬たちにとっての快適な冬の季節ですが、室内では人間用に暖房器具を使用するため、逆に居心地の悪い環境になってしまっている場合が多く見受けられます。
例えば、炬燵で一緒に寝ている場合やストーブの前に陣取って温まっている状況も、通常より体温も体表温度も高くなってしまう要因となり、ゆっくりゆっくり身体を蝕われてしまっている可能性があります。その悪魔の正体は、冬の熱中症です。
熱中症は万年病
熱中症は、もっぱら暑い夏によく聞きますが、外環境が条件に当てはまれば、冬でも秋でも、どんな季節にも起こる可能性があります。その条件とは、高温な環境下(特に乾燥している)に長くいることで、体内の水分量や塩分のバランスを崩してしまうという状態です。
血中や体内の水分が失われると体温調整が上手くできなくなってしまったり、意識の混沌や吐き気や目眩が起こってしまう場合があります。手足の痙攣も観察される場合もあり、特に重篤化すると命を落とす危険性もあります。
変化は穏やか
もちろん夏の高温による熱中症のように急に重篤化することはあまりありませんが、実は軽くのぼせている状態になっていることが多く、呼吸が荒くなったり、グッタリしたりしているケースは良く観察されます。
人間が「ちょっと喉が渇いた」と思う状態も、熱中症の初期症状であり、本来であれば渇きを覚える前に水分補給をすることが理想です。また、食欲の低下や目にも光がなくなった場合も要注意です。特に、「ハァハァ」と喘いでいる場合は、水分が足りない証拠です。
犬は毛皮を着ている
人間が快適な環境であっても、必ずしも犬たちにとって最適ではない場合が多く、それもそのはずで、人間は暑ければ服を脱いで調整することができますが、犬たちは基本的に毛皮を着ています。その為、寒さには強くても、暑さにはめっぽう弱いのです。
通常であれば、自分で体温調整をする為に廊下などの涼しい場所に移動するのですが、ドアが閉まっていたり、ワンルームだったりすると逃げ場がなく、結果的に体温コントロールが上手にできなくなってしまいます。さらに、新鮮なお水にアクセスできない場合は顕著で、短時間で軽度の熱中症になってしまいます。
熱中症になってしまったら
もし熱中症になってしまったら、まず窓を開けるなどして環境気温を下げてあげることはもちろんの事、スポーツドリンクを少し混ぜた水を十分に与え、身体の温度を下げてあることが先決です。
その後に、経過観察と並行して経穴(ツボ)を刺激することで、 身体の熱を逃がしてあげるお手伝いができます。しかし、症状が改善されない場合には、直ぐに獣医師の診療を仰ぐことを強くお薦めいたします。
ツボ押しはコミュニケーションの1つ
マッサージやツボ押しは、普段からできるホリスティックケアでもあり、愛犬と飼主さんの距離が近くなるのも特徴です。また、強く刺激しすぎないことを注意すれば 百利あって一害なしです!ですので、積極的に取り入れていただくことが可能であり、道具もいらないので、どこでも行うこともできます。
上手なツボ押し
コツとすれば、皮膚の上に指先を置き、「皮下の骨の形はどうなっているのかな?」「骨に小さな凹凸はないかな?」というのを感じられるぐらい優しく行う方法が簡単です。
そして経穴点に関しては、ハッキリ分からないものもあるのであまり厳密には捉えず、「この辺かな?」という程度で、その周辺をゆっくり優しく刺激してあげるのが良いです。そして上手くマッサージできていれば、目を細めたり、あくびをしたりして気持ち良さそうな反応観られますので 、愛犬を見ながら調整してみてください。
ここで1つ注意ですが、マッサージをしているときに、愛犬が歯を当ててくるなど異常な反応を示した場合には、圧迫個所に痛みがあることやその周辺で炎症を起こしていることなどが考えられますので、直ぐにやめ、獣医師へ相談し診断を仰いで下さい。
代表的な2つのツボ
さて実践ですが、今回はよく使われる代表的な 2 つのツボをご紹介します。
湧泉 :代表的な経穴の 1 つで、刺激をすると元気が湧いてくるとされています。後肢のメインの肉球の直ぐ下というデリケートな場所にあるので、優しく触るのがポイントです。
合谷 :疲労回復のツボ。刺激すると体力増進、疲労回復、血圧低下。人間同様、親指と人差し指の付け根に位置。ここもデリケートな場所ですので、優しく触るのがポイントです。
最後に
経穴(ツボ)には様々な効果があり、症状によっても変わります。個人的に興味がある方は本屋インターネットでたくさん勉強していただき、大切なパートナーが元気に過ごせる 1 ツールとして利用できると良いですね!
しかし、先ずは熱中症にならない配慮が必要です。過度に部屋を温めず、犬たちがいつでも新鮮なお水を飲めるようにし、また、自分たちでクールダウンできる場所も作ってあげなければいけません! いつでも毛皮を着ていることを忘れずに、彼らの生態を尊重することで、より強固な絆が生まれ「犬が笑顔になる」幸せへの近道になると思います。
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