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これってけもの臭?犬の臭いの原因と対策を解説
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犬が臭うのはある程度は仕方がないことですが、飼い主さんにとっても犬にとっても負担のかからない方法でニオイを軽減することは可能です。今回は、健康な犬が臭う原因と対策について、GREEN DOG & CATのホリスティックケア・カウンセラーが解説します。
臭いのお悩みが多い犬種は?

脂っぽい皮膚や被毛を持つ犬種
シー・ズー、アメリカン・コッカー・スパニエルなど
体の表面積が広い超大型犬
セント・バーナード、グレート・デーンなど
顔や体にしわの多い犬種
ブルドッグ、シャー・ペイ、フレンチ・ブルドッグ、パグなど
よだれの多い犬種
セント・バーナード、ニューファンドランドなど
犬の臭いの原因は?

犬が臭うのはごく自然なこと。気にしすぎはよくない
いくら綺麗にしていても、動物であるかぎり犬の臭いがゼロになるということはありません。ヒトでも体臭の強い人がいるように、犬も個体によって臭うことはごく自然なこと。まずはここを理解して、犬は臭って当たり前、というくらいおおらかな気持ちで共生しましょう。
犬臭さを嫌うあまりに、パートナー(愛犬)を頻繁にお風呂に入れてしまうのは問題です。犬の皮膚のターンオーバーは、3週間に1回といわれていますから、個体差はあるものの愛犬のシャンプーは3週間前後を目安に行うのが基本です。洗いすぎは皮膚のバリア機能を奪ってしまい、皮膚炎などのトラブルを起こすきっかけにもなりかねません。ひどくなると患部が臭うこともありますから、悪循環になってしまいます。
多くの方が悩まれる犬の臭いの原因は、おもに6つあります。
獣臭
犬特有の臭い、いわゆる犬臭さの原因のひとつは、汗腺が影響しています。犬には2種類の汗腺があります。
・エクリン腺...主に足の裏にある汗腺
・アポクリン腺...体全身にある汗腺
臭いの元は、アポクリン腺です。ヒトだと脇の下にある腺ですが、犬だと全身にあります。そのアポクリン腺から分泌される、脂分の多めの分泌物に汚れが付着したり常在菌が混ざり合ったりして、犬の体臭(犬臭さ)になります。
犬臭さは、犬種によって差があります。シー・ズー、アメリカン・コッカー・スパニエルなどは、皮膚が生まれつき脂っぽい犬種は脂漏性湿疹という皮膚炎を起こしやすく、脂っぽくて体臭も強めです。反対に被毛も皮膚もサラッとしていて体臭が少なめの犬種もいます。毛の長さよりも、被毛や皮膚が脂っぽいかどうかのほうが獣臭に関係するようです。皮膚の表面積が広い超大型犬には、アポクリン腺もいっぱいあります。セント・バーナードの方が、チワワのような超小型犬よりも体臭を感じやすいといえます。またドッグショーなどに出る犬は、犬種スタンダードで固い毛を保つためにシャンプーをしない方がよいとされる種類がいます。そういう犬は「臭いな」と感じることがあるかもしれませんね。
耳の臭い
耳の中にトラブルがなく、健康な状態ならそんなに臭いません。垂れ耳の犬などは、体温で耳の中が少々蒸れているので、ニオイを嗅いだらそれなりに臭う場合がありますが、それはごく自然なことです。しかし、外耳炎など耳の中で細菌が増殖して耳垢が酷い場合、何かの病気で膿んでいるなど、病気やケガの場合は臭いが強くなります。
肛門腺(肛門嚢)の臭い
犬のおしりの穴周辺内部に肛門腺という分泌物をだすところがあります。その分泌物が溜まる袋が肛門嚢(こうもんのう)です。肛門嚢の出口は、おしりを後ろから見たときに、お尻の穴の周辺、時計の針の4時と8時の方向にあります。大型犬の場合は、ウンチをするときに分泌液も同時に排出されるのが普通。けれど、多くの小型犬や運動不足、腹圧が弱い犬、去勢をしている犬などは、分泌液が自然に排出されず肛門嚢に溜まりやすく、それが臭いの原因となっていることがあります。肛門嚢からでる分泌物は、腐敗した魚介類のような強い臭いを放ちます。たとえば肛門腺しぼり(肛門嚢しぼり)をせず絨毯に分泌液がつくと室内が臭くなります。
皮膚・被毛の臭い
健康な犬でもアポクリン腺からの分泌液があるため、多少なりとも犬臭さは漂うものです。また常駐菌や皮脂分泌の量、温度や湿度、そして時間の経過の具合で体臭は強くなっていきます。何ヶ月もシャンプーをしていなければ、個体差はあるものの少しずつ犬臭さが増していくのは、ある意味自然なことです。
また、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、パグなどのように顔や体にしわの多い犬は、しわの隙間に汚れやよだれなどが溜まって臭うこともあります。
マルチーズなどの白い犬に目立つ流涙症(涙やけ)も、涙そのものではなく涙やけの部分で雑菌が繁殖していると臭いがすることもあります。
そのほか、ケガで膿んでいる、皮膚炎を起こしているなど、皮膚にトラブルがあれば当然いつもとは違う臭いがしてきます。
口の臭い

ヒトと同じで、犬の口の臭いは無臭ではありません。唾液も臭うことはありますし、健康で毎日歯磨きをしている愛犬であっても多少は臭います。口腔は食道、胃袋と繋がっているので、腸内細菌バランスが悪い場合などでも臭いはしますから、多少の臭いは心配はいりません。
しかし、口から腐敗しているような臭いや下水のような強い臭いなど、異常な臭いがしたら動物病院に連れて行きましょう。
歯磨きなど、お口のケアをしていないと、加齢に伴い歯垢が溜まり、強い口臭の原因となります。
また、口腔内だけでなく、お口のまわりに食べ物のカスなどがついたままだと、雑菌が増えて、臭いの元となることがあります。とくにパグなどの口のまわりにしわの多い短頭種は、食べカスなどの汚れがしわの間に入りやすい犬種です。セント・バーナード、ニューファンドランドなどのよだれの多い犬種も、よだれが垂れて口まわりから胸にかけて汚れやすく雑菌が増え、臭いの原因となることがあります。
犬の体の臭い対策
健康な犬が多少臭うことは自然なことだとしても、やはり気になる場合、なにか対策はないのでしょうか。犬のケアとお部屋のケアに分けて紹介します。
犬に対するケア
清潔な体、健康な状態を保つことにより、不衛生にすることによる不健全な臭いを減らすことはできます。
シャンプー
3週間前後を目安に体を洗って、清潔に保ちましょう。シャンプーは低刺激で皮膚への負担が少ないものを選びます。刺激の強いシャンプーは皮膚にダメージを与え必要な油分まで洗い流し、皮脂分泌を過剰にすることで、かえって体臭を強めてしまうことがあります。またシャンプー剤の中には、ティーツリーなどの抗菌作用のあるエッセンシャルオイル入りのものもあるので、雑菌が気になる場合は試してみるのも良いでしょう。
ブラッシング
毎日シャンプーをしてはいけませんが、ブラッシングなら毎日できます。夜のリラックスタイムや散歩から帰った時など習慣にするといいでしょう。外から帰ったときは、まずは表面に付着しているよごれを乾いた布やタオルで拭き取ってからブラッシングをします。これは花粉などアレルギー物質を室内に持ち込むのを防ぐためにも役立ちます。それからブラッシングをして、無駄毛やホコリ、汚れを取り除きましょう。このときにグルーミングスプレー(被毛のケア成分を含むもの)やブラッシングスプレー(ブラッシングをスムーズに行うためのもの)を利用するのもおすすめです。ニオイ対策だけでなく艶出し、虫除けなど多用途になっていますので期待するメリットで選んでみてはいかがでしょう。
濡れタオルで拭く
雨や雪の日の散歩、またはもう雨はあがっていても道路が濡れているときなどは、四肢、おなかなどに泥がはねて汚れていることがあります。そういうときは清潔な温かい濡れタオルや体拭き専用のペーパータオルなどで拭いてあげましょう。また雨の日に関係なく、全身をサッと拭くだけで体臭を抑えることができます。部分的な汚れであれば全身を洗わなくても洗わないシャンプーを使って拭き取れば簡単に清潔な状態にすることができます。
耳掃除・耳チェック
耳垢がたまっていないか、耳の中の毛がたくさん生えて蒸れていないかなどをチェックします。耳の中はとてもデリケート。耳垢がたまっているときは、正しいやり方での掃除が必要なため獣医さんやトリマーさんにお任せしましょう。
口腔ケア
犬は歯垢、歯石がヒトよりもつきやすい動物です。歯垢が歯石に変わる前に、できれば毎日歯磨きをしましょう。
肛門腺しぼり(肛門嚢)
肛門嚢に分泌液が溜まると、犬も違和感から床や地面にお尻をこすりつけるような仕草をしたり、自分で肛門付近をペロペロ舐め続けたりすることがあります。犬のおしりの穴のまわりが傷ついたり、肛門嚢そのものが炎症を起こしたりしますので、自宅でできない場合は、サロンなどで定期的にケアしてあげましょう。トリミング・サロンでは、爪切りや耳掃除などとともに肛門腺しぼりもセットで行われることが多いですが、サロンにあまりお世話になることがないスムースヘアやショートヘアの犬の飼い主さんの中には、肛門腺しぼりなんて知らなかった!というかたも多くいます。小型犬はとくに、ヒトがケアをしてあげる必要があります。大型犬でも自力で排出できずに分泌液が肛門嚢に溜まってしまう犬もいますので、お尻を気にする様子があるなど、心配なときには肛門嚢に分泌液が溜まっていないか一度獣医師さんに相談をしてみましょう。その場でしぼってもらえます。しぼり方がわからないときも教えてくれますよ。
お顔まわりのケア

しわが多い犬種や、よだれが多い犬種、ごはんの食べ方が豪快でマズルやお鼻の上に食べカスがつく犬など、食後のタイミングでお顔まわりを拭いてあげましょう。アフガン・ハウンド、アメリカン・コッカー・スパニエル、ダックスフンド、など耳が垂れていたり、長い被毛を持っているタイプは、食事のときにスヌード(耳カバー、ヘアバンドのようなもの)をつけてあげると汚れがつくのを防げます。
食事を見直す
質の悪い油脂を多くとると、体臭が強くなる傾向があります。フードを変えると体臭が変わった、という例もよくあります。
部屋(空間)に対するケア
部屋の臭い消し
適度に窓を開けて、部屋の空気の入れ換えをしましょう。窓を閉めっぱなしでは空気(=犬臭さ)がこもります。掃除も大切です。家具の下やエアコンや冷蔵庫の上などには、埃や犬の抜け毛が溜まっていることも。そこは雑菌の恰好の繁殖場になりがちです。またカーテンやソファーカバーなどの大きな布製品をきれいにすると部屋のニオイがスッキリします。犬のベッド以外の布製品も定期的に洗濯をするといいですよ。
脱臭機・空気清浄機
犬の留守番が長く、換気をする回数が少なくなってしまう家庭におすすめです。脱臭機の中でもオゾン発生器は小型でコンパクトなものもあり、場所をとらないので使いやすいです。犬のベッドまわり、トイレなど、犬臭さがこもりそうな場所に設置するとよいでしょう。
消臭剤
なるべく化学物質が含まれていないものを選びましょう。犬は嗅覚が優れています。ヒトにとっていい香りでも、犬にとってはストレスになるものも。香り付きのものを使うときは、犬の様子に注意して、犬の寝床のそばには置かないなど気をつけてあげましょう。
病気の可能性はあるの?
ヒトでもそうですが、化膿していたり、ばい菌が繁殖していたり、胃腸の調子が悪くなったりしたら臭いが出ます。臭いは、体調不良や病気の合図の可能性の場合も。下記をチェックして、当てはまる場合には、動物病院に行って相談しましょう。
- シャンプーをしても、数日で体臭が気になる
- フケ、べたつき、かゆみ、湿疹など体臭以外の症状がある
- 耳掃除をしても、数日で汚れたり痒がっている
- 口から強い臭いがしたり、歯石がついていたり、歯茎が腫れている
- 肛門を床にこすりつける
- 体の一部分を舐め続ける
- その他、いつもはしない行動をしている
まとめ

犬が大好きでも、犬臭いのはやっぱりちょっと困るかな、というのは多くの人の本音ではないでしょうか。ただ、気にしすぎて頻回にシャンプーをしたり、耳掃除や歯磨きを過剰にしたり、口が臭い!といって近寄ってきた犬を邪険に扱うような冷たい態度をとったり...。犬はなぜ飼い主さんが不機嫌になるのかわかりません。それはあまりにも愛犬が気の毒です。おおらかに、寛容に、広い心で接してあげてくださいね。
その一方で、犬のニオイは身体の健康状態をあらわすバロメーターのひとつ。普段と違うことに気づいたら、念のため動物病院に相談するようにしましょう。
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