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犬の膀胱炎の原因や症状を獣医師が徹底解説!
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膀胱炎は、膀胱に炎症が起こる病気で、犬においては比較的多くみられます。炎症を起こす原因はいくつかありますが、最も多くみられるのは細菌感染によるものです。なかなか治らず、再発を繰り返すこともあります。今回は、犬の膀胱炎の原因と対策について、GREEN DOG & CATの獣医師伊東が解説します。
膀胱炎の症状とは?
膀胱炎を起こす原因はいくつかありますが、共通して次のような症状が現れます。
- 尿の色の濁りや臭いの変化
- 頻尿
- 残尿感
- 血尿
- 排尿障害(尿が出にくい、全く出ない)
- 尿失禁
膀胱炎だけが原因で発熱することは殆どないため、全身的な症状がみられる場合には、腎盂腎炎(腎臓に病原菌が感染)やその他の病気などの可能性が考えられます。
膀胱炎の原因
犬では泌尿器系の病気として膀胱炎の発生は多く、原因はいくつかあります。その中でも、細菌の感染によるものが多いです。特に雌は尿道が短くて太いため、細菌が膀胱に辿りつきやすく、細菌性膀胱炎になりやすいです。一方、去勢をしていない雄で細菌性膀胱炎が発生した場合には、前立腺の病気の合併症が疑われます。
- 感染症(主に細菌)
- 膀胱結石(ストルバイトやシュウ酸カルシウム結石など)
- 膀胱腫瘍
- シクロホスファミド(抗がん治療や免疫抑制治療などに使用するアルキル化剤)
- 外傷(交通事故など)
膀胱への細菌感染(細菌性膀胱炎)

おしっこを我慢させないことも大切
細菌性膀胱炎の病原菌は、多くの場合、大腸菌や常在菌であるブドウ球などです。尿道近くには、このような細菌は常に存在していますが、単に存在するだけでは膀胱炎が発生することはありません。なぜならば、膀胱は細菌の感染を防ぐ力をもっているからです。
膀胱を細菌感染から防ぐ力
- 尿を勢いよく流すことによる洗浄作用
- 膀胱粘膜の分泌物による細菌の付着阻止
- 尿道の正常細菌叢による病原菌の付着阻止
- 前立腺からの抗菌成分の分泌(雄)
- 長い尿道(雄)
体には細菌感染に対する防御力がありますが、何らかの要因によって打破されてしまうことがあります。
【細菌感染の防御力を打破されてしまう要因】
- 膀胱を完全に空にできない状態
- 下部尿路に炎症を起こす要因(腫瘍や膀胱結石)
- 内分泌疾患(クッシング症候群、糖尿病、甲状腺機能低下症)
- 多尿症
- 尿路の解剖学的異常
- 尿道カテーテル操作
- 妊娠 など
排尿を我慢していたり、尿路が詰まったりして膀胱を完全に空にできない状態になると、膀胱内に侵入した細菌の増殖を促してしまいます。膀胱に起こる炎症は、いずれも膀胱粘膜の防御力を妨げます。クッシングや糖尿病、ストレスなどは全身の免疫力を低下させてしまうため、尿路感染症にかかりやすくしてしまいます。
膀胱炎は雌犬がかかりやすいのですが、水分不足になりがちな老犬でも起こりやすいです。冬には、寒さによって免疫力が落ち、かつ水分摂取量も少なくなるため膀胱炎のリスクが高まります。
【細菌性膀胱炎が再発する要因】
細菌性膀胱炎は再発を繰り返すことが多いですが、さまざまな要因が考えられています。長引くことで、愛犬を苦しめることはもちろん、腎盂腎炎のような重篤な状態を引き起こしたり、膀胱結石(ストルバイト)を形成しやすくします。
- 投薬および治療の中断
- 基礎疾患(慢性腎不全、前立腺炎、尿路結石、腫瘍、内分泌疾患など)
- 全身的な免疫力が低下する状態
- 尿路の解剖的異常
- 膀胱炎になりやすい生活環境や習慣 など
膀胱炎の治療
・投薬治療
・食事療法
・手術
細菌性膀胱炎では細菌をやっつけるためには抗生物質が治療の中心になり、短くて1週間、長い場合には数週間と、長期間与える必要があります。そして、投薬後に完全に細菌が除去されことを動物病院で確認してもらいます。
膀胱炎が結石や結晶が関係している場合は、投薬と同時に結石の種類に応じた食事療法を行います。犬に多いのはストルバイト結石症とシュウ酸カルシウム結石です。ストルバイト結石は食事療法により尿pHを変えることで溶解が期待できます。シュウ酸カルシウム結石の場合、溶解はできませんが、再発を防ぐために食事療法は有効です。
結石が食事療法では改善が望めない状態や腫瘍など外科手術が必要なケースもあります。
膀胱炎が再発する要因
投薬治療の際、飼い主の勝手な判断で治療を中断してしまうと、細菌が膀胱内に残ってしまい、または菌が抗生物質に対して耐性を持ち、治らない原因となります。
再発をさせないためにも、症状が治まったかと油断せずに、獣医師に指示に従い徹底的に治療をする必要があります。
治療が完了しても、日常生活でおしっこの我慢や水分摂取が少ない食生活、ストレスなどが続くと、再発リスクは高まってしまいます。
ホームケア

尿の量を増やすことによって、頻繁に膀胱から細菌を流すことができます。日ごろから水をあまり飲まないタイプには配慮が必要です。ドライフードの場合は、充分にふやかしてから飲ませるといいでしょう。またはウェットフードやスープを薄めて利用するのもおすすめです。どうしても成分が気になる場合は、お水が心配ないものになります。器の工夫や設置の数や場所に工夫して少しでも飲む機会を増やしましょう。(※獣医師から指導がある場合は、必ずそれに従ってください)
おしっこを我慢させないように、散歩の回数や時間を増やし、トイレを常に清潔に保つことも大切です。散歩でのリフレッシュや飼い主との触れ合いは、心身ともに健康を維持し、免疫力を上げる助けにもなるはずです。