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うれしいと笑う?犬の表情と気持ちを読み取るポイントとは
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表情はどこを見ればいいの?
犬は目・耳・口元を動かし、その組み合わせで互いに気持ちを伝えあっています。それぞれのパーツの基本的な特徴とそれが表す感情は次のようなものがあります。
目
・瞳の大きさ
穏やかにリラックスしている時の瞳孔の大きさを普通としたとき、興奮や集中している時は瞳孔が開くため、笑顔の時にはキラキラ、怒っている時にはギラギラと光って見えます。
・視線の方向
もともと犬は目をじっと見つめられるのが苦手です。ですから、不安や緊張でドキドキしたり、ネガティブな気分のときは相手に敵意がないことを知らせるために、まばたきや目を動かして視線を合わせないようにします。
耳
・耳の向き
耳は注目している方に向くので、穏やかな時はゆったりと開き気味の前向きですが、目の前のものに気持ちを集中させている時は力強く前を向きます。また、周囲を警戒している場合は前後左右に広げたり動かしたりします。
・耳の傾き
基本的に積極的なときや自信があるときには立ち、消極的なときや従順なときには後ろに倒れます。歯をむき出していても怒っているとき耳は立ち、恐怖から身を守るためにやむを得ず威嚇をするときは後ろに倒れます。
たれ耳の犬も耳の根元を見ると前後のかたむきや、側頭との開き具合など違いがわかります。
口元
・軽く開ける
満足して穏やかなときは、口が緩んで下の歯が見えます。また「うれしい」「楽しい」など、ポジティブな気分のときは口角があがって笑顔になり、口角の上がり具合と気分の高揚感は比例すると考えられます。
・閉じる
穏やかな状態でも口は閉じますが、意識を集中しているときは、匂いの情報をより多く取り込むために口を閉じます。緊張や警戒時にも口を閉じます。
舌で口元や鼻を舐める:不安を感じたり、緊張をしているときに自分を落ち着かせるための行為です。
・唇をめくる
唇がめくれあがって歯茎まで見える場合は警告の合図。歯茎がより見えるほど警告の度合いは高く、特に前歯と上の犬歯を見せている場合は、それ以上の接触を試みると攻撃される可能性は高まります。
喜んでる?怒ってる?8つの表情が表す感情

リラックス(穏やか)
・目は穏やか
・耳と耳の間(耳幅)が広く、穏やかに立っている
・口元の筋肉はゆるみ、少し開くか閉じている
・全身が脱力している
心の声
「気持ちいい」「楽しい」「のんびりしよう」など

喜び(幸福・愛情)
・目は穏やかに開くか細めている
・耳幅が広く、耳を後ろに引くか穏やかに立っている
・口元は穏やかに開き、口角を後ろに引いている
・全身の力がゆるんでいる
心の声
「大好き」「仲良くして」「幸せ」など

楽しい(興奮・好奇心)
・目がキラキラ光り大きく丸い
・耳幅が狭く、前向きに立っている
・口角をあげている
・飛びつきそうな軽い緊張感
心の声
「楽しい」「遊ぼう」「何それ」

不安
・瞳をキョロキョロ早く動かす。あるいは、まばたきや細めるなどして視線を合わさない
・耳は立ち、前向きか左右対称に
・口は閉じている
心の声
「困った」「どうしよう」「嫌だ」など

怯え
・瞳をゆっくり動かし、まばたきをして視線を合わさない。あるいは、まばたきをせず目を丸くする
・耳を後ろに倒している
・口は閉じている
心の声
「どういうこと?」「どうすればいい?」「もうやめて」「落ち着いて」など

緊張
・視線を左右に動かし、まばたきをして視線を合わさない
・耳は左右対称や外向きなど不規則
・口や鼻を舐める
・顔を背けている
心の声
「早く終わらないかな」

怒り(積極的な威嚇)
・瞳が一瞬かげった後に光り、目は開いている
・耳を前向きに立てている
・上唇を縦に引き上げ、上の犬歯が見えている
・鼻の上にシワをよせている
・前のめりの姿勢でしっぽを立てている
心の声
「それ以上近づいたら痛い目にあわすぞ!」

恐怖(消極的な威嚇)
・目は光り、まぶたが少し下がり三角になっている
・耳を後ろに倒している
・唇を後ろに引き上げ奥歯まで見せている
・鼻の上にシワをよせている
・体を低くししっぽを下げている
心の声
「怖いけど、いざとなったらやるぞ!」「こっちに来るな!」など
※上記のイメージと感情は一般的な事例であり、必ずしもすべての犬に当てはまるケースではありません。
尾の感情表現
犬は表情だけではなく、より動きの目立つ尾や姿勢を利用してすばやく気持ちを伝えます。特に尾は顔の表情や声だけでは伝えきれない気持ちを表す役割をはたします。
尾の位置と動きの一例

※この図は、参考元(執筆者資料)からGREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集し作成しました
犬はヒトの感情を理解する?(実験結果)
犬はヒトの笑顔を理解するかについて
実験①:サンパウロ大学とイギリスのリンカーン大学の研究チーム(2021年)
実験内容:ヒトの表情別で犬が近づくかどうかの割合を調べた。
実験結果:犬が近づかなかったのは「怒った表情」42%、「無表情」35%、「嬉しい表情」7%だった。
実験②:ブエノスアイレス大学の研究チーム(2023年)
実験内容:笑顔だった飼い主が突然無表情になったらどんな行動をとるかを調べた。
実験結果:最初は気を引こうとするが、飼い主の反応がないと少し距離を置いてストレスを感じている行動を示した。
犬は気持ちを察するかについて
実験③:ウィーン獣医科大学(2017年)
実験内容:スピーカーからヒトの声、虫の鳴く音、など数種の音を聞かせて反応を調べた。
実験結果:ヒトの感情を伴った声には注目し、ネガティブな声には凍りついたように動かなく頻度が高かった。
実験④:ベルファスト大学(2022年)
実験内容:犬が人間のストレスの匂いを嗅ぎ分けられるかを調べた。
実験結果:臭気選別のトレーニングを受けた家庭犬たちが、人間の平常時の汗と呼気のサンプル、ストレスを誘発する計算問題を解いた後の汗とサンプルを約94%の精度で嗅ぎ分けた。犬が人間のストレスを嗅ぎ分けられるというだけでなく、表情などの視覚的な情報や声などの聴覚的な情報がなくても、他者がストレスを感じていることを察知できることを示している。
※この項の情報は、海外の犬のライフスタイルやケアに精通しているガニング亜紀さんの執筆記事から編集しました。
《参考URL》
Dogs can infer implicit information from human emotional expressions
https://doi.org/10.1007/s10071-021-01544-x
Still-face effect in domestic dogs: comparing untrained with trained and animal assisted interven-tions dogs.
https://link.springer.com/article/10.3758/s13420-023-00589-x
Investigating emotional contagion in dogs (Canis familiaris) to emotional sounds of humans and con-specifics
https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-017-1092-8
Dogs can discriminate between human baseline and psychological stress condition odours
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0274143
愛犬は飼い主の笑顔が好き
さまざまな研究から愛犬は飼い主の笑顔やうれしい感情を察知できることがわかりました。
もし、愛犬の行動で困ったことがある場合、つい叱ってしまいますが、愛犬が「怒っているから、イヤだな」と思っていても、いつまでも陰に隠れてはいられません。憂鬱な気分に陥っても、あなたの犬はあなたを信用し、あなたを頼りにしているのです。
なかなか言う事を聞かないときも、いま叱っても「時すでに遅し」という時には、いったん深呼吸をして口角をあげ、笑顔を作ってみませんか。怒った顔は、飼い主にも愛犬にもストレスが溜まってしまいます。犬はリラックスして楽しい気持ちでいる飼い主をより長く見つめます。笑顔の明るい声で接した方がしつけも早く覚えてもらえるはずです。愛犬は飼い主の笑顔が大好き、ということを忘れないようにしたいですね。
まとめ
犬は社会的な動物のため、いつでも仲間と穏やかに暮らしたいと考えているようです。大きなトラブルを避けるためや愛情表現にも表情や体全体のポーズ、声からも自分の感情を表現し、相手(犬もヒトも)からも感情を読み取ろうとします。
私たちはテレビなどで悲しい話を見聞きして気持ちが落ち込んだり、他の人の幸せな報告を聞いて心が温かくなったりすることがあります。これは『情動伝染』と呼ばれる脳の活動です。数々の実験結果から犬に情動伝染があり、犬の感情は時にヒトの感情を反映している可能性をも指摘されています。
この記事で案内している内容は一部の例や実験結果に過ぎません。愛犬が表情の意味することを理解していることを意識してコミュニケーションを楽しみ、愛犬のいろんな表現や反応をみつけてみてはいかがでしょう。たとえば今週は「スマイル週間!」と決めて笑顔を量産して愛犬にプレゼントしてあげましょう。顔筋ストレッチだと思えば一石二鳥!もっともっと、人と犬が笑顔で繋がっていくといいですね。