- GREEN DOG & CAT
- ペットフード・ペット用品通販
- 犬との生活・特集一覧
- 犬の特集
- 飼い方・生活
- 犬の生理(ヒート)の期間や体調、気をつけることを獣医師が解説
犬の生理(ヒート)の期間や体調、気をつけることを獣医師が解説
- 飼い方・生活
- 専門家監修
犬の生理は、ヒートと呼ばれるいわゆる発情のことで、人間(ヒト)の月経と同じものではありません。初めてメス犬を迎える飼い主さんで避妊前、もしくは避妊する予定がないのであれば、望まぬ妊娠やトラブルを避けるためヒートに対する知識や心構えが必要です。
犬の生理(ヒート)の仕組み
犬の生理はヒートと呼ばれますが、これは発情という意味です。
犬の発情周期は、発情前期→発情期(発情後期を含む)→発情休止期→無発情期というサイクルを繰り返します。発情前期と発情期がいわゆるヒートにあたります。
・発情前期
外陰部がふくらみ充血し、陰部から濃く粘調性のある出血がみられます。発情前期の長さは個体によりますが、通常6~10日間です。この時期は、まだオスを許容しません。
・発情期
オス犬を許容して交尾をする時期で、陰部も大きくふくらみ柔らかくなります。犬の発情期の長さは通常8~14日間で、他の動物と比較すると長く持続するのが特徴的です。発情出血は、じょじょにピンク色の水様性になり、量も少なくなってきます。出血が見られなくなっても発情期である可能性はあります。
犬のヒート中に見られる出血は、排卵前に子宮内膜の血管が増殖・発達し、血管から血液が染みでることで起こります。
人間の生理との違い
人間の生理は、卵子が受精せず妊娠しなかった後に不要になった子宮内膜が剥がれ落ちて出血が起こります。出血は、人間は排卵後、犬は排卵前(発情のため)に起きます。このように犬と人間の出血のメカニズムは根本的に違います。
犬の生理(ヒート)はいつから始まる?

メス犬の成熟は小型犬種では早く、大型犬種では遅く、ヒートが見られるのは、おおよそ生後6か月~14か月とされています。
品種や飼育環境、個体によっても差はあります。ちなみに犬では一生ヒートがあり、高齢になったからといって終わるということはありません。
ただ、ヒートの間隔が開き、出血量も減り、飼い主が気付かないといったことがあります。
人間のように毎月1回ある?
従来春と秋で年2回の繁殖季節があると言われていましたが、近年では季節は影響をあまり及ぼさないということが分かっています。
一般的にメス犬は、小型犬種では5~7か月の間隔、大型犬種では8~12か月の間隔で年2回ヒートがきます。多頭飼育されている犬では群れの中の1頭が発情すると、他のメス犬も相次いで発情を示し始める、ということがあります。
出血期間は?
出血期間は個体や年齢によって異なりますが、早くて8日前後、長い場合には2~3週間程度です。
発情前期から陰部からの出血がみられ、次第に量が増え、発情期の前半にかけて量が減って色が薄くなってきます。出血が止まってもヒートが終わった、ということではありません。
個体や年齢によって出血の量が少なかったり、舐めとってしまったりしてはっきりと確認できないこともあります。そのような場合には陰部のふくらみも参考にしてください。
1か月を超えて出血が続いている場合には、子宮の病気なども考えられますので、一度動物病院に相談しましょう。
生理(ヒート)中は元気がない?

ヒートが始まると個体にもよりますが、一般的には以下のような変化が現れます。
- 落ち着きがなくなる
- メス犬でもぬいぐるみなどにマウンティングする
- 水をたくさん飲み、しきりに排尿する
- 食欲が低下する
- 元気がなくなる
これらは生理的な現象に伴うものですので、見守ってあげてかまいません。落ち着かない様子が見られたら、リラックス効果のあるマッサージなどをしてあげるのもよいでしょう。
また、まったくごはんを食べないなど、あまりに極端な変化がある場合には動物病院に相談しましょう。
生理(ヒート)中に気をつけてあげたいこと
ヒートは避妊していないメス犬の生理現象ですが、室内での汚れ対策や外出時のマナーなど、なるべくお互いが快適に過ごせるよう、飼い主が気をつけてあげましょう。
室内の汚れ対策
・サニタリーパンツや紙おむつを履かせる
出血量が多くてじゅうたんやソファーを汚してしまう場合には、パンツや紙おむつなどをはかせてあげると良いでしょう。
・床にトイレシートやマット、ソファーにはカバーを敷く
パンツやおむつではお尻がかぶれてしまったり、着けるのを嫌がったりする場合には、犬の行動範囲内にトイレシートやマットなどを敷いてあげると、掃除も簡単にすみます。
また、ソファーなどよく居る場所にも洗えるペットシーツなどを利用して敷いておけば、汚れも最小限に防げるでしょう。
・陰部を拭く
ぬるま湯で濡らした清潔なタオルやコットンで陰部を優しく拭いてあげると、床に落ちる血液を少なくすることができます。
食欲が落ちているとき

食欲がなく心配な場合には、嗜好性を上げる方法を試してみてください。
- 水でドライフードをふやかす
- フードを温める(ドライフードの場合は、少しお水をふりかけて)
- 鶏の煮汁やマグロ・アサリなどの低塩スープを加える
- ふりかけやウェットフードを混ぜる
- 嗜好性の良いウェットフードやセミウェットフード、フリーズドライフード、手づくり食、生食などに切替える
【関連記事】
・【専門家が解説】食べない愛犬にもおすすめのドッグフード人気ランキング6選
お散歩時
お散歩中、オス犬との遭遇には細心の注意を払いましょう。オスはメス犬のヒートに反応して発情するので、興奮したオス犬につきまとわれてトラブルになることもあります。
またヒート中のメスは精神状態もデリケートになりがちですので、けんかになることもあります。
お散歩は無理に連れて行く必要はありませんが、もし行くようであれば、期間中は家の周りを歩く程度にする、他の犬とあまり遭遇しない時間帯を選んで出かける、というような配慮が必要です。
ドッグランやドッグカフェのマナー
施設によっては、ヒート中の入場はお断りなど、決まりごとがあるところが多いようです。公共の場所ですので、さまざまな犬が集まります。
未去勢のオスも当然いますので、愛犬に妊娠をさせてしまうリスクが高まります。また、オス犬につきまとわれて引き離すのに手を焼いたり、犬同士のけんかにハラハラさせられることもあります。
他の犬に近づけないとしても、ヒートの匂いを嗅いだ未去勢のオス犬はもちろん、交尾ができない愛犬も大きなストレスを感じるでしょう。
飼い主と犬たちが楽しく過ごすためには、ヒート中の愛犬を一緒に連れて行っても許される状況だとわかっている場合のみにしておくことが無難です。
シャンプーやトリミング
病気ではないので、身体を清潔に保つためにシャンプーやトリミングをしても問題はありません。ヒート中であっても、受け入れてくれるサロンも多くあります。
ただ、愛犬がデリケートになっていてストレスに感じることがあるので、様子をよく観察し、サロンのスタッフと相談をして決めてください。
こんな時はすぐに動物病院へ
・過剰な出血
・血液以外に匂いのある粘液や膿のようなものが出ている
・食欲不振や無気力な状態が数日間続く
・おしっこやうんちが出にくい様子がある
・吐き気が続いている
・痛みがありそうな様子
異常かどうかは飼い主には判断がつきにくいこともあります。不安ならすぐに電話をいれるなどしてすぐに診てもらった方がいいのかどうか確認しましょう。
ヒートがきたと思っていたら子宮蓄膿症だったということもあります。子宮蓄膿症をはじめ、子宮に関する病気は緊急を要し命に関わることもありますので注意しましょう。
・子宮に関する病気の種類
子宮蓄膿症、子宮水腫、子宮腫瘍、子宮腺癌、子宮内膜炎、子宮粘液症、など。
スタッフ経験談(避妊手術を決めた理由)

先代犬のときは、避妊手術を行うとはじめから決めていました。将来の病気(乳腺腫瘍や子宮蓄膿症)を防ぐためという目的が一番大きかったです。ただ、あまり体が小さいうちに手術するよりは成熟してからの方がいいと考えて、1回目のヒートが終わってから行いました。
はじめてのヒートは生後8カ月頃でした。家族に甘える行動がちょっとこれまでとは違う様子で、家族の手や足をペロペロと執拗に舐めてきたり、体を擦りつけてくるような甘える様子が多くなったのです。そして陰部がとても大きくなっていました。
愛犬は出血のないタイプのヒートでした。ヒート中は甘える時間が増える、陰部が大きくなるくらいで、元気でしたしお乳が腫れることもなくかなり軽い症状だったといえます。そして1回目のヒートが終わってから3か月後に避妊手術を行いました。
次に迎えた愛犬は、さまざまな考え方を改めて調べた上で、愛犬のヒートが軽い症状であれば、避妊手術をしないと決めました。ところが、先代犬とは違い、出血があり、出血が終わってからはお乳が大きく腫れました。腫れていた期間は2ヶ月ほどで長い期間腫れていたという印象です。毎回(年に2回)腫れるのであれば乳腺腫瘍の確率があがることが大きな心配となったので、悩みましたが結果的には将来の心配を減らすために2回目のヒートが来る前に避妊手術を行いました。
まとめ

ヒートがあまりにも愛犬のストレスになっているようであれば、避妊も選択肢のひとつです。同時にホルモンに関わる病気や子宮・卵巣の病気の予防もすることができます。
愛犬がメスであってもオスであっても、他者への気遣いや配慮、公共の場所でのマナーを守って、お互い気持ちよく過ごせるようにしたいですね。