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子犬の正しい遊び方とは?子犬の遊びとすくすく育つことの関係
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子犬時代の大事な遊びが欠けている
日本に多いこわがりな犬?
何があっても動じない大胆で適応力を持つ犬がいる一方で、すぐに怖がる「こわがりな犬」というのもいます。ただしこわがりと一言に言っても、環境に対するこわがり、そして社会的なこわがりがあります。例えば新しい場所に来ると、毎回それを苦痛に思う犬が前者に当たります。環境に対するこわがりな犬は、周囲になかなか適応できず、何か起こるのではないかと常にビクつくのが特徴です。一方社会的こわがりな犬というのは、対人、あるいは対犬に対する恐怖感を抱く性格の犬のことです。この性格は遺伝も大いに関わっています。
こわがりな犬の話をするのは他でもない、私が住むスウェーデンから久しぶりに日本を訪れた時に 、なんとも怖がり屋さんの犬をよく見かけるのだろう!と驚いたからです。 もっとも社会的こわがりな犬というのはスウェーデンでもたまに見かけるものですが、日本の犬の中には、両方のこわがりを兼ね備えた犬が珍しくありませんでした。スウェーデンでの状況との明らかな違いに、改めて「何でだろう?」と少し考えてみました。
ペットショップ文化
もちろん統計を取ったわけではなく、あくまでも私の推論に基づくものであることをご了承くださればと思います。血統犬種の家庭犬に限れば、一つ考えられるのは、犬たちの子犬時代の過ごし方にあるのではないかということです。 ブリーダーから直接子犬を得るのがほぼ当たり前であるスウェーデンの犬文化と異なり、日本では多くの人がペットショップで犬を求めます。この違いが、のちの犬の性格やその行動の違いを生んでいるのではないか、と私は睨んでいます。店で売られる場合、子犬は早くから親犬や兄弟から離されます。のみならず店にやってきたら、大抵一人ぼっちでペットショップのショーケースに入って新しい飼い主の出会いを待ちます。
遊びが子犬の安定した気質を作る
実はこのときに子犬はその成長の中で多くのものを失います。兄弟や母犬と過ごす時間、そしてその中で繰り広げられる「遊び」の機会です。特に社会化期以降(生後3週目以降)における犬同士の遊びというのは、運動神経を作り上げるなど脳の成長そしてその神経回路を作る上で大事な機能を果たします。アメリカの進化生態学の教授でもあり動物行動学研究者、特に動物の遊びについての研究で有名なマーク・ベーコフは、「社会的な遊び、身体的コンタクトを伴う喧嘩遊びは、子犬の脳のあらゆる部位の正常な発達になくてはならないものであり、そのおかげで犬は成犬になった際、たとえ今まで経験したことがない新しいものを見たり聞いたりしても、過剰に反応してストレスに陥ることなく、落ち着いて臨機応変に対処することができるようになる」と「犬の遊びの恩恵」というエッセイで述べています。遊ぶことで 運動神経が鍛えられるのは言うまでもないことですが、精神面でもそれほど幼犬の成長に影響を与えるものなのですね。ペットショップにいる時間は人間の時計の尺度にしてみればほんの僅かな期間かもしれません。が、一生が人間の8分の一ぐらいしかない犬にとってみれば、実はないがしろにできない時間の長さです。その間の脳の発達というのは目覚しいはずでしょうし...。
遊びは成長に欠かせない、5つの大切な役割
子犬の遊びは、単なる気晴らしではありません。身体と心の健全な成長に不可欠な、重要な役割を担っています。
1.社会性を学ぶ:兄弟犬や母犬との遊びを通して、噛む力の加減(甘噛み)や、相手に嫌なことをしたときの反応を学びます。これにより、将来的に他の犬や人間と適切に関わるためのコミュニケーション能力の基礎が築かれます。
2.自己肯定感を育む:遊びの中で「できた!」「楽しい!」という経験を重ねることで、自信がつき、自己肯定感の高い子に育ちます。
3.心と体の協調性を高める:走る、飛び跳ねる、追いかけるといった遊びは、運動能力だけでなく、瞬時に状況を判断する脳の働きを活発にします。これにより、心と体が連動する協調性が養われます。
4.ストレスを軽減する:遊びは、子犬の好奇心や探求心を満たし、新しい環境へのストレスを軽減する効果があります。
5.信頼関係を築く:子犬と飼い主が一緒に遊ぶことで、お互いの絆が深まります。遊びを通して、飼い主の指示を聞くことや、飼い主と協力して行動することの楽しさを学びます。
生涯続けよう、犬との遊び
もちろん乳離れしても、子犬はまだまだ遊び続けます。遊びの中で遊ぶ時の手加減などを覚え、ひいてはそれが自制心の形成を促します。相手の表情を読む読解力、そして自分を理解してもらえるよう正しい言葉使い(犬は振る舞いで言葉使いを駆使するものですが)も、遊びの中で磨いてゆきます。こうして社会的に(少なくとも対犬において)自信が植え付けられ、こわがりにくい犬に成長してゆきます。
というわけで8週目に新しい家庭にやってきても、飼い主は引き続き子犬が遊べるよう、その機会を与えなければいけません(もちろん他の犬に引き合わせて遊ばせる必要はないのですが) 。大事な時期を失っているペットショップから来た犬たちには、なおさら必要なプロセスとも言えるでしょう。パピーパーティなるものが最近は日本でもだいぶ一般的になってきましたが、子犬に楽しい思いをさせてあげるため、というのはもちろんですが、正常な脳の発達や 社会性を促すのが本当の意図です。
そして忘れてならないのは、人も子犬と遊ぶ必要があるということ。いえいえ、子犬時代だけではなく、犬の生涯を通して遊ぶべきです。一緒に遊ぶ中で犬は人とのコミュニケーションの仕方を覚えます。絆も結ばれやすくなります。犬に自信も与えます。どうやって犬と関わったらいいかわからない場合、まず手始めに「遊ぶ」というところから関係を作っていくのはどうでしょう?
知っておきたい!子犬の遊び方と注意点
子犬の遊びは、ただ自由にさせるだけでなく、飼い主が適切にリードしてあげることが大切です。
1. 遊びの時間と回数
子犬はすぐに疲れてしまうので、1回10分程度の短い遊びを1日3〜4回に分けて行いましょう。遊びすぎると興奮しすぎてしまい、かえってストレスになることがあります。遊びの終わりは、飼い主が「おしまい」などと声をかけ、おもちゃを片付けるなどして、遊びの終わりを教えてあげることが大切です。
2. 遊び方と遊び道具の選び方
引っ張りっこ:適度な力で引っ張りっこをすることで、飼い主との信頼関係や、飼い主の指示に従うことの楽しさを教えることができます。ただし、子犬の歯や顎はまだ弱いため、無理に強く引っ張らないようにしましょう。
投げっこ・追いかけっこ:ボールやフリスビーなどを投げて、子犬に取ってこさせる遊びです。適度な運動になり、狩猟本能を満たしてあげることができます。
知育玩具(コングなど):おやつを中に入れるタイプの知育玩具は、子犬が自力で考える力を養い、集中力を高めるのに役立ちます。
3. 噛み癖対策のヒント
子犬は生後数か月頃から歯の生え変わりが始まり、ムズムズして何でも噛みたがります。もし飼い主の手や足を甘噛みしてきたら、すぐに遊びを中断し、無視して離れましょう。このとき「痛い!」と声を出したり、手を引っ込めたりすると、子犬は「面白い遊びだ」と勘違いして、さらに噛む癖が強くなることがあります。代わりに、噛んでいいおもちゃを与え、そちらで遊ぶように促しましょう。
より良い遊びのために。正しい犬の社会化とは?
遊びの重要性を理解し、実践することで、子犬は人間社会で幸せに暮らせるようになります。しかし、最も重要なのは、飼い主が子犬の成長段階を理解し、適切なタイミングで様々な経験をさせてあげることです。
「社会化期」とは、子犬が生後3週齢から16週齢頃(およそ生後3~4ヶ月)までの期間で、新しいことへの好奇心が旺盛で、恐怖心が少ない時期です。この時期に様々な音(車の音、掃除機の音など)、人(子ども、高齢者など)、他の犬に慣れさせてあげることが、将来の社会性を形成する上で非常に重要です。
遊びは、この社会化を成功させるための大切な手段の一つです。子犬と遊び、多くの経験をさせてあげることは、単に楽しい時間を提供するだけでなく、人間社会で自信をもって生きられる犬に育てるための第一歩なのです。







