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しつけのストレスがなくなる?ほめて育てる愛犬のしつけ方
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犬が家にやってきて、まず初めに教えたいことは、トイレやハウス、待てといった日常的にとても大事なルールではないでしょうか。
そこで今回は、愛犬のしつけでいちばん大事な、ほめて育てる方法についてお話したいと思います。
叱ったらいけないの?
何もわからない犬を家に連れ帰ってすることと言えば、床の匂いを嗅いで歩き回ったり、気になるものを口に入れてみたり、その場でトイレをしてみたりと、自由気ままに過ごすことではないでしょうか。人間が歩き回れば気になって追いかけてみたり、じゃれついてみたりと、犬らしいかわいい動きも見せてくれるかと思いますが、いわばお互い異星人同士、何も伝わらない関係から始まります。
そんなとき、トイレを失敗したり、手や足に甘噛みしたり、椅子の脚をかじったりする犬に「ダメ!」と大きな声を出したらどうなるでしょうか。おそらく犬はびっくりして、人間は大きな声を出す怖い生き物だからなるべく近づかないようにしようと学習していくことでしょう。それではなかなか両者の溝はなくなりませんよね。
今までとまったく違う環境に連れてこられた犬にとっては、周りのものはすべて新しく、好奇心をくすぐるものばかりです。そこで、叱ったり怒ったりするシチュエーションとなる要因を犬の周囲からとりのぞき、人間にとってやってほしくない行動をとりづらい環境を作ってあげると、愛犬を叱る場面が自然と減ってくるはずです。
褒めることのメリットとは?
犬にとって「褒められること」は、ただ嬉しいことだけでなく、ヒトと暮らすうえで必要な行動を自然と学ぶ大切なきっかけになります。褒められることで「これをすれば飼い主に喜ばれる」という成功体験が積み重なり、自己肯定感が育まれます。
実際にこのような陽性強化を取り入れたしつけは、犬のストレスを減らし、問題行動の改善にもつながると報告されています。
また、飼い主が一貫してポジティブな態度をとることで、犬との信頼関係がより深まり、呼び戻しやマテなどの緊急時のコマンドも届きやすくなります。
叱らなくてもいい環境と状況づくり
長い犬生のうちで、犬を叱らないでいられることはまずないかと思います。
では、なぜ叱るのでしょう。悪いことをしたから?犬たちはそれが悪いことと理解していますか?
玄関のドアから急に飛び出してはいけない
ヒトに飛びついてはいけない
壁紙をはがしてはいけない
盗み食いをしてはいけない
「いけない」ことをあげたらきりがありませんが、それぞれの場面で犬たちにこんなことをしてあげましたか?
玄関のドアを開ける前に「マテ」を教えてあげましたか?
飛びつかないで「おすわり」ができたことをたくさんほめていますか?
壁紙をはがしたくなるほど退屈させていませんか?
犬の口が届くところに食べ物を置いていませんか?
こんな風に見直してみると、犬が叱られる場面は実はそうそうはないように思えます。
もちろん、どうしても叱らなくてはいけない状況や犬の行動を制限しなければいけない場合もあります。その際は、首輪やリードを通して犬がパニックにならないようにそっと落ち着かせ、「違うよ」とやさしく伝えます。無理に引っ張ったりせず、落ち着いた環境に誘導するなど、物理的なストレス(飼い主が引っ張るなどの制限)を最小限にしましょう。
上手なほめ方を知ろう!
まずは極力叱る場面を減らし、人間との信頼関係の元になる親和性を深めていくことに注力してみましょう。愛犬が飼い主と関わると「うれしい」と感じる場面を作ってあげると、愛犬の学習意欲は高まり、飼い主との関係も濃密になっていきます。そこで誰にでもできるいちばん簡単なことから始めます。
それは少し声のトーンを高くして犬の名前を呼ぶことです。
犬は言葉のトーンを聞き分けます。高い声を聞くとうれしそうにするし、低めの声には緊張します。犬は初めから自分の名前が呼ばれているのだとはわかりませんが、声が聞こえれば、そちらに顔を向けてくるでしょう。そこで「〇〇ちゃん、いい子ね」など優しく声をかけながら、犬にそっと触れたり、フードを1粒与えてみたりします。これを繰り返して、こちらを見るだけで犬にとっていいことがあるということを教えていきます。
褒める言葉といいことが関連付けられることで、犬はほめられるためにはどんなことをすればいいのか考えるようになっていきます。
ただし、犬にとって心地よくなければほめたことにはなりません。しつこくなでたり、急に抱き上げたりすれば、犬はびっくりしてしまうでしょう。犬が自分からヒトについて来たくなるような気持ちにさせてあげることが大切です。
「〇〇ちゃん」という言葉を聞くといいことがある、と犬が理解するようになると、こちらに意識を向ける機会が増え、ヒトの話にも耳を傾けるようになります。名前を呼んで走ってきてくれるようになれば、やってほしくない行動を止めることもできます。
例えば、かじってほしくない物に興味を示し始めたら、「かじっちゃダメ!」と叱るより、「〇〇ちゃん、おいで」と声をかけるだけで、犬の興味は目の前のかじる対象物からヒトに移っていきます。そこで飼い主は犬にとってご褒美となるおやつをあげたり、一緒に遊んであげたりすることで、犬はヒトといる方が楽しいと学んでいき、人間に対する興味を深めていきます。
NGな褒め方に要注意
ただ褒めればいいというわけではありません。褒めるタイミングや方法を間違えると、犬にとっては「何がよかったのか」が伝わらず、混乱してしまうこともあります。たとえば、行動の数秒後に褒めると、犬は別の行動を褒められたと誤認することがあります。
また、犬が緊張していたり、嫌がっているサインを出しているのに過剰に撫でたり抱き上げたりするのも逆効果。「褒められる=嬉しい」と感じるためには、犬が喜ぶ方法で褒めることが大切です。
犬が本当に喜んでいるかを観察しながら、その子に合った褒め方を見つけてあげましょう。
おやつが持つ2つの役割
「食べること」はすべての生き物に共通した生命維持の基本です。目の前においしいものが出されればうれしい気持ちになるのは犬も一緒で、おやつを使うことは教える人間の立場からも、学ぶ犬の立場からも有効なものです。
おやつの香りや動きを利用して、犬に自然に体の動きを誘導する「ルアー」という方法は、初期のしつけには効果的です。ただし、依存しすぎると「おやつがなければできない」状態になることもあるため、徐々にフェードアウトし、言葉の指示やハンドサインへの切り替えを意識しましょう。
例えば犬に「フセ」を教えるとき、立ったままの犬の背中を押したり、両前足をつかんで前に引っ張ったりするのはNGです。押したり引いたりすれば、犬は反対の方向に力をかけて、結果的に「フセ」の姿勢を取ったとしても、行動としての理解には時間がかかります。
けれど、座っている犬や立っている犬の鼻先におやつを見せながら、伏せやすい状態に犬を誘導すると、犬は余計な力をかけることなくフセの姿勢をとることができます。このときのおやつは誘導のルアーの役割です。もちろん上手にできたら「おりこう!」と言って持っていたおやつを犬にあげます。
おやつを持った手の誘導に犬がうまく反応して「フセ」の姿勢がとれるようになってきたら、今度はおやつを持たず、言葉の合図と手の誘導だけで犬が伏せられるように練習していきます。そしておやつがなくても上手にできたら「おりこう!」と言ってポケットからおやつを一つ取り出して犬に渡します。これがもうひとつのおやつの役割「ご褒美」です。
犬の学習レベルが上がって、言葉だけでも「フセ」の意味が理解出来るようになるまで、ご褒美は頻繁にあげます。これによって、犬は「おりこう!」と言うほめ言葉を聞くと、ご褒美がもらえると理解し、行動自体がしっかり刷り込まれていくことになるのです。
ここで気になるのは、おやつは一生手離せないの?ということではないでしょうか。
結論から言うと、そんなことはありません。行動が習慣になってくれば、毎回ご褒美をあげなくても言葉だけで充分伝わるようになります。ただし、時々はサプライズのようにおやつを楽しい遊びに挟むことで、犬のモチベーションを保ち、行動の持続にもつながります。
ただし、しっかり身につくまでは、ランダムにご褒美を与えないと、せっかく身につきかけた行動は消されてしまう可能性があります。犬に何かを教えるには、根気と忍耐が必要ということですね。
まとめ
愛犬と意思の疎通ができるようになるまでは、お互いの努力は欠かせません。きちんと相手が理解できているかどうかを確認する必要があります。家の中ではできるようになったけれど外ではどうだろうか、他の犬がいる前ではできるだろうかなど、さまざまな状況を想定してトレーニングしてみてください。







