2020.02.07一緒に。もっと、

犬が指さしジェスチャーを理解するのは生まれつきか?経験からか?

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黒い犬真顔
皆さんは愛犬に何かを示す時に指さしジェスチャーを使うでしょうか?
犬がお気に入りのボールを探している時に「あっちだよ」とか、トリーツをポロリとこぼした時に「ここに落ちているよ」と自然と指さして示すということもあるでしょう。
また犬と一緒に何かを探すゲームや猟犬の訓練などに、犬を導く方法として決まったルールで指さしジェスチャーを使うという方もいるかと思います。
私たちにとって犬はあまりにも身近で人間の家族と同じように考えている為、指さしジェスチャーが通じることを当然のように受け止めがちですが、種の違う動物同士がジェスチャーでコミュニケーションが取れるというのは実はすごいことなのです。

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犬と指さしジェスチャーの研究

見上げる白い犬
犬は指さしジェスチャーを理解できるのか?他の動物と比べるとどうなのか?など、犬と指さしに関する研究は数多く発表されています。
研究のための実験の中で、犬は人間が何かを指さすジェスチャーを通じて食べ物を得たり人間の指示に応えたりしており、人間のジェスチャーを理解していることが伺えます。またこれらの課題について、犬はチンパンジーよりも良い成績を見せています。
どうやら犬が人間の指さしジェスチャーを理解できることの背景には、犬と人間の長い共存の歴史が影響しているようです。

中でも印象的な研究は2012年にウィーン獣医科大学の研究者が発表した、犬と飼い主との関係性が指さしジェスチャーの読み取りに影響するというものです。
さまざまな犬種の111匹の犬とその飼い主が参加した実験では、研究者が蓋のついた器を2つ前にして、どちらか一方の食べ物が入った方を指さして犬に示しました。
飼い主は犬のすぐ後方で座っており指示は出しませんが、犬が正解すると褒めてやります。同じ状態で飼い主が目隠しをして、犬が正解しても見えないため褒めることができないパターンでは犬のモチベーションが落ちて成功率が低くなりました。
また事前のアンケート調査において飼い主から犬への信頼が強い場合や、飼い主と犬の関係性が近い場合には成功率も高くなったということです。
犬は馴染みのない人間からの指さしジェスチャーを「ここに食べ物がある」という情報として利用することができるが、側に飼い主がいて褒められたり信頼されたりする時には成功率が高くなるというのです。犬という生き物に対して何とも愛おしい気持ちが湧きあがりますね。

野良犬に指さしジェスチャーは通じる?

道路に伏せをしている犬
さまざまな国の多くの科学者によって研究されている犬と指さしジェスチャーですが、それらは普段人間と一緒に暮らしている犬たちを対象にしたものでした。
そのため犬が指さしジェスチャーを理解するのは、生活の中の訓練の結果なのか、本来備わっている先天的な能力なのかが明らかではありませんでした。
それを調査した結果が2019年インド科学教育調査研究所の研究者によって発表されています。
研究者はインドのいくつかの都市でストリートに住む野良犬を対象にして指さし実験を行いました。
1匹で歩いている犬を見つけると、少し離れた場所に2つの蓋つきの器を置きどちらか一方を指さして犬に示すというものです。器にはどちらか一方にだけ食べ物が入っています。
約半数の犬は人間に近寄ることなく立ち去って行ったのですが、近寄って来た残り半数の犬の約8割は指さされた器の方に近づいたそうです。
これは訓練を受けた経験のない犬が、人間の行動を観察してジェスチャーの意味を理解し自分の意思決定に利用していることを示しています。
その犬自身は人間と暮らしたことがなくても、1万年以上の長きに渡る犬の家畜化の過程で、人間と共存する能力の高い個体が選択されて来た結果なのかもしれません。

「でもうちの犬は指さしジェスチャーに応えてくれない」

ドッグベッドに寝る犬
人間と暮らしたことのない野良犬が指さしジェスチャーを理解すると聞くと「うちの犬は何かを指さしても分かってくれないのに!」と思った方もいるかもしれません。
実は私自身もインドの犬の実験結果を読んだ時に「うちのミニピンは指さしに応えてくれないぞ」と苦笑いしてしまい、自分なりに考察をしてみました。
我が家の犬の場合、私が人差し指を一本出して何かを示す時、人差し指ではなくて残りの握った4本の指の方に意識が集中します。
そして握った部分に「お手」をしてみたり、鼻をツンとくっつけてみたりします。
これは私が両手でゲンコツを作って、どちらか片方にトリーツを握り「どっちだ」と差し出した時に「こっち!」と答える時の方法です。
人間と暮らしている家庭犬は、人間が指さし以外にもいろいろなジェスチャーを示すことを経験しています。うちの犬の場合は「どっちだ遊び」の経験をもとに「握った手の中にはトリーツがあって、それを当てなくては!」と考えているようです。
このように指さしジェスチャーに応えない犬は、過去の経験から犬なりに出した答えが人間の求めるものとは違っていたという場合もあるのだろうと思います。

猟犬などのように常に人間が求める反応をしてもらうためには、犬が他の経験と混同しないよう人間がきちんと指示を出す必要があるわけですね。
こうして指さしに応えない犬のことを考えていたら、犬のトレーニングは犬との共通言語の語学学習だということに実感として思い当たった次第です。

おわりに

人間が何かを指さすと犬がそちらに向かう、この一見シンプルな行動を多くの科学者が研究し読み解こうとしていることをご紹介しました。
特別に教えなくても指さしジェスチャーを理解する犬が多くいる一方で、大好きな飼い主に褒められたり見守られたりしていると、ジェスチャー解読の成功率が高くなる。今更ながら、犬とは何と知的で愛すべき生き物だろうと感じ入ります。
次にうちの犬たちにジェスチャーで何かを示す時には、意識して丁寧でわかりやすくしようと思っています。

【関連】なぜ犬に「選ぶ自由」を与えることが大切なのでしょうか?

《参考URL》
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0030913
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3530188/
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2019.02818/full

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ガニング 亜紀(ガニング アキ)

ガニング 亜紀(ガニング アキ)

南カリフォルニアにて、12歳のドーベルマンミックスと11歳のミニピンと暮らしています。2011年から6年間ブログメディアdog actuallyに執筆しておりました。 アメリカのユニークなペットフード事情や、犬の心と体のケアに関する情報の中から日本の犬たちにも役に立つものをお伝えしていきたいと思います。