2022.06.22一緒に。もっと、

北欧スウェーデンの子犬育て②~信頼できるブリーダー探し~

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北欧スウェーデンの子犬育て②~信頼できるブリーダー探し~

[Photo by by Юрий Сидоренко]
文と写真:藤田りか子

本シリーズでは、スウェーデンにおける子犬探し&子犬育て事情について紹介します。全てが日本の状況にマッチするわけではありませんが、子犬をめぐる環境が少しでもよくなるよう、本シリーズがその参考になれば幸いです。

ネットだけの情報に頼らないよう!

前回からの続きです。希望の犬種候補をいくつかリストアップしたら、私はぜひとも皆さんにブリーダーや飼い主の方にあってみることをおすすめします。そして、これは声を大にしていいたいこと。

ネット情報だけに決して頼らないように!
その犬種を取り巻く人々とぜひ話してみてください。生の声に勝るものはなし!実感がより湧くし、その犬種の長所・短所についてもっと微妙なニュアンスで理解することができます。

前回の記事に書いたとおり、私は情報収集の場所としてドッグショーを利用しました。そこで成犬を見て、さらにブリーダーや飼い主と話をした結果、当初すでに飼いたいと決めていた犬種、レオンベルガーにすべきという確信をさらに強めました。ここ、とても大事です!あとで「でも、あっちの犬種の方が自分に合っていたのかなー」などと後悔する必要がなくなりますからね。実は別の候補犬種の一頭を実際に見たときに、少しがっかりしたのですね。目の下瞼が垂れすぎて健全性を感じませんでした。

レオンベルガーに決めた!

犬種を確定したら、次に行うのはブリーダー探し。スウェーデンケネルクラブの傘下にある犬種クラブ「レオンベルガー愛好会」から、子犬が生まれている、あるいは近々子犬が生まれる、という犬舎の一覧リストをもらいました。犬種クラブで犬舎として推薦してもらうには、健全なブリーディング行っていることを証明するさまざまな基準を満たしてなければなりません。なので、買い手としてはリストにある犬舎なら安心して選ぶことができます(遺伝性の疾病を持つ個体は、ヘルスチェックがあっても、一定数いるものですが…)。

ただし最近は、スウェーデンでも犬種クラブに登録せず、勝手にネットの売買サイトなどで宣伝している犬舎が増えてきました。最近流行りのデザイナードッグ(純血犬種の異種同士を掛け合わせ、チワプーなどとニックネームをつけられるクロスブリード犬)が、スウェーデンでも都市部で流行したためもあります。この中には健全性のチェックをしているかどうか、かなり怪しいブリーダーがいるのも事実です。そんなわけで犬種について真面目に下調べをしている人は、子犬の値段に惑わされず犬種クラブに登録されている犬舎から犬を迎えようとするものです。
北欧スウェーデンの子犬育て②~信頼できるブリーダー探し~
スウェーデンでも、売買サイトでデザイナードッグが法外な値段で売られている。写真はプードルミックス。キャバリアキングチャールズスパニエルとプードルのミックス、キャバプーはかなりの人気を誇っている。

いよいよ子犬が生まれ…!

「子犬が生まれましたよ」
ある晴れた5月の朝、犬舎GのMさんから連絡がきました。私がリストから選んだ犬舎です。地理的に近いところにあったし(とはいっても300km離れたところでしたが!)、Mさんのお母さまは、スウェーデンのレオンベルガーの世界ではよく知られたベテランブリーダーでした。そこにも安心感が持てたし、なにしろとても親身で協力的でした。疑問などがあれば、どんどん電話をくださいね、と何度も念を押されました。

そうか、いよいよ子犬が誕生した!我が家に子犬が来るんだと実感したときでした。Mさんとコンタクトをとって3ヶ月目のこと。こんな風に連絡が来るのを待つのも、ブリーダーから得ることの楽しみの一つだと思いませんか?何気なくペットショップに入って、一目惚れ!この子を選びました、という出会いストーリーは日本ではよく美談化されていますが、本当の犬好きコミュニティ内ではあまり誇れた話ではありません。子犬はモノではなく、生き物。念入りに計画立ててから得て欲しいと思います。

どの子を選ぼう…??

北欧スウェーデンの子犬育て②~信頼できるブリーダー探し~

「子犬の様子を見たいでしょ、5週齢になったら、ぜひいらっしゃい」
そうMさんは言ってくれました。スウェーデンではすでに当時(1997年)から、8週目にならないと子犬を譲渡してはならない、と動物保護法で定まっていました(この法律自体は80年代に作られています)。ただし子犬が8週齢になるまでに、一度は幼い頃を見ておきたい、と誰もが思うはずです。だからブリーダーは5週目には外からゲストを招き入れ子犬を見せてくれます。

このときに兄弟姉妹の中から子犬を選ばせてくれることもあれば、犬種によってあるいは買い手によっては、ブリーダーが選ぶこともあります。ドッグショーに興味がある人、ドッグスポーツに興味がある人、あるいは、家庭犬としてだけと言う人、愛犬に対して買い手のさまざまな希望があるわけですが、それに合わせてブリーダーも子犬を振り分けているという感じです。当時の私は単に良き家庭犬が欲しい!という希望だったので、ブリーダーに「レオンベルガー初心者の私に合いそうな、これ、というメスを選んでください」と頼んでおきました。

実際に犬舎を訪れ子犬を見るも、どの子を選んだらいいか実はよくわからないものです。何しろ10頭もの子犬がワラワラ。おまけに、5週齢の頃に見せたキャラクタを必ずしも成犬になってまでキープしているわけではない… これは今となってはブリーディングの経験がある私からも、はっきりと言えます。なんというか、もうくじ引きのようなものですね!ならば、ブリーダーに選んでもらうのが一番なのではないでしょうか。

Mさんはモゾモゾと動く毛玉のような子犬10頭の中から1頭を抱き上げ、
「この子がいいと思うわ」
とすでに決めていてくれました。
「この子があと3週間したらうちにくるのかしら?!」
心が躍りました。
この続きはまた次回に!

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藤田 りか子(ふじた りかこ)

ドッグ・ジャーナリスト。レトリーバー二匹と自然豊かなスウェーデン・ヴェルムランド県の小さな村に在住。スウェーデン農業大学野生動物管理学科にて修士号を得る。犬の繁殖管理や福祉の先進国スウェーデンはじめ北欧の犬情報はもとより、ヨーロッパ各地の純血種の知識に詳しい。著者に『最新世界の犬種図鑑』。 現在ノーズ・ワーク(嗅覚を使うドッグスポーツ)に夢中、コンペティターでもある。