愛犬の肝臓が気になるときのドッグフードの選び方や肝臓病の種類などを徹底解説!

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愛犬の肝臓が気になるときのドッグフードの選び方や肝臓病の種類などを徹底解説!

スタッフコラム15話目

愛犬

パートナー(愛 犬)はこれまでと変わらず元気。
なのに、健康診断で肝臓の数値が高いことがわかり慌てた、という話はよく聞きます。

肝臓はとても働き者。働き過ぎのときは血液検査の数値にあらわれます。

肝臓病には先天的なものから慢性疾患や急性疾患とさまざまありますが、食事内容が体質に合っていないことも原因のひとつ。なにが肝臓の負担になるのかを知って少しでも病気を防ぎたいですね。
今回はパートナーの肝臓の健康維持に役立つ情報をペットフーディストの山本が説明します。

肝臓イラスト

肝臓の役割は化学工場に例えられます。というのも肝臓の働きは、物質の代謝、解毒、貯蔵、合成といった主に4つ働きがありますが、これらは物質を化学的に変化させることを行っています。

代謝

代謝タンパク質、糖質、脂質の代謝(分解や再合成)のほか脂溶性ビタミンや赤血球の元となる栄養素を貯めておき、必要に応じて送り出す働きがあります。
ブドウ糖をグリコーゲンとして貯えたり、アミノ酸からタンパク質(アルブミンなど)を作ったりなど。

解毒

体にとって有害なものを体外に排出するために分解、変化させます。

貯蔵

必要なときに送り出せるように栄養素の貯蔵を行っています。エネルギーが必要な時のために糖を変換したグリコーゲンを、赤血球を作るときに備えて造血ビタミン(葉酸、ビタミンB12)を貯蔵しています。

合成

主に脂肪の消化を助ける働きを持つ胆汁を合成します。

肝臓が悪くなった場合の見え方とは?

図1:健康な肝臓の状態
図1:健康な肝臓の状態 図2:脂肪肝の状態

上の図1のように実際の肝臓はまるで血のかたまりのような赤色をしています(他の臓器ははこれほどの赤色ではありません)。肝臓は食べ物の栄養が運びこまれる血管があるほか、血液に関する仕事を行うために無数の血管が入っているからです。

肝臓が悪くなった場合の一例としては、肥満など過剰なエネルギー摂取が続くと上の図2のように肝臓そのものの様子が変化します。段階としてはまずは脂肪肝(幹細胞の多くが脂肪に置き換わる)ですが、さらに症状が進むと肝臓が委縮して小さくなり機能を果たせなくなります。

イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科には、犬と猫の肝臓病の種類について詳しい記載があります。

急性肝不全

何らかの原因により、突然に肝臓の機能を維持できなくなった状態(正常な肝臓組織が20%以下)。感染症や毒物、薬物の影響の場合もあります。

慢性肝臓病(慢性肝炎、肝硬変、肝繊維症)

慢性的な肝細胞障害や慢性炎症を起こしている肝臓病の総称。病状が進行すると肝不全になります。
慢性的、反復的な毒物、薬物の摂取、感染症も原因になります。遺伝的要因としてベドリントン・テリアでは肝臓に銅が蓄積することが肝炎を引き起こすことがあります。

脂肪肝

肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態。特に肥満の猫で食欲不振など急激に栄養不足が続く場合には注意が必要です。犬の高齢期に比較的多いクッシング症候群でも起きることがあります。

腫瘍

肝臓そのものに悪性腫瘍が出来ること。またリンパ腫、肥満細胞腫、すい臓がんなどの悪性腫瘍からの転移性腫瘍も発生する場合があります。

門脈体循環シャント

腸から肝臓へつながっている静脈にバイパスが出来てしまい、肝臓で代謝されるべき栄養素や毒素が肝臓を経由せずに全身にまわってしまいます。肝臓そのものにも必要な栄養が届かないため機能低下や肝臓の萎縮(肝硬変)が起きます。

愛犬に起きやすい肝炎の例としては、胆嚢や胆管の問題で胆汁がうっ滞しているために肝臓が炎症を起こすこと、拾い食いや酸化したフードを食べ続けた、体にとって過剰な脂質やタンパク質を摂りつづけた、などです。

食べ過ぎ=肝臓が働きすぎることで肝炎(肝細胞を傷つける)を起こすかもしれないことを知っておきましょう。

元気がなく寝そべる愛犬

慢性肝炎、細菌性胆管肝炎、肝臓腫瘍など肝臓疾患の多くの場合に食欲不振がみられます。

門脈体循環シャントという病気(多くは先天性)があります。消化管から肝臓へ流れる静脈から別の血管(シャント)ができ肝臓に栄養が届かない状態です。
肝臓を通らないため解毒されないまま食べ物の栄養が体中を巡ってしまいます。元気・食欲がない、嘔吐、下痢、神経症状などが起きることがあります。

ステロイド肝障害が起きた状態。副腎皮質機能亢進症や皮膚病や免疫疾患などでステロイド(副腎皮質モルモン剤)の投与が負担になった時に起きます。

以上は肝臓に関する病気の一部です。肝臓疾患の多くはかなり重症になってからでないと症状が出てきません。定期的な健康診断が大事です。

肝臓の状態は血液検査で知ることができます。症状がなく健康な毎日を送っているのに数値が異常で驚いたということをよく聞きますね。肝臓に係わる主な項目について説明します。

肝炎等を示す数値

肝臓や胆嚢、胆管の炎症などを疑う項目です。炎症などにより細胞から血液中に流れ出た酵素の量が増えると検査数値があがります。
健康に見えるのに数値が高いというケースの多くがこの項目です。
・ALT(GPT),AST(GOT),LDHなどが上昇:肝細胞の障害を反映する逸脱酵素の増加
・ALP,GGTなどが上昇:胆管うっ滞による酵素の増加

肝臓機能低下を示す数値

肝臓には物質を生成、または解毒する働きがあります。これらの物質が血液中にどれくらいあるかを調べることで肝臓の異常を知ることができます。急性肝炎などのほか門脈大循環シャントでも異常値になります。
・アルブミン、コレステロールなどの低下:肝臓の生成機能低下
・アンモニア、ビリルビンなどの上昇:肝臓の解毒機能の低下

血液検査の肝臓に関する数値が高かったからといって、すぐに肝臓病用療法食を与えなければならないわけではありません。また肝臓の健康状態は血液検査だけでなくエコーやレントゲンを撮り総合的に獣医師が診断を行います。血液検査の数値のみで自己判断することは避けてくださいね。

療法食によっては健康に問題がない愛犬には合わないものもありますのでかならず獣医師の指導の元、与えるべきかどうかを確認してください。

散歩する愛犬

・酸化した食べ物を与えない
⇒フードやおやつの賞味期限の確認、開封後は早めに消費するようにしましょう。
(賞味期限は開封前の期限のことです)
⇒留守番時や散歩中に危険がないか注意しましょう。
(拾い食いが原因で肝臓の数値があがったという話を聞くことがあります)

・運動量に合わせた食事量
⇒肥満であればまずは目標体重を目指して食事量、運動量を調整しましょう。
(太るほど食べることは肝臓に負担が大きい状態です)

・投薬
⇒薬は獣医師の指導のもと、適切な量を守ってください。

・水分摂取を意識する
⇒肝臓を傷つける原因に水分不足も影響します。

・定期的に健康診断を受ける
⇒病気が進行してからでないと症状が出ない場合が多いので注意しましょう。犬に多い歯周病にも注意が必要です。歯周病菌や歯周病菌が作る毒素が血液を巡って肝臓に届き負担をかけます。口内環境のチェックも怠らないようにしましょう。

肝臓が気になるときは、肝臓の負担を減らしつつ、不足しやすい栄養素を補うことが基本です。獣医師から療法食以外の食事でも良いと指導されている場合、愛犬が食べられるものの中か適量を意識して調整していきましょう。

  • 消化される際に生成されるアンモニアは肝臓が解毒します。肉類は愛犬にとって良質なタンパク源ですが、過剰に与えることは避けましょう。どうしても多く与えたい場合は、アンモニア生成率が少ない大豆製品(豆腐や納豆など)や卵と一部置き換えてみましょう。

  • 肝臓に蓄積されやすく、過剰になると肝細胞の障害につながります。遺伝的に銅の代謝に問題がある場合にも制限が必要です。銅が豊富に含まれるのは牛レバーです。

  • 肝臓機能が衰えると不足しやすい栄養素です。BCAAが豊富に含まれるのはまぐろの赤身、かつお、鶏むね肉などです。

  • 肝臓の解毒の仕事には抗酸化栄養素が必要です。肝臓病で不足しやすく、また抗酸化作用の役割もある、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、亜鉛を意識しましょう。
    ・ビタミンAが豊富に含まれるのは、にんじん、かぼちゃなど。
    ・ビタミンB群が豊富に含まれるのは、豚肉。
    ・ビタミンCが豊富に含まれるのは、キウイ、リンゴや柑橘系の果物。
    ・亜鉛が豊富に含まれるのは、牡蠣。
    抗酸化栄養素については新鮮なブロッコリースプラウトをはじめ、色鮮やかな緑黄色野菜も自然の抗酸化栄養素源です。これらを食事に加えることを意識してみてはいかがでしょう。

愛犬の主食となるフードや常用しているおやつの原材料にも気をつけましょう。難しいことですが、できるだけ消化しやすく、無添加である食品が肝臓にとっては理想です。もちろん愛犬の食いつきも観察して、食の楽しみも配慮してあげましょう。

肝臓病でも手作り食を与えることは可能です。たとえば良質なタンパク質(肉類)とビタミン類を意識し、脂質は控えたものが肝臓病の場合は無難なレシピといえます。このように肝臓病の愛犬の状態や好みに合わせて素材やレシピを調整できることが手作り食のメリットです。

ただし、手間がかかることや、適切なレシピになっているか、判断が難しいというデメリットもあります。心配な場合は犬の食事の専門家や手作り食に詳しい獣医師に相談してください。

こちらでは血液検査で肝炎等が疑われ、療法食以外のものでも与えても良い段階の場合のフードやサプリメントをご紹介しています。
※肝臓病の食事療法は、病態やパートナーの体質によって推奨される内容が変わりますので、気になるときは必ず獣医師の診断による指導に従ってくださいね。

肝臓は再生できる臓器。ドッグフードを選ぶ際は、細胞を作るために使われる良質なタンパク源が摂れることが最低条件です。 ただし多すぎない量であること(運動量が少ないパートナーはタンパク質が多めのフードは避けましょう)さらに肝臓や胆嚢に負担がかかりやすい脂肪は控えめがおすすめです。
フードのステージ別ではシニア犬用がおすすめです。総合栄養食であれば商品名が「シニア」であっても成犬から与えられるように作られています。

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良質なタンパク源、低脂肪の条件が揃っているドライフードです。

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主食のドライフードの選択肢が狭い場合、飽きないように食べさせることにも配慮が必要ですね。ウェットフードは比較的嗜好性が高いため、トッピングとして数種類をローテーションすることで主食を飽きずにおいしく食べることをサポートできます。

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主食をしっかり食べられるのであれば、おやつで肉類を補給する必要はありません。むしろタンパク質や脂質の過多を防ぐためには、ボーロやクッキー、ビスケット類がおすすめです。

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肝臓が働くと活性酸素が常に発生します。それが過剰になると細胞を傷つけることに。特に機能が衰えているときには抗酸化栄養素を摂ることが肝臓の健康維持に役立ちます。

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サプリメントに抵抗がある場合は、新鮮なブロッコリースプラウトをはじめ、色鮮やかな緑黄色野菜も自然の抗酸化栄養素源です。 これらを食事に加えることを意識してみてはいかがでしょう。

肝臓をいたわるためには血流維持が大事です。じゅうぶんに運動していればオッケーですが、何らかの事情で運動ができない、シニア期、体冷えやすい状況も。
気になる場合は、体全体のマッサージや、お腹が冷えないように腹巻をしてあげるのもおすすめです。お腹を温めることは体全体の血流維持に役立ちますよ。
温めることと同時に水分補給も忘れないでくださいね。

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「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓。かなり進行するまで症状がわかりづらいので、放っておくと気づかぬうちに重症に発展してしまうことも...。ある程度は再生能力がある臓器ですが、重症化してしまうと回復が難しく命に係わります。
何か心や体に大きなストレスが続いている可能性があるときにも注意してあげてくださいね。

今回ご紹介したのは肝臓病の一部です。
パートナーの症状によっては対処方法が異なることもあります。
まずは定期的な健康診断を受けて早めに気づけるようにしてくださいね。

【参考資料】
・くわしい犬の病気大図典(株式会社誠文堂新光舎)
・小動物の臨床栄養学(日本ヒルズ・コルゲート株式会社内マーク・モーリス研究所日本連絡事務所)
・ペット栄養管理学テキストブック(株式会社アドスリー)

フードやサプリメント選びにお困りの際は、GREEN DOGのごはんの窓口までお気軽にお問合せください。

筆者

愛犬とペットフーディスト

ペットフーディストアドバンス・ホリスティックケア・カウンセラーペット栄養管理士犬の食事療法インストラクター上級師範

山本 由能(やまもと ゆの)

現在の愛犬との生活がきっかけで犬の食事や心のケアについて勉強を始めたことがご縁となりGREEN DOGへ。
自身も飼い主のひとりとして愛犬との生活を楽しみ介護も経験。
日々の業務では主に犬の栄養学や健康維持に関する情報を発信しています。

GREEN DOGへようこそ はじめての方へ伝えたい、わたしたちのこだわり。

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