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シニア・老犬のマッサージ~関節ケア編
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パートナー(愛犬)もいつの間にか被毛に白髪がまじってきます。愛しい老犬にQOL(生活の質)の高い毎日を過ごしてもらいたいものですね。硬くなりがちな関節のケアにも役立つマッサージをはじめてみませんか。マッサージ前の準備から、実際の手順も含めて紹介します。
関節・筋肉の健康維持の重要性

あまり運動ができない状態や寝ている時間が長いシニアは特に、関節や筋肉が硬くなりやすいです。特に関節が硬くなるのは、中に体液(普通なら潤滑油の役目をしてくれるもの)が滞っている状態です。関節をあまり動かさなくなると周りの筋肉も硬くなってきます。
また、血行が悪いことで、犬でも肢が冷たく冷えていることがあります(肢先だけでなく、肢の長さの真ん中くらいから先が冷たく感じるなど)。体が冷えているかどうかの目安にもなるので、日ごろから触って体温を感じてみましょう。関節のケアでは冷えを防いで、できるだけ関節が動く状態維持することが大事です。ただし、すでに痛みが生じている場合は、無理に動かそうとせず、関節よりも肢先を温めたりほぐしたりすることで血行維持ができるようにしましょう。肢の冷えを改善することは、関節にきちんと栄養を届けることにも役立ちます。
関節や筋肉が固まったまま、散歩に行くのは動かしづらくて負担がかかります。転倒や炎症など、新たな問題を生じる心配もあります。そこで効果的なのがマッサージ。特に寒い時期はいきなり外に出るのではなく、肢が温まるようにマッサージをすることをおすすめします。手早くするには肢をさするだけでもOKです。肢を上から下までさすったり、軽く押したりします。時間があればレンジで温めるカイロ等(熱いお湯をかけたタオルを絞ってビニール袋に入れたものでもいいです)を使って温めてからマッサージをするとさらに効果的です。
それから室温の低い玄関前あたりで少し歩かせてから外に出ると段階を踏んで冷たい気温に慣らすことができ、マッサージでウォームアップしていることと合わせて、多少楽に歩くことが期待できます。お散歩を嫌がる、途中で歩かなくなる愛犬に、お散歩前のマッサージをして関節の動きのサポートになります(病気や動かさない方が良い炎症がある場合は、獣医師の指示に従ってください)。
老犬では固まった関節を動かすのが辛くて、お散歩を嫌がっているケースも意外とあると聞きます。少しのマッサージでお散歩が楽になるといいですね。
老犬のためのマッサージの効果

マッサージは、病気を治すものではありません。予防的、補完的なものです。老犬の関節炎などを治すものではなく、関節炎などにならないように予防するもの。関節を固めないように、健康に歩ける日が長くなるように行うケアです。
マッサージをすることにより血行不良をなくし、全身に栄養が行き渡ることを助けます。また血行がよくなれば、不必要な老廃物も排出されるので、むくみなどの軽減も期待できます。
リラクゼーション効果も期待できますが、注目すべきは、愛犬だけでなく飼い主さん自身にもリラクゼーション効果があることがわかっています。犬を撫でたり、触ったりすると、お互いに愛情ホルモン、絆ホルモンと呼ばれるオキシトシンという脳内物質が犬とヒトの両方にでることが科学的に証明されています。オキシトシンによって犬もヒトも、安心感、幸福感に包まれ、穏やかな気持ちになります。また免疫細胞が活性化することもわかっており、その結果、免疫力の向上、自然治癒力のアップが期待できるともいわれています。
また毎日、全身を撫でることにより、身体の小さな変化、異常を発見できます。一緒にいる飼い主さんにしか発見できない小さなしこり(腫瘤)やイボなど、わずかな変化が、ガンなどの大きな病気につながることもありますから、病気の早期発見ができる意味は大きいといえます。
マッサージをする前の準備
- 爪は短めに切り、指輪などもはずします
- 手を洗います
- 冷たい手は温めます
- 犬がリラックスできる環境を用意します
- 静電気が起きないように手を保湿します
犬は嗅覚が発達しています。気になる手のニオイや汚れを取る配慮が必要。またマッサージ前には、手をこすり合わせて摩擦で手を温めることもできます。多頭飼育の場合は、できれば落ち着いて1頭ずつじっくり向きあってマッサージする時間があれば理想的です。
マッサージをしてはいけない場合
- 愛犬が怪我をしているとき、体調がすぐれないとき
- 飼い主さんの気分が乗らないとき
- 愛犬の食事の前後1時間
- マッサージは力を入れない
マッサージは、筋肉を包んでいる筋膜をゆるめるという目的なので、やさしく表面のみを柔らかくするように行います。一見、これで効果があるのかしら、と思うかもしれませんが、まずは表面をほぐすことで中にある筋肉自体の動きもスムーズになるのです。
プチマッサージのテクニック
お散歩前後の肢のケア以外にもいつでも手軽に取り入れてほしいマッサージのご紹介です。
行うタイミングとしては愛犬がリラックスできる状態です。緊張した筋肉にマッサージをしてもあまり意味がありません。犬があくびをしたり床をカリカリするなどの『今はマッサージしてほしいときではない』カーミングシグナル(ボディランゲージ)が出ているときは無理をせず、リラックスできるタイミングで行いましょう。
ここでは、老犬に負担の少ないプチマッサージの手順をご紹介します。
マッサージの力加減

ほんの少しの力で行う。
指でスポンジを押したときに数ミリ沈む程度。
撫でる/円を描く/揺する(触り方・手の形は同じ)

手のひらで「の」の字をなぞるように円を描いたり、手を置いたまま揺する。
背中や太もも、肩(肩甲骨)、おなかなどの広い範囲を場所は手のひらで優しく撫でます。
または、背骨からお尻にかけて、手をおいたまま、軽く揺すります。
押す

指先を使ってごく軽い力で目の周りの骨の上を押す。
揉む

3本の指先(親指+人差し指と中指)でつまむ程度に揉みます。
耳のつけねのあたりや背骨。背骨に沿って下に移動するように行います。
つまむ

背中や四肢の皮を小さくつまんで刺激する。
さする

2本の指で、スーッと肢の上から下へさする。
掻き撫でる

指をくしのように立ててなでる。
マッサージはできれば毎日やると効果的です。全身では10〜15分くらいかかりますが、散歩前には、肢や背中だけを5分程度なら無理なく続けられそうですね。ただし、犬の食前食後1時間は、マッサージをするのは避けましょう。
まとめ
すでに関節炎などの炎症が起きている場合は、マッサージをすることによって悪化することがあります。まず獣医師に診てもらって、マッサージをしてもよいものか、どういう刺激なら効果的なのか、などを確認してからにしましょう。
愛犬へのマッサージは、自分でできるケアであるということ。シニア期の愛犬を大切にしている実感が味わえ、自分で何かしてあげられることはご自身の満肢感も大きいものです。そのおかげで、いつか来るお別れのときにペットロスが軽減されるともいわれています。シニア犬と過ごす日々には、老犬ならではの愛しさが詰まっていますよね。1日でも長く健康で、一緒に散歩できるように、毎日5分~10分あるいは少しの時間でもマッサージタイムを設けて、愛犬とのコミュニケーションを深める時間をつくってみてくださいね。
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