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老犬の食事介助の手順とコツ |寝たきりの愛犬のためにできること
- フードの与え方
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私たちよりもはるかに速いスピードで歳を重ねていく愛犬。生活環境や食習慣の改善、獣医療の進歩などで、昔よりずっと長生きする犬が増えています。
寝たきりの老犬のための食事介助の方法やコツについて解説します。老犬の食事介助に際に便利なグッズも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
寝たきりの愛犬には食べられる食事の工夫を
噛む力、飲み込む力が弱くなり、消化能力も落ちてくる寝たきりの老犬。特に身体を支える大切な食事には、年齢を重ねた愛犬に合わせた食事内容で工夫をしましょう。
まず愛犬に最適な食事内容はなにか(固形物か流動食か)を確認しましょう。必ず獣医師の先生と相談し選択してください。
固形物を食べる愛犬の場合
・愛犬が飲みこみやすい形状や食べやすい柔らかさに工夫しましょう。ドライフードは、ぬるま湯でふやかしたり、細かく砕いたりして小さなお団子状に丸めてもOK。熱湯を使うとドッグフードの栄養素を壊す場合があります。人肌程度のぬるま湯が最適。レトルトフードや缶詰タイプなら、よくほぐして一口サイズに。
・手作りの食事なら愛犬の好きなものを取り入れながら工夫もできますね。加熱に強い野菜やお肉を柔らかく煮込んだスープをミキサーでさらに食べやすい大きさに調整して与えてみてもいいでしょう。そのままあげられるレトルト製品も市販されています。上手に活用してみましょう。
流動食を食べる愛犬の場合
・前述の同じ方法で柔らかくした食材をさらにミキサーにかけます。ぬるま湯を足しながら、できるだけ食材のつぶつぶがなくなる程度まで滑らかなペースト状にしましょう(つぶが残っているとシリンジの先に詰まってしまいます)。人間の赤ちゃんの離乳食を作るミキサーやミルサー(茶葉を粉末にするミキサー)を使うと手早くペースト状にすることができます。
・流動食の水分が多すぎると量が増えてしまい、食事をする愛犬に負担がかかることも。反対に水分が少ないとうまく与えられません。愛犬が飲み込む様子をよく見ながら、最適な水分量で調節しましょう。
・流動食はシリンジ(針のない注射器)やハチミツの空容器などに入れて与えます。
犬にとっては本来、自分で食べることが自然なこと。そのため、介助していると、さまざまな理由で食べないときもでてくるかもしれませんね。そんなときも、私たちがあきらめずに少しでも食べる工夫をし続けることが大切です。
食事介助の基本のポイント3つ
老犬のための食事介助で最も注意することは、誤って食物などが気管に入ったり喉に詰まったりすること。喉に詰まると窒息の危険があります。また吐き出す力が弱い老犬の気管に食物が入ると誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)になることも。命にかかわることもありますから注意が必要です。
介助の基本と手順を正しく理解して、不安な場合は獣医師や専門家の指導を受けましょう。
ポイント1 頭の位置を高くしましょう
食べ物を飲み込みやすくするために、頭の位置を少し高めにしてあげます。首や体の負担を減らすことができ、喉に詰まらせずに上手に飲み込む助けに。
フセができる愛犬は、写真のように膝の上でフセをさせて身体を支えながら介助しましょう。
横になったままの愛犬は、クッションなどで上半身を少し起こし、頭の位置を身体よりも高くしてあげましょう。顎を持ち上げて食事をすると気管に入りやすく危険です。また寝たまま食事をさせると喉に詰まる原因になります。
ポイント2 消化が良く柔らかい食事を与えましょう
消化能力や噛む力が低下している老犬。寝たきりの愛犬の食事は、まず獣医師の指導を受けて食事内容を決めましょう。その上で食事の硬さ、種類、調理方法を選択します。食事の工夫にあるように、飲み込みやすく柔らかくする工夫をして与えましょう。
ポイント3 水分補給をしましょう
飲み込んだものを確実に胃に流すために、食事中には水分も与えてあげましょう。また、老犬は喉の渇きに鈍感になります。自力で水を飲みに行けない寝たきりの老犬に限らず、老犬には一日に必要な水分を積極的に与えましょう。必要な水分量には個体差があるため、獣医師に相談してみましょう。水分は水だけでなく、ヤギミルクやスープ、吸収率の高いハイポトニック飲料などでも摂取できますよ。
それでは、実際の手順をみていきましょう。
食事介助の手順とコツ
1. まずは愛犬の上半身を起こし頭が高い姿勢にします。上体を起こすときに首だけが上を向くなど無理な体勢にならないように注意してあげてください。
2. 少し動くだけで疲れてしまう愛犬もいます。少しずつ体勢を整えて、落ち着くまで待ってあげましょう。
3. やさしく声をかけたり撫でたりして愛犬が落ち着いたら、食事で被毛が汚れないようにカバーします。タオル、ペットシーツ、赤ちゃん用の食事エプロンなどを使います。
4. まずは犬の鼻先にフードを持っていきます。食事の香りをかがせてあげましょう。
5. その後口元にあてて「ここに食べ物があるよ」と教えてあげましょう。突然口に入れると驚くこともあるので気をつけましょう。
6. 愛犬に合わせた大きさで一口ずつ口に入れます。固形食は介護用スプーンで口の奥の方の舌の上に。流動食はシリンジの先をやさしく犬歯の後ろ側から口先の方に向けて差し入れます。ひと口分の量をゆっくり注ぎます。このとき顎を上に向けてはいけません。(誤嚥の原因になります)
7. 口に含んだら、喉をやさしくさすります。ゴクンときちんと飲み込めたかどうかの確認をします。うまく飲み込めていないこともあるので、食べ物→水→食べ物→水の順で与えます。シリンジなどで水を飲ませながら与えるのがポイントです。
8. 手順5~7を繰り返しながら、短い時間で効率よく与えます。
9. 食べ終わったら、口の中をガーゼなどできれいにしましょう。
10. すぐに横に戻すと食べたものが出てきてしまうことがあるので、*20分~30分ほど姿勢を維持して、嘔吐やむせる様子がないかを見ます。
*愛犬の状態によります。よく観察し、疲れてぐったりした様子があるなどの場合は、無理をせず横に戻してあげましょう。
シリンジなどの道具は犬専用のものがあり、通販サイトでも取り扱っています。獣医師に使い方のアドバイスをもらい正しく安全に使用しましょう。
食事を与えた後は様子を観察しましょう
寝たきりの愛犬は、身体を起こしているだけで疲れてしまうことも。食事後に様子をよく観察することも大切です。
食事の後すぐに嘔吐してしまう場合は、食事をうまく飲み込めていないかもしれません。むせたり、咳をしたり、ぐったりと疲れたりしていないか、普段と変わらない様子かもしっかり確認しましょう。様子がおかしいときにはすぐに動物病院を受診しましょう。
一度にたくさん食べられなくなる老犬。食事を食べ終えてすぐにまた食べたがる場合もあります。1日の食事量を複数回に分け食事回数を増やしてあげれば、愛犬の気持ちを満たしてあげることができますね。
食事介助に役立つグッズ (ペットフーディスト推薦)
GREEN DOG & CATの愛犬の介護経験が豊富なペットフーディストが使ってよかったグッズをご紹介します。
・口あたりのやさしいスプーン
「ソフトスプーンが便利でした。
口のなかに入れるとき歯に当たっても平気で、こたろうも食べやすそうでしたよ。」
食事介助のときの動画をご覧ください。
・高さ調整にも使えるベッド
食べさせる際にはちょうどいい高さに愛犬の頭がくるように保定してあげたいものです。
そんな時にスタッフが見つけたのがベビー用の授乳ベッド。
「柔らかいベッドで寝かせてあげたかったけど、体は骨ばってきて体重も軽くなったせいかベッドの上で体が安定しにくくなったんです。その代わりに見つけたのが授乳クッションなんですよ。これは使い勝手が良かったです。」
写真のようにC型のクッションはさらに体を固定しやすいようです。
シニア期でもさらに年齢を重ねたハイシニア期の特徴としては痩せてくること。骨ばってきた体に硬すぎるベッドは向いていません。逆に柔らかすぎると立ち上がりや寝返りができなくて困ってしまうことも。そのため一般的には高反発ベッドがおすすめです。寝る時にはもちろんですが、とても軽量なので、ケアの際にこちらのベッドと一緒に膝の上に乗せると愛犬も介助を行う飼い主も姿勢が安定しやすくなります。
反対に低反発ベッドが役立つケースは、寝たままの姿勢でもよく動き回るタイプです。体を沈み込ませて一時的に動きにくくした方がケアの際には都合が良い場合があります。愛犬の状態によって選んでみてください。
さいごに~愛犬介護で一番大切なこと
いつも元気に走り回っていた大切な愛犬が年齢を重ね、やがて寝たきりになったら、初めは戸惑うことが多いもの。介護が必要となると私たち飼い主の心にも身体にも大きな負担が出てくるかもしれませんね。
食事の介助は毎日のこと。お世話をする人の根気がいりますし、時間もかかります。ときには諦めてしまいたくなることもあるかもしれませんね。
けれど愛犬の介護で大事なことは、一人で抱え込まないことです。助けが必要なときは、まず頼れる人やサービスを探してみましょう。わからないことや、困ったことは積極的に獣医師や専門家に相談してみてください。不安なあなたを助けてくれるところがきっとあります。
私たち飼い主が穏やかな気持ちで食事を用意する様子は、一緒にいる愛犬にもきっと伝わっています。昔よりも反応が鈍っていても、あなたの手から食べさせてもらう食事に食べる喜びをきっともう一度感じてくれているはずです。