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犬の長生きの秘訣とは?健康維持と仲間との絆
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愛犬が長生きするために大切なことや今からできる対策をご紹介します。また、世界の多くの科学者が犬の長生きに必要な要素を調査・検証した結果、「仲間とのつながり」が関係していることがわかりました。
もちろん医療や食事は大切な要素ではあるのですが、人間と同じように社会的な生き物である犬にとって健康のために欠かせない大切な要素です。
※この記事はオウンドメディア「犬のココカラ」に掲載されたガニング亜紀さんの原稿を元に、GREEN DOG & CAT ライフナビ編集部が編集してお届けしています。
ライフスタイルや環境が犬の老化や健康に与える影響を研究
犬のエイジングは多くの科学者が取り組んでいる研究課題ですが、中でも大規模なのはアメリカの30以上の研究機関が参加しているドッグ・エイジング・プロジェクトです。このプロジェクトは一般の家庭犬の飼い主から協力を得てデータを収集し、犬のライフスタイル、環境、遺伝などが老化や健康にどのように影響するかを研究するものです。現在プロジェクトに登録している犬の数は4万頭を超えています。
同プロジェクトに参加している研究機関のひとつであるアリゾナ州立大学生命科学部の研究チームは、プロジェクトに協力している家庭犬の飼い主さんたちに、愛犬が暮らしている社会環境が健康にどのように影響するのかを知るためのアンケート調査を依頼しました。
アンケートの質問には、家庭の家族構成(人間と動物の両方)、世帯収入、居住地(市街、郊外、農村部など)、住居(一軒家、集合住宅、庭の有無など)などの社会環境についての項目と、犬の運動(種類、強度、回数など)や健康(診断された病気の有無、可動性、飼い主による観察など)に関する項目が含まれていました。運動と健康については、回答に基づいてスコアが割り出されました。
最終的に21,410頭の犬のデータが集められ、どんな社会的な要因が犬の健康スコアや運動スコアに関連しているかが分析されました。
健康スコアの高さに関連していた社会的な要因とは?
健康スコアと運動スコアの両方に最も大きな影響があった社会的な要因、それはコンパニオンシップつまり「仲間とのつながり」でした。
他の動物と一緒に暮らしている犬は、運動スコアも高く、良い健康状態を保っている割合が高かったそうです。同居している動物は犬同士が最も多かったのですが、猫など他の動物でも同じ傾向でした。
他の要因では、飼い主の年齢が高い方が犬の健康スコアと運動スコアが高いという、少し意外な結果も見られました。年齢の高い飼い主は時間的な余裕がある可能性が高く、社会的な刺激となる犬との外出や一緒に過ごす時間が長いことが考えられます。これも犬にとってはコンパニオンシップにつながるのかもしれません。
また飼い主の年齢が高いと経済的にも余裕がある場合が多くなりますが、世帯収入などの経済的要因も犬の健康スコアと関連していました。経済的に余裕がある世帯では、犬の健康と運動のスコアが高かったということです。
時間や経済的な余裕が犬の健康に関連しているというのは現実的とも言える結果です。しかし仲間とのつながりという要因は経済的要因の約5倍の影響を与えていたそうです。犬にとって仲間やコンパニオンがいかに重要であるかは注目に値すると言えます。
家庭の中に犬の仲間がいなくても、私たち自身が愛犬のコンパニオン
犬は社会的な動物なので、仲間の存在が健康と密接に結びついていることはなるほどと思わせられますが、研究者は決して犬をもう1頭迎えることや頻繁にドッグランに連れて行くことを勧めているわけではありません。
犬によっては家庭の中で一頭だけで愛されることを好む場合もありますし、ドッグランなどで見知らぬ犬と出会うことがストレスになる場合もあります。犬という生き物の全体的な傾向を知っておくことは大切ですが、それぞれの犬が、何が好きで何が苦手なのかに注意を払って見極めるのは愛犬のコンパニオンとしての飼い主さんの役割であるとも言えます。
犬が乗り気でないのに他の犬に挨拶させようとしたり、ドッグランに連れて行っていきなりオフリードにすることは、犬によっては信頼関係を崩すことにもなりかねません。
多頭飼育はできないけれど、愛犬には心を許して楽しく遊べる犬仲間がいるという場合は素晴らしいことです。仲の良い犬同士の時間を積極的にとることは犬の心身の健康に良い影響を及ぼします。また犬仲間がいない場合には人間の家族が刺激や楽しみを共有できる愛犬のコンパニオンやパートナーになれば良いのです。
犬が退屈や孤独を感じることなく、仲間との良い関係を持っていることが体の健康や長生きにもつながるというのは当たり前の結論に思えますが、2万頭以上の犬のデータという裏打ちがあるのは心強いことです。
今日からできる!愛犬の長寿をサポートする具体的なケア
ここからは、愛犬がより健康で長く幸せに過ごせるよう、今日から実践できる具体的なケアについて解説します。科学的な知見も踏まえつつ、日々の生活に取り入れやすいポイントをご紹介します。
1. 質の高い食事で内側から健康に
愛犬の健康の基本は食事です。年齢や活動量、体質に合った高品質なドッグフードを選ぶことが重要です。
総合栄養食を選ぶ
必要な栄養素がバランス良く含まれている総合栄養食を主食にしましょう。
年齢に合わせたフード
子犬用、成犬用、高齢犬用など、ライフステージに合わせたフードを選ぶことで、必要な栄養素を効率的に摂取できます。特に高齢犬は消化機能が衰えたり、関節のケアが必要になったりするため、専用のフードが推奨されます。
適正量を与える
肥満は万病の元です。フードのパッケージに記載されている給与量を参考に、愛犬の運動量や体型に合わせて調整しましょう。おやつは与えすぎないよう注意が必要です。
新鮮な水
いつでも新鮮な水が飲めるよう、水飲み場を複数用意したり、こまめに水を替えたりしましょう。
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2. 適度な運動で心身を活性化
運動は、愛犬の身体的な健康だけでなく、精神的な健康にも大きく貢献します。
年齢や犬種に合わせた運動量
若い犬や活発な犬種には充分な運動量を、高齢犬や小型犬には負担の少ない散歩や室内での遊びを取り入れるなど、個体に合わせて調整しましょう。
散歩の重要性
散歩は単なる排泄のためだけでなく、外の世界との触れ合いや、匂いを嗅ぐことで脳を刺激する重要な時間です。毎日決まった時間に、愛犬が楽しめるコースを散歩させてあげましょう。
遊びを取り入れる
ボール遊びや引っ張りっこなど、愛犬が喜ぶ遊びを通して、運動能力の維持とストレス解消を図りましょう。
3. 良好なコミュニケーションと「仲間とのつながり」
ここまでに触れている通り、コンパニオンシップ(仲間とのつながり)は愛犬の健康と長寿に深く関わります。これは必ずしも多頭飼いを意味しません。
人間との絆を深める
飼い主との触れ合いやコミュニケーションは、愛犬にとって最高の「仲間とのつながり」です。一緒に遊ぶ、話しかける、ブラッシングをするなど、積極的にスキンシップを取りましょう。
適度な社会化
他の犬や人との適切な交流は、ストレス耐性を高め、社会性を育みます。ただし、無理強いはせず、愛犬のペースと性格に合わせて行いましょう。お散歩中に、愛犬が怖がらずに他の犬の存在を認識できる距離を保つだけでも充分な社会化になります。
退屈させない工夫
留守番が多い場合でも、知育おもちゃを与えたり、短い時間でも良いので留守番前後に充分な遊びや散歩の時間を確保したりするなど、退屈や孤独を感じさせない工夫が必要です。
4. 定期的な健康チェックと早期発見・早期治療
病気の早期発見と早期治療は、愛犬の寿命を延ばす上で不可欠です。
かかりつけ医を持つ
信頼できる動物病院を見つけ、定期的に健康診断を受けましょう。
年1回の健康診断
病気の早期発見のためにも、少なくとも年に一度は健康診断を受けさせましょう。高齢犬の場合は、半年に一度など頻度を増やすことも検討してください。
ワクチン接種と寄生虫予防
感染症から愛犬を守るため、獣医師と相談の上、適切なワクチン接種とノミ・ダニ・フィラリアの予防を徹底しましょう。
日々の観察
普段から愛犬の様子をよく観察し、食欲不振、元気がない、咳、嘔吐、下痢、歩き方の変化など、少しでも異変を感じたらすぐに獣医師に相談しましょう。
5. ストレス軽減と安心できる環境作り
ストレスは、犬の健康に悪影響を及ぼします。愛犬が安心して過ごせる環境を整えることが大切です。
静かで安全な場所の提供
愛犬がいつでも安心して休める場所(ケージやベッド)を用意してあげましょう。
急激な環境変化を避ける
引越しや家族構成の変化など、愛犬にとって大きな環境変化がある場合は、時間をかけて慣れさせてあげましょう。
騒音対策
雷や花火など、大きな音に敏感な犬には、静かな場所を用意したり、防音対策をしたりすることも有効です。
日常のルーティン
規則正しい生活リズムは、犬に安心感を与えます。食事の時間や散歩の時間などをできるだけ一定に保つようにしましょう。
まとめ:愛犬の個性と向き合い、最適な長寿ケアを
さまざまな側面から犬のエイジングや健康を研究するドッグ・エイジング・プロジェクトの新しい調査結果から、犬の健康に(そしてその延長として長生きにも)最も強く関連している社会的な要因はコンパニオンシップ「仲間とのつながり」であるという報告をご紹介しました。
愛犬に対する思いは、家族、パートナー、親友など人によってさまざまですが、そのつながりが犬の心と体の健康を作っていると考えると、犬と良い関係を築こうという気持ちがよりいっそう強くなりそうです。
【参考記事】
・Dog Aging Project
・Social determinants of health and disease in companion dogs: a cohort study from the Dog Aging Project







