犬は我慢強い生き物。パートナーを守れるのはオーナー様だけ!
犬は人よりも早いスピードで歳をとっていくため、パートナー(愛犬)の1年は人の4〜6年に値すると考えられています。体調の変化や病気の早期発見のためには、人以上にこまめに健康状態を把握する必要があります。犬はよほどキツイ状態にならない限り、痛みや辛さを表面に出さない、とても我慢強い生き物です。症状が表れてから治療やケアを開始しても、すでに手遅れになるケースもあります。
特にシニア期になると、若い犬よりも身体の不調は多くなり、その不調によるダメージも当然大きくなります。ちょっとした異変や病気に早く気がつけば、治療もしくは症状を緩和できる可能性が高くなります。定期的に健康チェックを行い、我慢強い彼らを病気から守ってあげましょう。
健康チェックポイント
健康チェックには、大きく分けて次の3種類があります。
どれもとても重要で、病気の早期発見には欠かせないものです。それぞれの内容に合わせた頻度で行ってください。
(1)獣医師による本格的な健康診断
獣医師はパートナーの身体を診る"プロ"です。獣医師による健康チェックは病気の早期発見にとても有効で、特に検査機器を使った本格的な健康診断は、見つかりにくい病気からパートナーを守るために必要です。例えば腎臓や泌尿器系の病気は、本当に悪くならないと血液検査には表れません。ですから、定期的な尿検査が重要になってきます。心臓の病気はエコーや心電図など複数の検査で総合的に診断することによって、早期発見ができます。
病気は初期段階から治療することによって進行を遅らせたり、辛い症状を緩和したりすることが可能になります。本格的な健康診断を受診するパートナーは少しずつ増えてきていますが、まだまだ少ないのが現状です。大切なパートナーを守るため、ぜひ定期的に受診することをおすすめします。
主な検査項目と、検査でわかること
病院によってさまざまですが、次の項目が一般的です。それぞれの検査でわかる病気のサインを知っておきましょう。
| 検査項目 |
主にわかること・目的 |
| 血液検査 |
肝臓や腎臓の数値、血糖値、貧血の有無、炎症反応などを調べます。 |
| 尿検査 |
腎臓や泌尿器系の病気(尿石症など)、糖尿病の早期発見に重要です。 |
| 便検査 |
寄生虫の有無、腸内細菌のバランス、消化管からの出血(血便)を調べます。 |
| レントゲン検査 |
胸部(心臓や肺の形)や腹部(臓器の大きさ)、骨・関節の異常を確認します。 |
| 超音波(エコー)検査 |
臓器の内部構造や動きを詳しく見ます。心臓の弁の動きや、お腹の中の腫瘍発見に有効です。 |
必要があれば、さらに専門的な検査を組み合わせていきます。
- ・心電図検査・血圧測定 (心臓病のリスクが高まるシニア期には特に重要です)
- ・甲状腺ホルモン検査 (シニア犬に多いホルモンの病気を調べます)
受診時期と頻度
- ・5歳以上(成犬期~シニア入り口): 1年に1回
- ・10歳以上(高齢期): 1年に2回以上(半年に1回)
おすすめのタイミング
年に1回のフィラリアの血液検査(春先)と一緒に健康診断を行うのがおすすめです。一度の採血で済むためパートナーの身体の負担を減らし、オーナー様の費用(再診料など)の負担も抑えることができます。
健康診断を受ける際の注意点(事前準備)
絶食が必要な場合があります
血液検査やエコー検査は、食事の影響を受けやすいです。一般的には「当日の朝ごはんを抜く」ことが多いですが、事前に必ず動物病院へ確認しましょう。
朝一番の尿や便
尿検査・便検査がある場合、当日採取した新鮮なものを持参するとスムーズです(乾かないように注意してください)。
費用の目安
検査のボリュームによって異なりますが、一般的な基本セットで10,000円~30,000円前後が目安です。事前に病院のホームページ等で確認しておくと安心です。
(2)獣医師による簡単な健康チェック
年1~2回の健康診断受診に加え、その合間には月に1回、獣医師による健康チェックを受けるのが理想的です。その場合、既往歴はもちろん、パートナーの性格、オーナー様のライフスタイルを理解しているホームドクターにチェックをしてもらいましょう。そうすることによって、パートナーの足腰の衰えや皮膚被毛の状態、体重の増減など、ちょっとした変化にも気づいてもらうことができます。何か変化があれば、日々のケアや食事、環境など身近なところから見直してみましょう。病院併設の美容室であれば、グルーミング時に診てもらったりお散歩のついでに寄ったりするのが気軽でいいですね。
受診項目
- ・問診: 日常の様子や気になることを獣医師に伝えます
- ・体重測定: 肥満や急激な減少がないか
- ・視診: 目、耳、歩き方などを観察
- ・触診: リンパ節の腫れ、お腹の張り、しこりの有無を触って確認
- ・聴診: 心音(雑音がないか)や呼吸音、腸の動きを聴く
要チェック
頻度:1ヵ月に1回
POINT:健康診断の結果や健康チェックの際のコメントなどは保管しておき、病院に携帯できるようにしておきましょう。病気になったときに、より的確な診断や治療に役立ちます。
(3)オーナー様による日常の体調チェック
何より重要なことは"変化に気づく"ことです。これは、毎日そばにいるオーナー様だからこそできることなのです。
毎日のチェックポイント
食欲
食べることは動物の3大欲求のひとつ。その食欲が落ちるのは、何かのサイン。放置しておくと、健康を害することにもつながります。
元気
シニア期になると、少しずつ活発さが失われます。それが年齢からくるものなのか?病気のサインなのか?日々の変化を観察していく必要があります。
お水の量
意外と見過ごされているのが飲水量。特に多頭飼いだとわかりにくくなります。2頭分でもいいので、チェックするようにしましょう。
歩き方
アスファルトやフローリングの上を歩くパートナーたちの現代病でもある、関節の疾患。「痛い」と言えない彼らのために、歩き方チェックは必須です。
呼吸
寝ているとき、起きているとき、散歩中など、シーンや気温によって呼吸の仕方は異なります。普段と変わった点はないか、気を配りましょう。
おしっこ・うんちの変化(量・仕方・臭い・色・回数・固さ)
人と比べて食の多様性が少ないパートナーたち。排泄物には体調の変化や精神的なストレスが表れやすくなります。
デイリーマッサージやグルーミングの際には
デイリーマッサージやグルーミングの際には、以下のポイントについても注意しましょう。
皮膚・被毛
体を触って、皮膚にしこりやイボ、赤みや腫れがないか確認しましょう。フケ、抜け毛、体臭もチェックしましょう。
目、耳、口
目ヤニや過剰な涙、耳垢や異臭、歯垢・歯石や歯ぐきの腫れなど、いつもと異なる点はないか確認しましょう。
POINT
体温に変化があれば、行動(食欲や元気)が変わります。毎日体温を計るよりも、日々の様子を注意深く観察することが重要です。
定期的に見るポイント
上記に加え、1~2週間に1回ほどのペースで以下のポイントもチェックしましょう。
体形・体重
肥満は万病のもとです。また病気の影響で、体重が急激に増えたり減ったりすることもあります。
気になる変化が現れた場合は、ホームドクターに相談しましょう。