「どんなふうに食べるか」愛犬の食事の満足度を高める工夫と健康への影響。
大切な愛犬の食事には悩みが尽きませんね。「どのフードが一番いいのだろう?」「ずっと同じフードで飽きないだろうか?」など、1番の悩みは愛犬が「何を食べるのか」ということではないかと思います。
もちろん愛犬のフードの原材料を吟味したり手作り食の栄養バランスを考えたりすることはとても大切です。しかし「何を」とは別に「どんなふうに食べるか」もまた同じくらい大切です。
愛犬がどんなふうに食事をするかがどうして大切なのか、その理由を考えてみたいと思います。
ガニング亜紀さんの他の記事はこちら→ガニング亜紀さんの記事一覧
犬にも『チャレンジ』が必要
私たち人間は生活の中でさまざまなチャレンジをしています。ゲームのスコアを上げる、仕事のノルマを達成する、スポーツの大会に出る、新しいレシピに挑戦など、ちょっとしたことから人生に関わることまでチャレンジにはいろいろな種類があります。チャレンジはその過程も結果も含めて私たちに自信や達成感を作り出します。
では家庭で暮らしている犬たちはどうでしょうか?ドッグスポーツのトレーニングを欠かさずにしているというのでもない限り、家庭犬の生活にチャレンジはあまり見当たりません。
野生の動物にとってのチャレンジは「食べ物にありつく」ということです。家庭犬にはこのチャレンジは全くありません。毎日何の心配もなく食事を与えられるのは歓迎すべきことですが、チャレンジが全くない生活は犬にとっても退屈です。退屈した犬は自らチャレンジを作り出すべく身の回りのものを破壊したり、窓の外を通る人に激しく吠えたりする可能性が高くなります。
この「食べ物にありつくチャレンジ」を食事の与え方を変えることで疑似体験してもらおうというのが、どんなふうに食べるかが大切だという話につながります。
食べ物を探して食べるチャレンジ
嗅覚を使って食べ物を探し自力で見つけ出して食べることは犬にとって一番手軽なチャレンジです。庭やテラスにドライフードをばら撒いて「さあお食べ!」という方法が一番簡単ですが、日本の住宅事情ではあまり現実的ではありません。
布の間にフードを隠し込むスニッフィングマットを使って食事をするのは犬にも人にもトライしやすい方法です。
複数のフードボウルを用意して一食分を小分けにして別の場所に置く方法もあります。最初はボウル同士を近くのすぐに見つかる場所に置いて、慣れてくれば別の部屋などにボウルをおいて犬が嗅覚を使って次のフードボウルを探すように仕向けます。
複数のボウルを使う方法は自分の食べ物を守ろうとして犬が食事中に攻撃行動をとるフードアグレッションの予防にも応用できます。ボウルを3つ用意して互いに3メートルほど離した三角形に並べます。一食分のフードを手元に用意しておき全てのボウルに数粒だけ入れます。それを食べ終わったらボウルを回収して1つにだけフードをいれ2つの空のボウルといっしょに元に戻します。元に戻した後に空のボウルにもまた数粒のフードを入れます。空になったらまた回収し次は2つのボウルにフードを入れて元に戻し、その後で残り1つにもフードを入れます。最後は3つのボウルを回収して3つに数粒のフードを入れて元に戻します。こうすることで人間がボウルのそばに来て回収していくと良いことが起きると学習することができます。1食分を食べ終わったら歯磨きおやつなどでしめて「おしまい」の合図とします。
工夫して食べるチャレンジ
ボウルに入ったフードを食べるだけでは犬の食事時間はあっという間に終わってしまいます。特にフードを丸呑みしてしまうタイプの犬では時間をかけて食べさせる工夫が必要です。
上にあげたようなボウルを分けて他の部屋に置くことでも食事の時間を長くすることはできますが、早食い防止用にデザインされたボウルやボウルの中に入れて使う早食い防止ツールを使うことでさらに効果が高くなります。フードを食べるのに邪魔なものがあることで犬は食べるために自分で工夫することが必要になります。
コングなどの知育玩具にフードを入れて与えるのも、食べるための工夫が必要なので犬にとって良いチャレンジになります。市販のおもちゃの他に穴を開けた空き箱や両端を折り曲げたペーパータオルの芯などバリエーションを作ることで、違うタイプのチャレンジを与えられます。
ウェットフードやペースト状のおやつを与える場合には表面に凹凸のあるリッキングマットも犬が工夫しながら長く楽しめる良い方法です。
どんなふうに食べるかを考えることは犬の心と体の両方に大切
愛犬の毎日の食事にチャレンジを取り入れることで、犬は頭を使い、食べることに達成感を持ちます。小さな達成感の積み重ねは自信につながり精神的な安定をもたらします。自分で考えて工夫することや嗅覚を使うことは脳への刺激になり、犬に心地よい疲労感を与えてくれます。退屈とは真逆の状態ですね。
極端な早食いは食後の吐き戻しをしやすくなるだけでなく、窒息、誤嚥性肺炎、胃拡張など生命の危険にもつながるリスクがありますので、食べさせ方の工夫をすることは体の健康のためにも大切だと言えます。
同じ方法を続けると犬にとっても刺激が少なくなるので、いくつかの方法をローテーションして犬も人も楽しく続けてみてください。
おわりに
愛犬が毎日の食事を「どんなふうに食べるか」が大切な理由についてご紹介しました。
ボウルに入れた食事を「はいどうぞ」と差し出すだけよりも、15分ほど余分な時間がかかりますが、愛犬の日常を豊かにするためならきっとそれだけの価値があります。
1日分のフードとおやつの量を決めておき、その中から食事中の工夫やお散歩中の宝探しゲームなどに使うと、食べ過ぎにならずに犬の心と体に刺激を与えられます。
食べさせ方の工夫に使う道具はガラスやプラスチックなど危険なものを避けて、犬も人も安全に楽しんでくださいね。
【関連記事】
愛犬の健康管理は食生活が基本!食事の重要性と効果的な与え方
もっとノーズ、プリーズ!~犬の嗅覚遊びとノーズワークシリーズその1
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします
Twitterでグリーンドッグ公式アカウントをフォローしよう!
Follow @greendog_comガニング 亜紀(ガニング アキ)
最新記事 by ガニング 亜紀(ガニング アキ) (全て見る)
- ホリデーシーズンは急性膵炎のシーズン?「ほんの少し」が招くリスク - 2023年12月15日
- 愛犬との絆を深める:ミラーリングの魔法 - 2023年11月17日
- 犬が幸せに生きるために大切な3つのCとは - 2023年10月6日