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犬に人間の食べ物を与えるリスクと正しい食事選び
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人間が食べている食べ物を食卓から気軽に与えることは、愛犬にどんな影響があるのでしょう。
今回は、犬の食事と寿命の関係やなぜ人間の食事を犬にあげてはいけないのかその本当の理由まで詳しくご紹介します。
昔の犬の寿命ってどれくらい?

日本では40年前と比べると犬の寿命は約10~11歳も延びています。何がそんなに犬の寿命を延ばしたのでしょう。
一つは、人々の認識の変化。かつては番犬としての役割が大きく外で暮らすことが多かった飼い犬も今は家族の一員として受け入れられ、部屋の中で一緒に暮らすことが一般的になっていますね。厳しい暑さや寒さに耐える必要もなくなりました。
そして、食事の変化。犬には、人間が残したご飯や塩分が多いお味噌汁、加熱した鶏の骨などの残飯が当たり前のように与えられていた時代もあったのです。
ドッグフードが日本で量産され、一般的に普及し始めたのは1960年代頃。以降、専用の食事がなかった時代に比べて犬の寿命は徐々に延びていきます。1980年頃の犬の平均寿命は約3歳!その後1990年には約10歳まで上昇し1998年以降は13〜14歳まで、2024年度の調査によると、ペットフード協会では犬の平均寿命が14.9歳、ペット保険会社アニコムの調べでは14.2歳と報告されています。これにより、犬の寿命がさらに延びていることがわかります。
もちろん犬の寿命が延びた理由は一つではありません。犬に対する人々の認識の変化や生活環境の変化に加え、フィラリアや混合ワクチンの普及といった予防医療の普及、獣医療の進歩なども要因の一つ。ただ、やはり身体を作る食事の変化は犬の寿命を延ばすのに大きな影響があったといえるでしょう。
最近では、犬の健康に必要な栄養がしっかりと考慮されているのはもちろんのこと、個々の体質や好みによって選べるドッグフード(ドライ、ウェット、フリーズドライ、生食)のほか手作り食用素材など多種多様に開発されています。犬の栄養要求を満たした食事を与えることは犬が健康で長生きするためには欠かせないこと。さらに、食性、ライフステージ、運動量、持病はあるかなど、すべてを考慮して愛犬(パートナー)に合わせた食事を与えることがとても大切なのです。
では、犬の食性ってなんでしょうか。
詳しく見てみましょう。
犬は肉食寄り!?人間とどう違うの?

犬の祖先はまだ未解明な部分があるものの狼と深い関係があることに間違いはありません。狼は完全肉食の生き物。だから犬の祖先は肉食動物と言えます。
肉食!?と驚かれるかたもいることでしょう。確かに犬は、人と暮らす長い歴史の中でだんだんと雑食へと進化をしてきました。だから肉や骨の他に野菜や穀物も食べてきたため、「肉食寄りの雑食動物」と表現されます。
雑食ができるよう進化をしていますが、肉食寄りであることは犬の「歯」「代謝」「胃腸」にも現れています。
犬の「歯」は肉食(寄り)であることがわかる!
犬の歯は、犬歯が発達し、肉を嚙みちぎるのに適した構造。奥歯にある臼歯はほとんど発達していないので、犬歯で嚙みちぎったあと、食べ物が喉を通る大きさになれば、丸のみにすることが多いのです。
犬が肉食(寄り)なのは「代謝」でわかる!
人間と違って犬の唾液中のアミラーゼ(デンプンを分解する酵素)の分泌はかなり少ないのでデンプンの消化が苦手と言われますが、すい臓からはアミラーゼを含む消化液が小腸に送られますのでデンプンの消化はある程度は可能です。日本人が主食としている白米や玄米などの炭水化物を与えたい場合には消化に負担がかからないように配慮しましょう。個体によって消化能力に差があるため、少量をいつもの食事に加えて翌日の便の様子や体調を観察します。
犬が肉食(寄り)なのは「胃腸」でわかる!
犬はタンパク質や脂肪を消化吸収するのに適した強酸性の胃と短い腸を持っています。強酸性の胃酸を分泌して肉を消化し、腸では消化酵素で分解したタンパク質などを吸収します。
反対に野菜や穀物に含まれる繊維質の消化は苦手です。草食動物のように胃・腸の微生物の働きで効率よく繊維質を消化・発酵させることはできず、大腸の腸内細菌によって繊維質を分解・発酵します。この点は人間と似ていますが、人間より犬の方が腸は短いため、繊維質の分解率は少なくなります。
犬の腸の長さは体長の5~6倍、人間は12倍、草食動物の牛では体長の22倍!この腸の長さはそれぞれに適した食性を表しています。
犬の主食には良質なタンパク質が必要

出典:ホリスティックケア・カウンセラー養成講座
犬に必要な6大栄養素の一つ、タンパク質。食事で摂取したタンパク質は体内でアミノ酸に分解され合成されます。犬の必須アミノ酸は10種類。いずれも体内で合成されないので食事から摂取する必要があります。
そのため、犬は良質なタンパク質を積極的に摂ることが大切なのです。肉や魚、卵などの動物性タンパク質は犬にとって最も適したタンパク質源。特に卵はビタミンC以外のすべての栄養素を含む非常にすぐれたタンパク質源です。上の画像は、卵が犬に必要な必須アミノ酸すべてを満たしていることを表したものです。
このように犬は歯、代謝、胃腸など体の構造に加えて、必須栄養素からも肉食の名残が充分に残っている動物です。犬の食性を理解して、手作りで人間の食材を使う場合も良質なタンパク質が豊富な食事にしてあげましょう。
目安として、成人では1日に必要なタンパク質量は体重あたりおよそ1gですが、成犬はおよそ4g。もちろん運動量や体重によっても大きく変わり、大型犬になるほど少なくなる傾向ですが、犬の方がタンパク質をたくさん必要とすることがわかりますね。
愛犬が人間の食べ物を欲しがらないようにする方法とは?

私たちの食卓の食事を与えると「人間の食事を与えるのはしつけの面で良くない」とか「人間の食事を与えることは犬を甘やかすことにつながる」と言われることもありますね。しつけとは、犬に対して厳しくすること、という考えがあるからかもしれません。
そもそも「しつけ」とは、日常生活に必要なマナーやルールを教えてあげること。必ずしも犬に対して厳しくする必要はありません。むしろ、人間の言葉や人間社会のルールを理解できない愛犬には分かりやすく優しく教えてあげることが大切です。
人間の食事をそのまま愛犬に与えることは避けたほうがよいとお話しました。では、そのことをどのように犬に教えてあげればいいのでしょう。
ポイント1 経験をさせない
犬というのは、自らの経験から多くのことを学びます。なので、愛犬にして欲しくないことは未然に防ぐ、つまり初めからその経験をさせないようにするのがコツです。
もし、ちょっとくらい与えても大丈夫と、人間の食べ物をついあげてしまうとしますね。犬はそのたった一度の経験から「人間の食事ってこんなにおいしいんだ!」ということを覚えてしまいます。犬はとても素直で賢い動物なのですね。
ポイント2 ルールには一貫性を
犬には、今回だけ特別というのは通用しません。「次もきっとまた食べさせてくれるだろう」といつも期待するようになります。その結果、「もっと欲しい!もっとちょうだい!」とおねだりをするようになることも。勝手に食卓の上のものを食べるようになってしまうと大変です。ルールには一貫性を持たせましょう。
また、人間の食事を与えることで、愛犬の健康を損なう場合や、命にかかわる大きな危険を招くこともありますから注意してあげましょう。
ある調査では、毎年バレンタインの時期になるとチョコレートを食べて動物病院に担ぎ込まれる犬が増加するそうです。犬に食べさせてはいけない代表的な食材には、このようにごく一般的に人間が食べている食材がほとんどです。愛犬を苦しませないためにも注意してあげましょう。
犬に食べさせてはいけない食べ物
NG! ねぎ類 (ネギ、たまねぎ、らっきょう、エシャロット、にんにくなど)
ネギに含まれる物質(有機チオ硫酸化合物)が、溶血性貧血や血尿を引き起こすことがあります。
NG! チョコレート (カカオも含む)
テオブロミンという成分が下痢、嘔吐、呼吸困難などの中毒症状を起こします。最悪の場合、急性心不全を起こして死亡することも。
NG! 刺激が強い香辛料 (こしょう、わさび、七味唐辛子など)
辛い物の摂取は胃腸に負担をかけ、下痢になったりします。
NG! 鶏の骨
鶏の骨は砕けると鋭利になりやすく、特に加熱後は非常に硬くなります。これが内臓に刺さると、命に関わる事故を引き起こす可能性があります。犬用の生食用商品(骨入り)の多くは細かく砕いたものが使用されており、与えても問題がないよう配慮されていますが、もし大きな形状で混入していた際には取り除きましょう。
NG! イカ・タコ・貝類
塩分が多く身が固いので消化しにくいため、消化器に負担がかかり、嘔吐や下痢になることも。イカやタコはドッグフードでも使用しない素材です。貝類の中にはグリーン・マッスル(緑イ貝)のように関節のサポートに役立つとしてサプリメントやおやつに利用されているものがあります。このように犬用商品として消化に配慮して加工されたものなら与えられます。
犬に与えるときに気をつける食べ物
NG! 生卵の白身
生卵の白身に含まれる成分アビジンが、ビタミンの吸収を阻害する。白身を加熱調理すればOK。
NG! 生の豚肉
豚肉は人獣共通感染症の一つであるトキソプラズマ症の感染源トキソプラズマ(原虫)に汚染されていることも。原虫は加熱すれば死滅するので必ず充分に火を通しましょう!
NG! 味付けした食べ物
特に日本人の食事は塩分過剰が問題となり、心臓や腎臓に負担をかけ健康寿命に影響が出ていることが指摘されています。そのため愛犬に私たち用に味付けした食事を与えるのは、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。なぜならドッグフードにも必要量の塩分が含まれていますので、それ以外にも味付けしたものを与えると塩分過剰となるからです。近年は犬の手作り食のレシピ情報も増え、味噌や岩塩(もしくは海塩)などを使うものもあります。これらも味付けした食事になりますが、適量であれば健康維持のサポートになります。
また、少しくらいならと思って与えがちなものに私たちのクッキーやケーキといった甘い菓子類があります。自然界には血糖値をあげる食べ物は少ないので、いざという時に血糖値を下げる機能は進化してきていません。犬も糖尿病になる可能性は多いにあり、健康を害するものです。特に甘みは犬にとっても魅力的ですので充分に注意しましょう。
まとめ

愛犬と同じ屋根の下で寝食を共にし、散歩や運動を楽しみ、時にはカフェにも同席という時代になりました。家族同然のように暮らすようになった今だからこそ、愛犬に人間の食事を与えてはいけない理由を知って、愛犬の身体が喜ぶ食事を与えてあげましょう。
犬は肉食寄り雑食動物です。人間とは食性が違います。動物性タンパク質が必要量摂れるように心がけましょう。人間が食べておいしくて大丈夫でも犬にとっては消化に負担がかかり、健康を害する危険な食材があります。
犬は人間とは違う動物。そんな当たり前のことを忘れずに、愛する愛犬が健やかな毎日を過ごせるように楽しい食事を実践していきましょう。
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